万葉集 第17巻 3991番歌/作者・原文・時代・歌・訳

第17巻3991番歌はこちらにまとめました。

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第17巻 3991番歌

第17巻
歌番号3991番歌
作者大伴家持
題詞遊覧布勢水海賦一首[并短歌] [此海者有射水郡舊江村也]
原文物能乃敷能 夜蘇等母乃乎能 於毛布度知 許己呂也良武等 宇麻奈米C 宇知久知夫利乃 之良奈美能 安里蘇尓与須流 之夫多尓能 佐吉多母登保理 麻都太要能 奈我波麻須義C 宇奈比河波 伎欲吉勢其等尓 宇加波多知 可由吉加久遊岐 見都礼騰母 曽許母安加尓等 布勢能宇弥尓 布祢宇氣須恵C 於伎敝許藝 邊尓己伎見礼婆 奈藝左尓波 安遅牟良佐和伎 之麻<未>尓波 許奴礼波奈左吉 許己婆久毛 見乃佐夜氣吉加 多麻久之氣 布多我弥夜麻尓 波布都多能 由伎波和可礼受 安里我欲比 伊夜登之能波尓 於母布度知 可久思安蘇婆牟 異麻母見流其等
訓読もののふの 八十伴の男の 思ふどち 心遣らむと 馬並めて うちくちぶりの 白波の 荒礒に寄する 渋谿の 崎た廻り 松田江の 長浜過ぎて 宇奈比川 清き瀬ごとに 鵜川立ち か行きかく行き 見つれども そこも飽かにと 布施の海に 舟浮け据ゑて 沖辺漕ぎ 辺に漕ぎ見れば 渚には あぢ群騒き 島廻には 木末花咲き ここばくも 見のさやけきか 玉櫛笥 二上山に 延ふ蔦の 行きは別れず あり通ひ いや年のはに 思ふどち かくし遊ばむ 今も見るごと
かなもののふの やそとものをの おもふどち こころやらむと うまなめて うちくちぶりの しらなみの ありそによする しぶたにの さきたもとほり まつだえの ながはますぎて うなひがは きよきせごとに うかはたち かゆきかくゆき みつれども そこもあかにと ふせのうみに ふねうけすゑて おきへこぎ へにこぎみれば なぎさには あぢむらさわき しまみには こぬれはなさき ここばくも みのさやけきか たまくしげ ふたがみやまに はふつたの ゆきはわかれず ありがよひ いやとしのはに おもふどち かくしあそばむ いまもみるごと
英語(ローマ字)MONONOFUNO YASOTOMONOWONO OMOFUDOCHI KOKOROYARAMUTO UMANAMETE UCHIKUCHIBURINO SHIRANAMINO ARISONIYOSURU SHIBUTANINO SAKITAMOTOHORI MATSUDAENO NAGAHAMASUGITE UNAHIGAHA KIYOKISEGOTONI UKAHATACHI KAYUKIKAKUYUKI MITSUREDOMO SOKOMOAKANITO FUSENOUMINI FUNEUKESUゑTE OKIHEKOGI HENIKOGIMIREBA NAGISANIHA ADIMURASAWAKI SHIMAMINIHA KONUREHANASAKI KOKOBAKUMO MINOSAYAKEKIKA TAMAKUSHIGE FUTAGAMIYAMANI HAFUTSUTANO YUKIHAWAKAREZU ARIGAYOHI IYATOSHINOHANI OMOFUDOCHI KAKUSHIASOBAMU IMAMOMIRUGOTO
『官人仲間同志』と気晴らしに行こうと馬を並べて出かけた。入り江の荒磯に白波が打ち寄せる。渋谿の崎を回って 松田江の長い浜辺を過ぎて宇奈比川にやってくると、あちこちの清らかな川瀬では鵜飼を行っていた。こんなふうにあちこち見て回ったけれど、飽きることがない。それで布勢の海に舟を浮かべ、沖に出たり、海岸に近寄ったりしてみた。波打ち際にはアジガモの群れが騒ぎ立て、島の周りには木々の梢に花々が咲き、こんなにも見応えのある風景か。二上山に生え延びるツルクサのように一同別れることなく、来年もやってきて、みなさんと一緒にこうやって今眼前にしている光景を愛でたいものよ。
左注右守大伴宿祢家持作之 [四月廿四日]
校異末 未 [類]
用語天平19年4月24日、年紀、作者:大伴家持、遊覧、土地讃美、地名、氷見、富山、枕詞、道行き、高岡、寿歌
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