万葉集 第17巻 3973番歌/作者・原文・時代・歌・訳

第17巻3973番歌はこちらにまとめました。

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第17巻 3973番歌

第17巻
歌番号3973番歌
作者大伴池主
題詞昨日述短懐今朝汗耳目 更承賜書且奉不次 死罪々々 不遺下賎頻恵 徳音 英<霊>星氣逸調過人 智水仁山既ヒ琳瑯之光彩 潘江陸海自坐詩書之廊廟 騁思非常託情有理 七歩成章數篇満紙 巧遣愁人之重患 能除戀者之積思 山柿歌泉比此如蔑 彫龍筆海粲然得看矣 方知僕之有幸也 敬和歌其詞云
原文憶保枳美能 弥許等可之古美 安之比奇能 夜麻野佐<波>良受 安麻射可流 比奈毛乎佐牟流 麻須良袁夜 奈邇可母能毛布 安乎尓余之 奈良治伎可欲布 多麻豆佐能 都可比多要米也 己母理古非 伊枳豆伎和多利 之多毛比<尓> 奈氣可布和賀勢 伊尓之敝由 伊比都藝久良之 餘乃奈加波 可受奈枳毛能曽 奈具佐牟流 己等母安良牟等 佐刀i等能 安礼邇都具良久 夜麻備尓波 佐久良婆奈知利 可保等利能 麻奈久之婆奈久 春野尓 須美礼乎都牟<等> 之路多倍乃 蘇泥乎利可敝之 久礼奈為能 安可毛須蘇妣伎 乎登賣良<波> 於毛比美太礼弖 伎美麻都等 宇良呉悲須奈理 己許呂具志 伊謝美尓由加奈 許等波多奈由比
訓読大君の 命畏み あしひきの 山野さはらず 天離る 鄙も治むる 大夫や なにか物思ふ あをによし 奈良道来通ふ 玉梓の 使絶えめや 隠り恋ひ 息づきわたり 下思に 嘆かふ我が背 いにしへゆ 言ひ継ぎくらし 世間は 数なきものぞ 慰むる こともあらむと 里人の 我れに告ぐらく 山びには 桜花散り 貌鳥の 間なくしば鳴く 春の野に すみれを摘むと 白栲の 袖折り返し 紅の 赤裳裾引き 娘子らは 思ひ乱れて 君待つと うら恋すなり 心ぐし いざ見に行かな ことはたなゆひ
かなおほきみの みことかしこみ あしひきの やまのさはらず あまざかる ひなもをさむる ますらをや なにかものもふ あをによし ならぢきかよふ たまづさの つかひたえめや こもりこひ いきづきわたり したもひに なげかふわがせ いにしへゆ いひつぎくらし よのなかは かずなきものぞ なぐさむる こともあらむと さとびとの あれにつぐらく やまびには さくらばなちり かほどりの まなくしばなく はるののに すみれをつむと しろたへの そでをりかへし くれなゐの あかもすそびき をとめらは おもひみだれて きみまつと うらごひすなり こころぐし いざみにゆかな ことはたなゆひ
英語(ローマ字)OHOKIMINO MIKOTOKASHIKOMI ASHIHIKINO YAMANOSAHARAZU AMAZAKARU HINAMOWOSAMURU MASURAWOYA NANIKAMONOMOFU AWONIYOSHI NARADIKIKAYOFU TAMADUSANO TSUKAHITAEMEYA KOMORIKOHI IKIDUKIWATARI SHITAMOHINI NAGEKAFUWAGASE INISHIHEYU IHITSUGIKURASHI YONONAKAHA KAZUNAKIMONOZO NAGUSAMURU KOTOMOARAMUTO SATOBITONO ARENITSUGURAKU YAMABINIHA SAKURABANACHIRI KAHODORINO MANAKUSHIBANAKU HARUNONONI SUMIREWOTSUMUTO SHIROTAHENO SODEWORIKAHESHI KURENAゐNO AKAMOSUSOBIKI WOTOMERAHA OMOHIMIDARETE KIMIMATSUTO URAGOHISUNARI KOKOROGUSHI IZAMINIYUKANA KOTOHATANAYUHI
大君の仰せのままに山や野をものともせず、遠い遠い田舎の国を治める男であるあなた、何を心配されることがあろう。奈良を行き来する使いが絶えることなどありましょうか。家にこもってため息ばかりつき、心の内に嘆いてばかりのあなた。古来から言い継がれてきたではありませんか。世の中は何があるか分からないと。気の休まることもありましょう。地元の人々が私に言います。山のふもとには桜の花が散り、鳴き声の美しい貌鳥(かおどり)がひっきりなしに鳴いています。また、春の野にスミレをつもうと、美しい袖を折り返し、紅色の赤裳の裾を引いた娘子たちがお出でを心待ちにしています。さあ一緒に見にいきましょう。約束しましたよ。
左注(三月五日大伴宿祢池主)
校異三日遊覧 [元] 遊覧 / 遏 過 [元] / 含之 含 [元][紀][細] / 瀘 r [元][紀][細] / 雲 霊 [元] / 婆 波 [元] / 余 尓 [万葉考] / 等 [西(上書訂正)][元][紀][細] / 婆 波 [元][紀][細]
用語天平19年3月5日、年紀、作者:大伴池主、贈答、枕詞、高岡、富山、遊覧、大伴家持、書簡
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