万葉集 第17巻 3969番歌/作者・原文・時代・歌・訳

第17巻3969番歌はこちらにまとめました。

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第17巻 3969番歌

第17巻
歌番号 3969番歌
作者 大伴家持
題詞 更贈歌一首[并短歌] / 含弘之徳垂恩蓬体不貲之思報慰陋心 載荷<来眷>無堪所喩也 但以稚時不渉遊藝之庭 横翰之藻自乏<乎>彫蟲焉 幼年未逕山柿之門 裁歌之趣 詞失<乎>聚林矣 爰辱以藤續錦之言更題将石間瓊之詠 <固>是俗愚懐癖 不能黙已 仍捧數行式酬嗤咲其詞曰
原文 於保吉民能 麻氣乃麻尓々々 之奈射加流 故之乎袁佐米尓 伊泥C許之 麻須良和礼須良 余能奈可乃 都祢之奈家礼婆 宇知奈妣伎 登許尓己伊布之 伊多家苦乃 日異麻世婆 可奈之家口 許己尓思出 伊良奈家久 曽許尓念出 奈氣久蘇良 夜須<家>奈久尓 於母布蘇良 久流之伎母能乎 安之比紀能 夜麻伎敝奈里C 多麻保許乃 美知能等保家<婆> 間使毛 遣縁毛奈美 於母保之吉 許等毛可欲波受 多麻伎波流 伊能知乎之家登 勢牟須辨能 多騰吉乎之良尓 隠居而 念奈氣加比 奈具佐牟流 許己呂波奈之尓 春花<乃> 佐家流左加里尓 於毛敷度知 多乎里可射佐受 波流乃野能 之氣美<登>妣久々 鴬 音太尓伎加受 乎登賣良我 春菜都麻須等 久礼奈為能 赤裳乃須蘇能 波流佐米尓 々保比々豆知弖 加欲敷良牟 時盛乎 伊多豆良尓 須具之夜里都礼 思努波勢流 君之心乎 宇流波之美 此夜須我浪尓 伊母祢受尓 今日毛之賣良尓 孤悲都追曽乎流
訓読 大君の 任けのまにまに しなざかる 越を治めに 出でて来し ますら我れすら 世間の 常しなければ うち靡き 床に臥い伏し 痛けくの 日に異に増せば 悲しけく ここに思ひ出 いらなけく そこに思ひ出 嘆くそら 安けなくに 思ふそら 苦しきものを あしひきの 山きへなりて 玉桙の 道の遠けば 間使も 遣るよしもなみ 思ほしき 言も通はず たまきはる 命惜しけど せむすべの たどきを知らに 隠り居て 思ひ嘆かひ 慰むる 心はなしに 春花の 咲ける盛りに 思ふどち 手折りかざさず 春の野の 茂み飛び潜く 鴬の 声だに聞かず 娘子らが 春菜摘ますと 紅の 赤裳の裾の 春雨に にほひひづちて 通ふらむ 時の盛りを いたづらに 過ぐし遣りつれ 偲はせる 君が心を うるはしみ この夜すがらに 寐も寝ずに 今日もしめらに 恋ひつつぞ居る
かな おほきみの まけのまにまに しなざかる こしををさめに いでてこし ますらわれすら よのなかの つねしなければ うちなびき とこにこいふし いたけくの ひにけにませば かなしけく ここにおもひで いらなけく そこにおもひで なげくそら やすけなくに おもふそら くるしきものを あしひきの やまきへなりて たまほこの みちのとほけば まつかひも やるよしもなみ おもほしき こともかよはず たまきはる いのちをしけど せむすべの たどきをしらに こもりゐて おもひなげかひ なぐさむる こころはなしに はるはなの さけるさかりに おもふどち たをりかざさず はるののの しげみとびくく うぐひすの こゑだにきかず をとめらが はるなつますと くれなゐの あかものすその はるさめに にほひひづちて かよふらむ ときのさかりを いたづらに すぐしやりつれ しのはせる きみがこころを うるはしみ このよすがらに いもねずに けふもしめらに こひつつぞをる
英語(ローマ字) OHOKIMINO MAKENOMANIMANI SHINAZAKARU KOSHIWOWOSAMENI IDETEKOSHI MASURAWARESURA YONONAKANO TSUNESHINAKEREBA UCHINABIKI TOKONIKOIFUSHI ITAKEKUNO HINIKENIMASEBA KANASHIKEKU KOKONIOMOHIDE IRANAKEKU SOKONIOMOHIDE NAGEKUSORA YASUKENAKUNI OMOFUSORA KURUSHIKIMONOWO ASHIHIKINO YAMAKIHENARITE TAMAHOKONO MICHINOTOHOKEBA MATSUKAHIMO YARUYOSHIMONAMI OMOHOSHIKI KOTOMOKAYOHAZU TAMAKIHARU INOCHIWOSHIKEDO SEMUSUBENO TADOKIWOSHIRANI KOMORIゐTE OMOHINAGEKAHI NAGUSAMURU KOKOROHANASHINI HARUHANANO SAKERUSAKARINI OMOFUDOCHI TAWORIKAZASAZU HARUNONONO SHIGEMITOBIKUKU UGUHISUNO KOゑDANIKIKAZU WOTOMERAGA HARUNATSUMASUTO KURENAゐNO AKAMONOSUSONO HARUSAMENI NIHOHIHIDUCHITE KAYOFURAMU TOKINOSAKARIWO ITADURANI SUGUSHIYARITSURE SHINOHASERU KIMIGAKOKOROWO URUHASHIMI KONOYOSUGARANI IMONEZUNI KEFUMOSHIMERANI KOHITSUTSUZOWORU
大君のご命令のままに遠い遠い越中の国を治めるために都から出てきた。男気であるべき私ですら、世の中は常ならずぐったりと床に伏してしまった。苦痛は日に日に増さり、悲しいことに思いがいき、つらいことも思ったりして、嘆いていると、心安らかではありません。思えば思うほど苦しい。都とは山々を隔たっており、玉桙の道は遠く、妻と私の間を行き来する使いをやる手だてもない。思っていることの言葉も交わせない。限りある命、どうしていいかその手だても知らず、独り家に居て思い嘆き、慰める心も見あたらない。春の花が咲く盛りなのに思う仲間と花を手折ってかざすこともできない。春の野には木の茂みをくぐり抜けて鳴くウグイスがいるだろうにその声も聞かずにいる。また娘子(おとめ)たちが春の菜をつもうと、くれないの赤裳の裾を春雨に美しく濡らして通うだろう。そんな春の盛りなのに、いたずらに時を過ごしています。ただ貴君のことが思い出され、うるわしくありがたく、夜もすがら眠ることが出来ず、今日もしんみりと貴君を恋い続けています。
左注 (三月三日大伴宿祢家持)
校異 歌 [西] 謌 / 恩 [天](塙) 思 / 思 (塙) 恩 / 未春 来眷 [万葉集略解] / 于 乎 [元][紀][細] / 于 乎 [元][紀][細] / 因 固 [元] / 家久[西(右書)] 家 [元][紀] /波 婆 [元] / 之 乃 [元][細] / 豆 登 [元][紀]
用語 天平19年3月3日、年紀、作者:大伴家持、贈答、大伴池主、、書簡、枕詞、動物、恋情、悲嘆、高岡、富山
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