第13巻3336番歌はこちらにまとめました。
第13巻 3336番歌
巻 | 第13巻 |
歌番号 | 3336番歌 |
作者 | 作者不詳 |
題詞 | – |
原文 | 鳥音之 所聞海尓 高山麻 障所為而 奥藻麻 枕所為 <蛾>葉之 衣<谷>不服尓 不知魚取 海之濱邊尓 浦裳無 所宿有人者 母父尓 真名子尓可有六 若を之 妻香有異六 思布 言傳八跡 家問者 家乎母不告 名問跡 名谷母不告 哭兒如 言谷不語 思鞆 悲物者 世間有 <世間有> |
訓読 | 鳥が音の 聞こゆる海に 高山を 隔てになして 沖つ藻を 枕になし ひむし羽の 衣だに着ずに 鯨魚取り 海の浜辺に うらもなく 臥やせる人は 母父に 愛子にかあらむ 若草の 妻かありけむ 思ほしき 言伝てむやと 家問へば 家をも告らず 名を問へど 名だにも告らず 泣く子なす 言だにとはず 思へども 悲しきものは 世間にぞある 世間にぞある |
かな | とりがねの きこゆるうみに たかやまを へだてになして おきつもを まくらになし ひむしはの きぬだにきずに いさなとり うみのはまへに うらもなく こやせるひとは おもちちに まなごにかあらむ わかくさの つまかありけむ おもほしき ことつてむやと いへとへば いへをものらず なをとへど なだにものらず なくこなす ことだにとはず おもへども かなしきものは よのなかにぞある よのなかにぞある |
英語(ローマ字) | TORIGANENO KIKOYURUUMINI TAKAYAMAWO HEDATENINASHITE OKITSUMOWO MAKURANINASHI HIMUSHIHANO KINUDANIKIZUNI ISANATORI UMINOHAMAHENI URAMONAKU KOYASERUHITOHA OMOCHICHINI MANAGONIKAARAMU WAKAKUSANO TSUMAKAARIKEMU OMOHOSHIKI KOTOTSUTEMUYATO IHETOHEBA IHEWOMONORAZU NAWOTOHEDO NADANIMONORAZU NAKUKONASU KOTODANITOHAZU OMOHEDOMO KANASHIKIMONOHA YONONAKANIZOARU YONONAKANIZOARU |
訳 | 鳥の鳴き声が聞こえる海に、高山を隔て(背後にし)、沖に浮かぶ藻を枕にして、海の浜辺に無心に横たわっている人。その人は母や父にとっては愛しい子だろうに。また若草のような妻もあるだろうと思えるのに。何か言づけもあるだろうと思って、家を訊ねたが家の在処も名乗らない。名前を聞いてもそれさえ言わない。まるで泣きじゃくる子のように言葉を発しない。思えば悲しい世の中だねえ。世の中だねえ。 |
左注 | (右九首) |
校異 | [元][天][類] / 浴 谷 [類] / <> 世間有 [元][天] |
用語 | 炭? |