万葉集 第13巻 3243番歌/作者・原文・時代・歌・訳

第13巻3243番歌はこちらにまとめました。

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第13巻 3243番歌

第13巻
歌番号3243番歌
作者作者不詳
題詞
原文處女等之 <麻>笥垂有 續麻成 長門之浦丹 朝奈祇尓 満来塩之 夕奈祇尓 依来波乃 <彼>塩乃 伊夜益舛二 彼浪乃 伊夜敷布二 吾妹子尓 戀乍来者 阿胡乃海之 荒礒之於丹 濱菜採 海部處女等 纓有 領巾文光蟹 手二巻流 玉毛湯良羅尓 白栲乃 袖振所見津 相思羅霜
訓読娘子らが 麻笥に垂れたる 続麻なす 長門の浦に 朝なぎに 満ち来る潮の 夕なぎに 寄せ来る波の その潮の いやますますに その波の いやしくしくに 我妹子に 恋ひつつ来れば 阿胡の海の 荒礒の上に 浜菜摘む 海人娘子らが うながせる 領布も照るがに 手に巻ける 玉もゆららに 白栲の 袖振る見えつ 相思ふらしも
かなをとめらが をけにたれたる うみをなす ながとのうらに あさなぎに みちくるしほの ゆふなぎに よせくるなみの そのしほの いやますますに そのなみの いやしくしくに わぎもこに こひつつくれば あごのうみの ありそのうへに はまなつむ あまをとめらが うなげる ひれもてるがに てにまける たまもゆららに しろたへの そでふるみえつ あひおもふらしも
英語(ローマ字)WOTOMERAGA WOKENITARETARU UMIWONASU NAGATONOURANI ASANAGINI MICHIKURUSHIHONO YUFUNAGINI YOSEKURUNAMINO SONOSHIHONO IYAMASUMASUNI SONONAMINO IYASHIKUSHIKUNI WAGIMOKONI KOHITSUTSUKUREBA AGONOUMINO ARISONOUHENI HAMANATSUMU AMAWOTOMERAGA UNAGERU HIREMOTERUGANI TENIMAKERU TAMAMOYURARANI SHIROTAHENO SODEFURUMIETSU AHIOMOFURASHIMO
娘子(おとめ)が桶に垂らした長い麻ではないが、長門の浦に、朝なぎ時に満ちてくる潮、また、夕なぎ時に寄せてくる潮のように、ますます、あるいはしきりに募る思いを抱いて彼女を恋ながらやってきた阿胡の海。その荒磯の上で海藻を摘むあの海人娘子が首から肩にかけた布がきらきら輝いている。また手に巻いた玉もゆらゆら揺れるほど真っ白な袖を振っているのが見える。彼女の方も相思ってくれているのだろうか。
左注(右二首)
校異[元][天][類] / 波 彼 [類] / 舛 [元][天][類](塙) 升
用語広島、山口、倉橋島、桂浜、望郷、土地讃美、恋情、羈旅