第6巻1059番歌はこちらにまとめました。
第6巻 1059番歌
巻 | 第6巻 |
歌番号 | 1059番歌 |
作者 | 田辺福麻呂 |
題詞 | 春日悲傷三香原荒墟作歌一首[并短歌] |
原文 | 三香原 久邇乃京師者 山高 河之瀬清 在吉迹 人者雖云 在吉跡 吾者雖念 故去之 里尓四有者 國見跡 人毛不通 里見者 家裳荒有 波之異耶 如此在家留可 三諸著 鹿脊山際尓 開花之 色目列敷 百鳥之 音名束敷 在<杲>石 住吉里乃 荒樂苦惜哭 |
訓読 | 三香の原 久迩の都は 山高み 川の瀬清み 住みよしと 人は言へども ありよしと 我れは思へど 古りにし 里にしあれば 国見れど 人も通はず 里見れば 家も荒れたり はしけやし かくありけるか みもろつく 鹿背山の際に 咲く花の 色めづらしく 百鳥の 声なつかしく ありが欲し 住みよき里の 荒るらく惜しも |
かな | みかのはら くにのみやこは やまたかみ かはのせきよみ すみよしと ひとはいへども ありよしと われはおもへど ふりにし さとにしあれば くにみれど ひともかよはず さとみれば いへもあれたり はしけやし かくありけるか みもろつく かせやまのまに さくはなの いろめづらしく ももとりの こゑなつかしく ありがほし すみよきさとの あるらくをしも |
英語(ローマ字) | MIKANOHARA KUNINOMIYAKOHA YAMATAKAMI KAHANOSEKIYOMI SUMIYOSHITO HITOHAIHEDOMO ARIYOSHITO WAREHAOMOHEDO FURINISHI SATONISHIAREBA KUNIMIREDO HITOMOKAYOHAZU SATOMIREBA IHEMOARETARI HASHIKEYASHI KAKUARIKERUKA MIMOROTSUKU KASEYAMANOMANI SAKUHANANO IROMEDURASHIKU MOMOTORINO KOゑNATSUKASHIKU ARIGAHOSHI SUMIYOKISATONO ARURAKUWOSHIMO |
訳 | 三香の原の久邇の都は山が高く、川の瀬は清らかで住みよいところと人は言う。私も居心地がよいところと思う。けれども、古くなった里なので、国を見ても人は通わない。里を見ても家も荒れてしまった。あの美しい都もこうなってしまったのか。神社が鎮座する鹿背山一帯は咲く花の色は美しく、たくさんの鳥たちの鳴き声もなつかしい。いつまでもこうであって欲しい住み心地のよい里。その里が荒廃していくのが惜しい。 |
左注 | (右廿一首田邊福麻呂之歌集中出也) |
校異 | 歌 [西] 謌 [西(訂正)] 歌 / 短歌 [西] 短謌 [西(訂正)] 短歌 / 在 [類](塙) 住 / 耶 (塙[全釈による]) 耶思 / 果 杲 [細][矢][京] |
用語 | 雑歌、作者:田辺福麻呂歌集、荒都歌、久邇京、京都、地名 |