相聞歌についてまとめました。
掲載数 全 866 首
第2巻 56 首
第4巻 309 首
第8巻 69 首
第8巻は春夏秋冬で区分けしています。
春 17 首
歌番号 | 本歌 |
1448 番歌 | 我がやどに蒔きしなでしこいつしかも花に咲 … |
1449 番歌 | 茅花抜く浅茅が原のつほすみれ今盛りなり我 … |
1450 番歌 | 心ぐきものにぞありける春霞たなびく時に恋 … |
1451 番歌 | 水鳥の鴨の羽色の春山のおほつかなくも思ほ … |
1452 番歌 | 闇ならばうべも来まさじ梅の花咲ける月夜に … |
1453 番歌 | 玉たすき 懸けぬ時なく 息の緒に 我が思 … |
1454 番歌 | 波の上ゆ見ゆる小島の雲隠りあな息づかし相 … |
1455 番歌 | たまきはる命に向ひ恋ひむゆは君が御船の楫 … |
1456 番歌 | この花の一節のうちに百種の言ぞ隠れるおほ … |
1457 番歌 | この花の一節のうちは百種の言待ちかねて折 … |
1458 番歌 | やどにある桜の花は今もかも松風早み地に散 … |
1459 番歌 | 世間も常にしあらねばやどにある桜の花の散 … |
1460 番歌 | 戯奴 [變云 わけ] がため我が手もすま … |
1461 番歌 | 昼は咲き夜は恋ひ寝る合歓木の花君のみ見め … |
1462 番歌 | 我が君に戯奴は恋ふらし賜りたる茅花を食め … |
1463 番歌 | 我妹子が形見の合歓木は花のみに咲きてけだ … |
1464 番歌 | 春霞たなびく山のへなれれば妹に逢はずて月 … |
夏 12 首
歌番号 | 本歌 |
1498 番歌 | 暇なみ来まさぬ君に霍公鳥我れかく恋ふと行 … |
1499 番歌 | 言繁み君は来まさず霍公鳥汝れだに来鳴け朝 … |
1500 番歌 | 夏の野の茂みに咲ける姫百合の知らえぬ恋は … |
1501 番歌 | 霍公鳥鳴く峰の上の卯の花の憂きことあれや … |
1502 番歌 | 五月の花橘を君がため玉にこそ貫け散らまく … |
1503 番歌 | 我妹子が家の垣内のさ百合花ゆりと言へるは … |
1504 番歌 | 暇なみ五月をすらに我妹子が花橘を見ずか過 … |
1505 番歌 | 霍公鳥鳴きしすなはち君が家に行けと追ひし … |
1506 番歌 | 故郷の奈良思の岡の霍公鳥言告げ遣りしいか … |
1507 番歌 | いかといかと ある我が宿に 百枝さし 生 … |
1508 番歌 | 望ぐたち清き月夜に我妹子に見せむと思ひし … |
1509 番歌 | 妹が見て後も鳴かなむ霍公鳥花橘を地に散ら … |
秋 31 首
歌番号 | 本歌 |
1510 番歌 | なでしこは咲きて散りぬと人は言へど我が標 … |
1606 番歌 | 君待つと我が恋ひをれば我が宿の簾動かし秋 … |
1607 番歌 | 風をだに恋ふるは羨し風をだに来むとし待た … |
1608 番歌 | 秋萩の上に置きたる白露の消かもしなまし恋 … |
1609 番歌 | 宇陀の野の秋萩しのぎ鳴く鹿も妻に恋ふらく … |
1610 番歌 | 高円の秋野の上のなでしこの花うら若み人の … |
1611 番歌 | あしひきの山下響め鳴く鹿の言ともしかも我 … |
1612 番歌 | 神さぶといなにはあらず秋草の結びし紐を解 … |
1613 番歌 | 秋の野を朝行く鹿の跡もなく思ひし君に逢へ … |
1614 番歌 | 九月のその初雁の使にも思ふ心は聞こえ来ぬ … |
1615 番歌 | 大の浦のその長浜に寄する波ゆたけく君を思 … |
1616 番歌 | 朝ごとに我が見る宿のなでしこの花にも君は … |
1617 番歌 | 秋萩に置きたる露の風吹きて落つる涙は留め … |
1618 番歌 | 玉に貫き消たず賜らむ秋萩の末わくらばに置 … |
1619 番歌 | 玉桙の道は遠けどはしきやし妹を相見に出で … |
1620 番歌 | あらたまの月立つまでに来まさねば夢にし見 … |
1621 番歌 | 我が宿の萩花咲けり見に来ませいま二日だみ … |
1622 番歌 | 我が宿の秋の萩咲く夕影に今も見てしか妹が … |
1623 番歌 | 我が宿にもみつ蝦手見るごとに妹を懸けつつ … |
1624 番歌 | 我が蒔ける早稲田の穂立作りたるかづらぞ見 … |
1625 番歌 | 我妹子が業と作れる秋の田の早稲穂のかづら … |
1626 番歌 | 秋風の寒きこのころ下に着む妹が形見とかつ … |
1627 番歌 | 我が宿の時じき藤のめづらしく今も見てしか … |
1628 番歌 | 我が宿の萩の下葉は秋風もいまだ吹かねばか … |
1629 番歌 | ねもころに 物を思へば 言はむすべ 為む … |
1630 番歌 | 高円の野辺のかほ花面影に見えつつ妹は忘れ … |
1631 番歌 | 今造る久迩の都に秋の夜の長きにひとり寝る … |
1632 番歌 | あしひきの山辺に居りて秋風の日に異に吹け … |
1633 番歌 | 手もすまに植ゑし萩にやかへりては見れども … |
1634 番歌 | 衣手に水渋付くまで植ゑし田を引板我が延へ … |
1635 番歌 | 佐保川の水を堰き上げて植ゑし田を [尼作 … |
冬 9 首
歌番号 | 本歌 |
1655 番歌 | 高山の菅の葉しのぎ降る雪の消ぬと言ふべく … |
1656 番歌 | 酒杯に梅の花浮かべ思ふどち飲みての後は散 … |
1657 番歌 | 官にも許したまへり今夜のみ飲まむ酒かも散 … |
1658 番歌 | 我が背子とふたり見ませばいくばくかこの降 … |
1659 番歌 | 真木の上に降り置ける雪のしくしくも思ほゆ … |
1660 番歌 | 梅の花散らすあらしの音のみに聞きし我妹を … |
1661 番歌 | 久方の月夜を清み梅の花心開けて我が思へる … |
1662 番歌 | 淡雪の消ぬべきものを今までに流らへぬるは … |
1663 番歌 | 淡雪の庭に降り敷き寒き夜を手枕まかずひと … |
第9巻 29 首
歌番号 | 本歌 |
1766 番歌 | 我妹子は釧にあらなむ左手の我が奥の手に巻 … |
1767 番歌 | 豊国の香春は我家紐児にいつがり居れば香春 … |
1768 番歌 | 石上布留の早稲田の穂には出でず心のうちに … |
1769 番歌 | かくのみし恋ひしわたればたまきはる命も我 … |
1770 番歌 | みもろの神の帯ばせる泊瀬川水脈し絶えずは … |
1771 番歌 | 後れ居て我れはや恋ひむ春霞たなびく山を君 … |
1772 番歌 | 後れ居て我れはや恋ひむ印南野の秋萩見つつ … |
1773 番歌 | 神なびの神寄せ板にする杉の思ひも過ぎず恋 … |
1774 番歌 | たらちねの母の命の言にあらば年の緒長く頼 … |
1775 番歌 | 泊瀬川夕渡り来て我妹子が家の金門に近づき … |
1776 番歌 | 絶等寸の山の峰の上の桜花咲かむ春へは君し … |
1777 番歌 | 君なくはなぞ身装はむ櫛笥なる黄楊の小櫛も … |
1778 番歌 | 明日よりは我れは恋ひむな名欲山岩踏み平し … |
1779 番歌 | 命をしま幸くもがも名欲山岩踏み平しまたま … |
1780 番歌 | ことひ牛の 三宅の潟に さし向ふ 鹿島の … |
1781 番歌 | 海つ道のなぎなむ時も渡らなむかく立つ波に … |
1782 番歌 | 雪こそば春日消ゆらめ心さへ消え失せたれや … |
1783 番歌 | 松返りしひてあれやは三栗の中上り来ぬ麻呂 … |
1784 番歌 | 海神のいづれの神を祈らばか行くさも来さも … |
1785 番歌 | 人となる ことはかたきを わくらばに な … |
1786 番歌 | み越道の雪降る山を越えむ日は留まれる我れ … |
1787 番歌 | うつせみの 世の人なれば 大君の 命畏み … |
1788 番歌 | 布留山ゆ直に見わたす都にぞ寐も寝ず恋ふる … |
1789 番歌 | 我妹子が結ひてし紐を解かめやも絶えば絶ゆ … |
1790 番歌 | 秋萩を 妻どふ鹿こそ 独り子に 子持てり … |
1791 番歌 | 旅人の宿りせむ野に霜降らば我が子羽ぐくめ … |
1792 番歌 | 白玉の 人のその名を なかなかに 言を下 … |
1793 番歌 | 垣ほなす人の横言繁みかも逢はぬ日数多く月 … |
1794 番歌 | たち変り月重なりて逢はねどもさね忘らえず … |
第10巻 155 首
第10巻は春夏秋冬で区分けしています。
春 47 首
夏 17 首
歌番号 | 本歌 |
1979 番歌 | 春さればすがるなす野の霍公鳥ほとほと妹に … |
1980 番歌 | 五月山花橘に霍公鳥隠らふ時に逢へる君かも … |
1981 番歌 | 霍公鳥来鳴く五月の短夜もひとりし寝れば明 … |
1982 番歌 | ひぐらしは時と鳴けども片恋にたわや女我れ … |
1983 番歌 | 人言は夏野の草の繁くとも妹と我れとし携は … |
1984 番歌 | このころの恋の繁けく夏草の刈り掃へども生 … |
1985 番歌 | ま葛延ふ夏野の繁くかく恋ひばまこと我が命 … |
1986 番歌 | 我れのみやかく恋すらむかきつはた丹つらふ … |
1987 番歌 | 片縒りに糸をぞ我が縒る我が背子が花橘を貫 … |
1988 番歌 | 鴬の通ふ垣根の卯の花の憂きことあれや君が … |
1989 番歌 | 卯の花の咲くとはなしにある人に恋ひやわた … |
1990 番歌 | 我れこそば憎くもあらめ我がやどの花橘を見 … |
1991 番歌 | 霍公鳥来鳴き響もす岡辺なる藤波見には君は … |
1992 番歌 | 隠りのみ恋ふれば苦しなでしこの花に咲き出 … |
1993 番歌 | 外のみに見つつ恋ひなむ紅の末摘花の色に出 … |
1994 番歌 | 夏草の露別け衣着けなくに我が衣手の干る時 … |
1995 番歌 | 六月の地さへ裂けて照る日にも我が袖干めや … |
秋 73 首
冬 18 首
歌番号 | 本歌 |
2333 番歌 | 降る雪の空に消ぬべく恋ふれども逢ふよしな … |
2334 番歌 | 沫雪は千重に降りしけ恋ひしくの日長き我れ … |
2335 番歌 | 咲き出照る梅の下枝に置く露の消ぬべく妹に … |
2336 番歌 | はなはだも夜更けてな行き道の辺の斎笹の上 … |
2337 番歌 | 笹の葉にはだれ降り覆ひ消なばかも忘れむと … |
2338 番歌 | 霰降りいたく風吹き寒き夜や旗野に今夜我が … |
2339 番歌 | 吉隠の野木に降り覆ふ白雪のいちしろくしも … |
2340 番歌 | 一目見し人に恋ふらく天霧らし降りくる雪の … |
2341 番歌 | 思ひ出づる時はすべなみ豊国の由布山雪の消 … |
2342 番歌 | 夢のごと君を相見て天霧らし降りくる雪の消 … |
2343 番歌 | 我が背子が言うるはしみ出でて行かば裳引き … |
2344 番歌 | 梅の花それとも見えず降る雪のいちしろけむ … |
2345 番歌 | 天霧らひ降りくる雪の消なめども君に逢はむ … |
2346 番歌 | うかねらふ跡見山雪のいちしろく恋ひば妹が … |
2347 番歌 | 海人小舟泊瀬の山に降る雪の日長く恋ひし君 … |
2348 番歌 | 和射見の嶺行き過ぎて降る雪のいとひもなし … |
2349 番歌 | 我が宿に咲きたる梅を月夜よみ宵々見せむ君 … |
2350 番歌 | あしひきの山のあらしは吹かねども君なき宵 … |
第13巻 57 首
第14巻 191 首
相聞歌とは?
相聞歌は、雑歌と挽歌に並ぶ万葉集の歌の種類の一つを指す。主に親しい人(家族、兄弟、恋人など)の出会いや会話のやりとりの歌だが、万葉集のほとんどが男女の交情になっているため、「相聞歌=恋の歌」というような認識が強い。
相聞歌は細かく分けて、正述心緒(心の思いのまま述べる歌)、寄物陳思(物に思いを寄せた歌)、譬喩歌(心情を表に出さず隠喩を使った表現の歌)の三つに分かれる。最初はそこまで分類されていなかったようで、正述心緒や寄物陳思が登場したのは万葉集中期ごろの11巻、12巻となる。
さらに、問答歌(問いかけと答えで成り立つ歌)、羇旅発思(きりょはっし;旅の思いの歌)、悲別歌(別れの歌)などがある。その他「雑歌」に分類されている歌の中にも相聞かと思われる歌が存在する。
後の編纂者によるものなのか、分類がはっきりしない歌が多い。
当サイトは万葉集の題詞と左注に「相聞」と書かれた歌のみ、このページに記載しました。
正述心緒、寄物陳思、譬喩歌などの歌は、別ページにまとめました。
正述心緒、寄物陳思、譬喩歌などの歌は、別ページにまとめました。