相聞歌一覧

相聞歌についてまとめました。

掲載数 全 866 首

第2巻 56 首

歌番号 本歌
85 番歌 君が行き日長くなりぬ山尋ね迎へか行かむ待 …
86 番歌 かくばかり恋ひつつあらずは高山の磐根しま …
87 番歌 ありつつも君をば待たむうち靡く我が黒髪に …
88 番歌 秋の田の穂の上に霧らふ朝霞いつへの方に我 …
89 番歌 居明かして君をば待たむぬばたまの我が黒髪 …
90 番歌 君が行き日長くなりぬ山たづの迎へを行かむ …
91 番歌 妹が家も継ぎて見ましを大和なる大島の嶺に …
92 番歌 秋山の木の下隠り行く水の我れこそ益さめ御 …
93 番歌 玉櫛笥覆ふを安み明けていなば君が名はあれ …
94 番歌 玉櫛笥みむろの山のさな葛さ寝ずはつひに有 …
95 番歌 我れはもや安見児得たり皆人の得かてにすと …
96 番歌 み薦刈る信濃の真弓我が引かば貴人さびてい …
97 番歌 み薦刈る信濃の真弓引かずして強ひさるわざ …
98 番歌 梓弓引かばまにまに寄らめども後の心を知り …
99 番歌 梓弓弦緒取りはけ引く人は後の心を知る人ぞ …
100 番歌 東人の荷前の箱の荷の緒にも妹は心に乗りに …
101 番歌 玉葛実ならぬ木にはちはやぶる神ぞつくとい …
102 番歌 玉葛花のみ咲きてならずあるは誰が恋にあら …
103 番歌 我が里に大雪降れり大原の古りにし里に降ら …
104 番歌 我が岡のおかみに言ひて降らしめし雪のくだ …
105 番歌 我が背子を大和へ遣るとさ夜更けて暁露に我 …
106 番歌 ふたり行けど行き過ぎかたき秋山をいかにか …
107 番歌 あしひきの山のしづくに妹待つと我れ立ち濡 …
108 番歌 我を待つと君が濡れけむあしひきの山のしづ …
109 番歌 大船の津守が占に告らむとはまさしに知りて …
110 番歌 大名児を彼方野辺に刈る草の束の間も我れ忘 …
111 番歌 いにしへに恋ふる鳥かも弓絃葉の御井の上よ …
112 番歌 いにしへに恋ふらむ鳥は霍公鳥けだしや鳴き …
113 番歌 み吉野の玉松が枝ははしきかも君が御言を持 …
114 番歌 秋の田の穂向きの寄れる片寄りに君に寄りな …
115 番歌 後れ居て恋ひつつあらずは追ひ及かむ道の隈 …
116 番歌 人言を繁み言痛みおのが世にいまだ渡らぬ朝 …
117 番歌 ますらをや片恋せむと嘆けども醜のますらを …
118 番歌 嘆きつつますらをのこの恋ふれこそ我が髪結 …
119 番歌 吉野川行く瀬の早みしましくも淀むことなく …
120 番歌 我妹子に恋ひつつあらずは秋萩の咲きて散り …
121 番歌 夕さらば潮満ち来なむ住吉の浅香の浦に玉藻 …
122 番歌 大船の泊つる泊りのたゆたひに物思ひ痩せぬ …
123 番歌 たけばぬれたかねば長き妹が髪このころ見ぬ …
124 番歌 人皆は今は長しとたけと言へど君が見し髪乱 …
125 番歌 橘の蔭踏む道の八衢に物をぞ思ふ妹に逢はず …
126 番歌 風流士と我れは聞けるをやど貸さず我れを帰 …
127 番歌 風流士に我れはありけりやど貸さず帰しし我 …
128 番歌 我が聞きし耳によく似る葦の末の足ひく我が …
129 番歌 古りにし嫗にしてやかくばかり恋に沈まむ手 …
130 番歌 丹生の川瀬は渡らずてゆくゆくと恋痛し我が …
131 番歌 石見の海 角の浦廻を 浦なしと 人こそ見 …
132 番歌 石見のや高角山の木の間より我が振る袖を妹 …
133 番歌 笹の葉はみ山もさやにさやげども我れは妹思 …
134 番歌 石見なる高角山の木の間ゆも我が袖振るを妹 …
135 番歌 つのさはふ 石見の海の 言さへく 唐の崎 …
136 番歌 青駒が足掻きを速み雲居にぞ妹があたりを過 …
137 番歌 秋山に落つる黄葉しましくはな散り乱ひそ妹 …
138 番歌 石見の海 津の浦をなみ 浦なしと 人こそ …
139 番歌 石見の海打歌の山の木の間より我が振る袖を …
140 番歌 な思ひと君は言へども逢はむ時いつと知りて …

第4巻 309 首

歌番号 本歌
484 番歌 一日こそ人も待ちよき長き日をかくのみ待た …
485 番歌 神代より 生れ継ぎ来れば 人さはに 国に …
486 番歌 山の端にあぢ群騒き行くなれど我れは寂しゑ …
487 番歌 近江道の鳥篭の山なる不知哉川日のころごろ …
488 番歌 君待つと我が恋ひ居れば我が宿の簾動かし秋 …
489 番歌 風をだに恋ふるは羨し風をだに来むとし待た …
490 番歌 真野の浦の淀の継橋心ゆも思へや妹が夢にし …
491 番歌 川上のいつ藻の花のいつもいつも来ませ我が …
492 番歌 衣手に取りとどこほり泣く子にもまされる我 …
493 番歌 置きていなば妹恋ひむかも敷栲の黒髪敷きて …
494 番歌 我妹子を相知らしめし人をこそ恋のまされば …
495 番歌 朝日影にほへる山に照る月の飽かざる君を山 …
496 番歌 み熊野の浦の浜木綿百重なす心は思へど直に …
497 番歌 いにしへにありけむ人も我がごとか妹に恋ひ …
498 番歌 今のみのわざにはあらずいにしへの人ぞまさ …
499 番歌 百重にも来及かぬかもと思へかも君が使の見 …
500 番歌 神風の伊勢の浜荻折り伏せて旅寝やすらむ荒 …
501 番歌 娘子らが袖布留山の瑞垣の久しき時ゆ思ひき …
502 番歌 夏野行く牡鹿の角の束の間も妹が心を忘れて …
503 番歌 玉衣のさゐさゐしづみ家の妹に物言はず来に …
504 番歌 君が家に我が住坂の家道をも我れは忘れじ命 …
505 番歌 今さらに何をか思はむうち靡き心は君に寄り …
506 番歌 我が背子は物な思ひそ事しあらば火にも水に …
507 番歌 敷栲の枕ゆくくる涙にぞ浮寝をしける恋の繁 …
508 番歌 衣手の別かる今夜ゆ妹も我れもいたく恋ひむ …
509 番歌 臣の女の 櫛笥に乗れる 鏡なす 御津の浜 …
510 番歌 白栲の袖解き交へて帰り来む月日を数みて行 …
511 番歌 我が背子はいづく行くらむ沖つ藻の名張の山 …
512 番歌 秋の田の穂田の刈りばかか寄りあはばそこも …
513 番歌 大原のこのいち柴のいつしかと我が思ふ妹に …
514 番歌 我が背子が着せる衣の針目おちず入りにけら …
515 番歌 ひとり寝て絶えにし紐をゆゆしみと為むすべ …
516 番歌 我が持てる三相に搓れる糸もちて付けてまし …
517 番歌 神木にも手は触るといふをうつたへに人妻と …
518 番歌 春日野の山辺の道をよそりなく通ひし君が見 …
519 番歌 雨障み常する君はひさかたの昨夜の夜の雨に …
520 番歌 ひさかたの雨も降らぬか雨障み君にたぐひて …
521 番歌 庭に立つ麻手刈り干し布曝す東女を忘れたま …
522 番歌 娘子らが玉櫛笥なる玉櫛の神さびけむも妹に …
523 番歌 よく渡る人は年にもありといふをいつの間に …
524 番歌 むし衾なごやが下に伏せれども妹とし寝ねば …
525 番歌 佐保川の小石踏み渡りぬばたまの黒馬来る夜 …
526 番歌 千鳥鳴く佐保の川瀬のさざれ波やむ時もなし …
527 番歌 来むと言ふも来ぬ時あるを来じと言ふを来む …
528 番歌 千鳥鳴く佐保の川門の瀬を広み打橋渡す汝が …
529 番歌 佐保川の岸のつかさの柴な刈りそねありつつ …
530 番歌 赤駒の越ゆる馬柵の標結ひし妹が心は疑ひも …
531 番歌 梓弓爪引く夜音の遠音にも君が御幸を聞かく …
532 番歌 うちひさす宮に行く子をま悲しみ留むれば苦 …
533 番歌 難波潟潮干のなごり飽くまでに人の見る子を …
534 番歌 遠妻の ここにしあらねば 玉桙の 道をた …
535 番歌 敷栲の手枕まかず間置きて年ぞ経にける逢は …
536 番歌 意宇の海の潮干の潟の片思に思ひや行かむ道 …
537 番歌 言清くいたもな言ひそ一日だに君いしなくは …
538 番歌 人言を繁み言痛み逢はずありき心あるごとな …
539 番歌 我が背子し遂げむと言はば人言は繁くありと …
540 番歌 我が背子にまたは逢はじかと思へばか今朝の …
541 番歌 この世には人言繁し来む世にも逢はむ我が背 …
542 番歌 常やまず通ひし君が使ひ来ず今は逢はじとた …
543 番歌 大君の 行幸のまにま もののふの 八十伴 …
544 番歌 後れ居て恋ひつつあらずは紀の国の妹背の山 …
545 番歌 我が背子が跡踏み求め追ひ行かば紀の関守い …
546 番歌 三香の原 旅の宿りに 玉桙の 道の行き逢 …
547 番歌 天雲の外に見しより我妹子に心も身さへ寄り …
548 番歌 今夜の早く明けなばすべをなみ秋の百夜を願 …
549 番歌 天地の神も助けよ草枕旅行く君が家にいたる …
550 番歌 大船の思ひ頼みし君が去なば我れは恋ひむな …
551 番歌 大和道の島の浦廻に寄する波間もなけむ我が …
552 番歌 我が君はわけをば死ねと思へかも逢ふ夜逢は …
553 番歌 天雲のそくへの極み遠けども心し行けば恋ふ …
554 番歌 古人のたまへしめたる吉備の酒病めばすべな …
555 番歌 君がため醸みし待酒安の野にひとりや飲まむ …
556 番歌 筑紫船いまだも来ねばあらかじめ荒ぶる君を …
557 番歌 大船を漕ぎの進みに岩に触れ覆らば覆れ妹に …
558 番歌 ちはやぶる神の社に我が懸けし幣は賜らむ妹 …
559 番歌 事もなく生き来しものを老いなみにかかる恋 …
560 番歌 恋ひ死なむ後は何せむ生ける日のためこそ妹 …
561 番歌 思はぬを思ふと言はば大野なる御笠の杜の神 …
562 番歌 暇なく人の眉根をいたづらに掻かしめつつも …
563 番歌 黒髪に白髪交り老ゆるまでかかる恋にはいま …
564 番歌 山菅の実ならぬことを我れに寄せ言はれし君 …
565 番歌 大伴の見つとは言はじあかねさし照れる月夜 …
566 番歌 草枕旅行く君を愛しみたぐひてぞ来し志賀の …
567 番歌 周防なる磐国山を越えむ日は手向けよくせよ …
568 番歌 み崎廻の荒磯に寄する五百重波立ちても居て …
569 番歌 韓人の衣染むといふ紫の心に染みて思ほゆる …
570 番歌 大和へに君が発つ日の近づけば野に立つ鹿も …
571 番歌 月夜よし川の音清しいざここに行くも行かぬ …
572 番歌 まそ鏡見飽かぬ君に後れてや朝夕にさびつつ …
573 番歌 ぬばたまの黒髪変り白けても痛き恋には逢ふ …
574 番歌 ここにありて筑紫やいづち白雲のたなびく山 …
575 番歌 草香江の入江にあさる葦鶴のあなたづたづし …
576 番歌 今よりは城の山道は寂しけむ我が通はむと思 …
577 番歌 我が衣人にな着せそ網引する難波壮士の手に …
578 番歌 天地とともに久しく住まはむと思ひてありし …
579 番歌 見まつりていまだ時だに変らねば年月のごと …
580 番歌 あしひきの山に生ひたる菅の根のねもころ見 …
581 番歌 生きてあらば見まくも知らず何しかも死なむ …
582 番歌 ますらをもかく恋ひけるをたわやめの恋ふる …
583 番歌 月草のうつろひやすく思へかも我が思ふ人の …
584 番歌 春日山朝立つ雲の居ぬ日なく見まくの欲しき …
585 番歌 出でていなむ時しはあらむをことさらに妻恋 …
586 番歌 相見ずは恋ひずあらましを妹を見てもとなか …
587 番歌 我が形見見つつ偲はせあらたまの年の緒長く …
588 番歌 白鳥の飛羽山松の待ちつつぞ我が恋ひわたる …
589 番歌 衣手を打廻の里にある我れを知らにぞ人は待 …
590 番歌 あらたまの年の経ぬれば今しはとゆめよ我が …
591 番歌 我が思ひを人に知るれか玉櫛笥開きあけつと …
592 番歌 闇の夜に鳴くなる鶴の外のみに聞きつつかあ …
593 番歌 君に恋ひいたもすべなみ奈良山の小松が下に …
594 番歌 我がやどの夕蔭草の白露の消ぬがにもとな思 …
595 番歌 我が命の全けむ限り忘れめやいや日に異には …
596 番歌 八百日行く浜の真砂も我が恋にあにまさらじ …
597 番歌 うつせみの人目を繁み石橋の間近き君に恋ひ …
598 番歌 恋にもぞ人は死にする水無瀬川下ゆ我れ痩す …
599 番歌 朝霧のおほに相見し人故に命死ぬべく恋ひわ …
600 番歌 伊勢の海の礒もとどろに寄する波畏き人に恋 …
601 番歌 心ゆも我は思はずき山川も隔たらなくにかく …
602 番歌 夕されば物思ひまさる見し人の言とふ姿面影 …
603 番歌 思ふにし死にするものにあらませば千たびぞ …
604 番歌 剣大刀身に取り添ふと夢に見つ何のさがぞも …
605 番歌 天地の神の理なくはこそ我が思ふ君に逢はず …
606 番歌 我れも思ふ人もな忘れおほなわに浦吹く風の …
607 番歌 皆人を寝よとの鐘は打つなれど君をし思へば …
608 番歌 相思はぬ人を思ふは大寺の餓鬼の後方に額つ …
609 番歌 心ゆも我は思はずきまたさらに我が故郷に帰 …
610 番歌 近くあれば見ねどもあるをいや遠く君がいま …
611 番歌 今さらに妹に逢はめやと思へかもここだ我が …
612 番歌 なかなかに黙もあらましを何すとか相見そめ …
613 番歌 もの思ふと人に見えじとなまじひに常に思へ …
614 番歌 相思はぬ人をやもとな白栲の袖漬つまでに音 …
615 番歌 我が背子は相思はずとも敷栲の君が枕は夢に …
616 番歌 剣太刀名の惜しけくも我れはなし君に逢はず …
617 番歌 葦辺より満ち来る潮のいや増しに思へか君が …
618 番歌 さ夜中に友呼ぶ千鳥物思ふとわびをる時に鳴 …
619 番歌 おしてる 難波の菅の ねもころに 君が聞 …
620 番歌 初めより長く言ひつつ頼めずはかかる思ひに …
621 番歌 間なく恋ふれにかあらむ草枕旅なる君が夢に …
622 番歌 草枕旅に久しくなりぬれば汝をこそ思へな恋 …
623 番歌 松の葉に月はゆつりぬ黄葉の過ぐれや君が逢 …
624 番歌 道に逢ひて笑まししからに降る雪の消なば消 …
625 番歌 沖辺行き辺を行き今や妹がため我が漁れる藻 …
626 番歌 君により言の繁きを故郷の明日香の川にみそ …
627 番歌 我がたもとまかむと思はむ大夫は変若水求め …
628 番歌 白髪生ふることは思はず変若水はかにもかく …
629 番歌 何すとか使の来つる君をこそかにもかくにも …
630 番歌 初花の散るべきものを人言の繁きによりてよ …
631 番歌 うはへなきものかも人はしかばかり遠き家路 …
632 番歌 目には見て手には取らえぬ月の内の楓のごと …
633 番歌 ここだくも思ひけめかも敷栲の枕片さる夢に …
634 番歌 家にして見れど飽かぬを草枕旅にも妻とある …
635 番歌 草枕旅には妻は率たれども櫛笥のうちの玉を …
636 番歌 我が衣形見に奉る敷栲の枕を放けずまきてさ …
637 番歌 我が背子が形見の衣妻どひに我が身は離けじ …
638 番歌 ただ一夜隔てしからにあらたまの月か経ぬる …
639 番歌 我が背子がかく恋ふれこそぬばたまの夢に見 …
640 番歌 はしけやし間近き里を雲居にや恋ひつつ居ら …
641 番歌 絶ゆと言はばわびしみせむと焼大刀のへつか …
642 番歌 我妹子に恋ひて乱ればくるべきに懸けて寄せ …
643 番歌 世の中の女にしあらば我が渡る痛背の川を渡 …
644 番歌 今は我はわびぞしにける息の緒に思ひし君を …
645 番歌 白栲の袖別るべき日を近み心にむせひ音のみ …
646 番歌 ますらをの思ひわびつつたびまねく嘆く嘆き …
647 番歌 心には忘るる日なく思へども人の言こそ繁き …
648 番歌 相見ずて日長くなりぬこの頃はいかに幸くや …
649 番歌 夏葛の絶えぬ使のよどめれば事しもあるごと …
650 番歌 我妹子は常世の国に住みけらし昔見しより変 …
651 番歌 ひさかたの天の露霜置きにけり家なる人も待 …
652 番歌 玉守に玉は授けてかつがつも枕と我れはいざ …
653 番歌 心には忘れぬものをたまさかに見ぬ日さまね …
654 番歌 相見ては月も経なくに恋ふと言はばをそろと …
655 番歌 思はぬを思ふと言はば天地の神も知らさむ邑 …
656 番歌 我れのみぞ君には恋ふる我が背子が恋ふとい …
657 番歌 思はじと言ひてしものをはねず色のうつろひ …
658 番歌 思へども験もなしと知るものを何かここだく …
659 番歌 あらかじめ人言繁しかくしあらばしゑや我が …
660 番歌 汝をと我を人ぞ離くなるいで我が君人の中言 …
661 番歌 恋ひ恋ひて逢へる時だにうるはしき言尽して …
662 番歌 網児の山五百重隠せる佐堤の崎さで延へし子 …
663 番歌 佐保渡り我家の上に鳴く鳥の声なつかしきは …
664 番歌 石上降るとも雨につつまめや妹に逢はむと言 …
665 番歌 向ひ居て見れども飽かぬ我妹子に立ち別れ行 …
666 番歌 相見ぬは幾久さにもあらなくにここだく我れ …
667 番歌 恋ひ恋ひて逢ひたるものを月しあれば夜は隠 …
668 番歌 朝に日に色づく山の白雲の思ひ過ぐべき君に …
669 番歌 あしひきの山橘の色に出でよ語らひ継ぎて逢 …
670 番歌 月読の光りに来ませあしひきの山きへなりて …
671 番歌 月読の光りは清く照らせれど惑へる心思ひあ …
672 番歌 しつたまき数にもあらぬ命もて何かここだく …
673 番歌 まそ鏡磨ぎし心をゆるしてば後に言ふとも験 …
674 番歌 真玉つくをちこち兼ねて言は言へど逢ひて後 …
675 番歌 をみなへし佐紀沢に生ふる花かつみかつても …
676 番歌 海の底奥を深めて我が思へる君には逢はむ年 …
677 番歌 春日山朝居る雲のおほほしく知らぬ人にも恋 …
678 番歌 直に逢ひて見てばのみこそたまきはる命に向 …
679 番歌 いなと言はば強ひめや我が背菅の根の思ひ乱 …
680 番歌 けだしくも人の中言聞かせかもここだく待て …
681 番歌 なかなかに絶ゆとし言はばかくばかり息の緒 …
682 番歌 思ふらむ人にあらなくにねもころに心尽して …
683 番歌 言ふ言の畏き国ぞ紅の色にな出でそ思ひ死ぬ …
684 番歌 今は我は死なむよ我が背生けりとも我れに依 …
685 番歌 人言を繁みか君が二鞘の家を隔てて恋ひつつ …
686 番歌 このころは千年や行きも過ぎぬると我れやし …
687 番歌 うるはしと我が思ふ心速川の塞きに塞くとも …
688 番歌 青山を横ぎる雲のいちしろく我れと笑まして …
689 番歌 海山も隔たらなくに何しかも目言をだにもこ …
690 番歌 照る月を闇に見なして泣く涙衣濡らしつ干す …
691 番歌 ももしきの大宮人は多かれど心に乗りて思ほ …
692 番歌 うはへなき妹にもあるかもかくばかり人の心 …
693 番歌 かくのみし恋ひやわたらむ秋津野にたなびく …
694 番歌 恋草を力車に七車積みて恋ふらく我が心から …
695 番歌 恋は今はあらじと我れは思へるをいづくの恋 …
696 番歌 家人に恋過ぎめやもかはづ鳴く泉の里に年の …
697 番歌 我が聞きに懸けてな言ひそ刈り薦の乱れて思 …
698 番歌 春日野に朝居る雲のしくしくに我れは恋ひ増 …
699 番歌 一瀬には千たび障らひ行く水の後にも逢はむ …
700 番歌 かくしてやなほや罷らむ近からぬ道の間をな …
701 番歌 はつはつに人を相見ていかにあらむいづれの …
702 番歌 ぬばたまのその夜の月夜今日までに我れは忘 …
703 番歌 我が背子を相見しその日今日までに我が衣手 …
704 番歌 栲縄の長き命を欲りしくは絶えずて人を見ま …
705 番歌 はねかづら今する妹を夢に見て心のうちに恋 …
706 番歌 はねかづら今する妹はなかりしをいづれの妹 …
707 番歌 思ひ遣るすべの知らねば片もひの底にぞ我れ …
708 番歌 またも逢はむよしもあらぬか白栲の我が衣手 …
709 番歌 夕闇は道たづたづし月待ちて行ませ我が背子 …
710 番歌 み空行く月の光にただ一目相見し人の夢にし …
711 番歌 鴨鳥の遊ぶこの池に木の葉落ちて浮きたる心 …
712 番歌 味酒を三輪の祝がいはふ杉手触れし罪か君に …
713 番歌 垣ほなす人言聞きて我が背子が心たゆたひ逢 …
714 番歌 心には思ひわたれどよしをなみ外のみにして …
715 番歌 千鳥鳴く佐保の川門の清き瀬を馬うち渡しい …
716 番歌 夜昼とい別き知らず我が恋ふる心はけだし夢 …
717 番歌 つれもなくあるらむ人を片思に我れは思へば …
718 番歌 思はぬに妹が笑ひを夢に見て心のうちに燃え …
719 番歌 ますらをと思へる我れをかくばかりみつれに …
720 番歌 むらきもの心砕けてかくばかり我が恋ふらく …
721 番歌 あしひきの山にしをれば風流なみ我がするわ …
722 番歌 かくばかり恋ひつつあらずは石木にもならま …
723 番歌 常世にと 我が行かなくに 小金門に もの …
724 番歌 朝髪の思ひ乱れてかくばかり汝姉が恋ふれぞ …
725 番歌 にほ鳥の潜く池水心あらば君に我が恋ふる心 …
726 番歌 外に居て恋ひつつあらずは君が家の池に住む …
727 番歌 忘れ草我が下紐に付けたれど醜の醜草言にし …
728 番歌 人もなき国もあらぬか我妹子とたづさはり行 …
729 番歌 玉ならば手にも巻かむをうつせみの世の人な …
730 番歌 逢はむ夜はいつもあらむを何すとかその宵逢 …
731 番歌 我が名はも千名の五百名に立ちぬとも君が名 …
732 番歌 今しはし名の惜しけくも我れはなし妹により …
733 番歌 うつせみの世やも二行く何すとか妹に逢はず …
734 番歌 我が思ひかくてあらずは玉にもがまことも妹 …
735 番歌 春日山霞たなびき心ぐく照れる月夜にひとり …
736 番歌 月夜には門に出で立ち夕占問ひ足占をぞせし …
737 番歌 かにかくに人は言ふとも若狭道の後瀬の山の …
738 番歌 世の中の苦しきものにありけらし恋にあへず …
739 番歌 後瀬山後も逢はむと思へこそ死ぬべきものを …
740 番歌 言のみを後も逢はむとねもころに我れを頼め …
741 番歌 夢の逢ひは苦しかりけりおどろきて掻き探れ …
742 番歌 一重のみ妹が結ばむ帯をすら三重結ぶべく我 …
743 番歌 我が恋は千引の石を七ばかり首に懸けむも神 …
744 番歌 夕さらば屋戸開け設けて我れ待たむ夢に相見 …
745 番歌 朝夕に見む時さへや我妹子が見れど見ぬごと …
746 番歌 生ける世に我はいまだ見ず言絶えてかくおも …
747 番歌 我妹子が形見の衣下に着て直に逢ふまでは我 …
748 番歌 恋ひ死なむそこも同じぞ何せむに人目人言言 …
749 番歌 夢にだに見えばこそあらめかくばかり見えず …
750 番歌 思ひ絶えわびにしものを中々に何か苦しく相 …
751 番歌 相見ては幾日も経ぬをここだくもくるひにく …
752 番歌 かくばかり面影にのみ思ほえばいかにかもせ …
753 番歌 相見てはしましも恋はなぎむかと思へどいよ …
754 番歌 夜のほどろ我が出でて来れば我妹子が思へり …
755 番歌 夜のほどろ出でつつ来らくたび数多くなれば …
756 番歌 外に居て恋ふれば苦し我妹子を継ぎて相見む …
757 番歌 遠くあらばわびてもあらむを里近くありと聞 …
758 番歌 白雲のたなびく山の高々に我が思ふ妹を見む …
759 番歌 いかならむ時にか妹を葎生の汚なきやどに入 …
760 番歌 うち渡す武田の原に鳴く鶴の間なく時なし我 …
761 番歌 早川の瀬に居る鳥のよしをなみ思ひてありし …
762 番歌 神さぶといなにはあらずはたやはたかくして …
763 番歌 玉の緒を沫緒に搓りて結べらばありて後にも …
764 番歌 百年に老舌出でてよよむとも我れはいとはじ …
765 番歌 一重山へなれるものを月夜よみ門に出で立ち …
766 番歌 道遠み来じとは知れるものからにしかぞ待つ …
767 番歌 都路を遠みか妹がこのころはうけひて寝れど …
768 番歌 今知らす久迩の都に妹に逢はず久しくなりぬ …
769 番歌 ひさかたの雨の降る日をただ独り山辺に居れ …
770 番歌 人目多み逢はなくのみぞ心さへ妹を忘れて我 …
771 番歌 偽りも似つきてぞするうつしくもまこと我妹 …
772 番歌 夢にだに見えむと我れはほどけども相し思は …
773 番歌 言とはぬ木すらあじさゐ諸弟らが練りのむら …
774 番歌 百千たび恋ふと言ふとも諸弟らが練りのこと …
775 番歌 鶉鳴く古りにし里ゆ思へども何ぞも妹に逢ふ …
776 番歌 言出しは誰が言にあるか小山田の苗代水の中 …
777 番歌 我妹子がやどの籬を見に行かばけだし門より …
778 番歌 うつたへに籬の姿見まく欲り行かむと言へや …
779 番歌 板葺の黒木の屋根は山近し明日の日取りて持 …
780 番歌 黒木取り草も刈りつつ仕へめどいそしきわけ …
781 番歌 ぬばたまの昨夜は帰しつ今夜さへ我れを帰す …
782 番歌 風高く辺には吹けども妹がため袖さへ濡れて …
783 番歌 をととしの先つ年より今年まで恋ふれどなぞ …
784 番歌 うつつにはさらにもえ言はず夢にだに妹が手 …
785 番歌 我がやどの草の上白く置く露の身も惜しから …
786 番歌 春の雨はいやしき降るに梅の花いまだ咲かな …
787 番歌 夢のごと思ほゆるかもはしきやし君が使の数 …
788 番歌 うら若み花咲きかたき梅を植ゑて人の言繁み …
789 番歌 心ぐく思ほゆるかも春霞たなびく時に言の通 …
790 番歌 春風の音にし出なばありさりて今ならずとも …
791 番歌 奥山の岩蔭に生ふる菅の根のねもころ我れも …
792 番歌 春雨を待つとにしあらし我がやどの若木の梅 …

第8巻 69 首

第8巻は春夏秋冬で区分けしています。

春 17 首

歌番号 本歌
1448 番歌 我がやどに蒔きしなでしこいつしかも花に咲 …
1449 番歌 茅花抜く浅茅が原のつほすみれ今盛りなり我 …
1450 番歌 心ぐきものにぞありける春霞たなびく時に恋 …
1451 番歌 水鳥の鴨の羽色の春山のおほつかなくも思ほ …
1452 番歌 闇ならばうべも来まさじ梅の花咲ける月夜に …
1453 番歌 玉たすき 懸けぬ時なく 息の緒に 我が思 …
1454 番歌 波の上ゆ見ゆる小島の雲隠りあな息づかし相 …
1455 番歌 たまきはる命に向ひ恋ひむゆは君が御船の楫 …
1456 番歌 この花の一節のうちに百種の言ぞ隠れるおほ …
1457 番歌 この花の一節のうちは百種の言待ちかねて折 …
1458 番歌 やどにある桜の花は今もかも松風早み地に散 …
1459 番歌 世間も常にしあらねばやどにある桜の花の散 …
1460 番歌 戯奴 [變云 わけ] がため我が手もすま …
1461 番歌 昼は咲き夜は恋ひ寝る合歓木の花君のみ見め …
1462 番歌 我が君に戯奴は恋ふらし賜りたる茅花を食め …
1463 番歌 我妹子が形見の合歓木は花のみに咲きてけだ …
1464 番歌 春霞たなびく山のへなれれば妹に逢はずて月 …

夏 12 首

歌番号 本歌
1498 番歌 暇なみ来まさぬ君に霍公鳥我れかく恋ふと行 …
1499 番歌 言繁み君は来まさず霍公鳥汝れだに来鳴け朝 …
1500 番歌 夏の野の茂みに咲ける姫百合の知らえぬ恋は …
1501 番歌 霍公鳥鳴く峰の上の卯の花の憂きことあれや …
1502 番歌 五月の花橘を君がため玉にこそ貫け散らまく …
1503 番歌 我妹子が家の垣内のさ百合花ゆりと言へるは …
1504 番歌 暇なみ五月をすらに我妹子が花橘を見ずか過 …
1505 番歌 霍公鳥鳴きしすなはち君が家に行けと追ひし …
1506 番歌 故郷の奈良思の岡の霍公鳥言告げ遣りしいか …
1507 番歌 いかといかと ある我が宿に 百枝さし 生 …
1508 番歌 望ぐたち清き月夜に我妹子に見せむと思ひし …
1509 番歌 妹が見て後も鳴かなむ霍公鳥花橘を地に散ら …

秋 31 首

歌番号 本歌
1510 番歌 なでしこは咲きて散りぬと人は言へど我が標 …
1606 番歌 君待つと我が恋ひをれば我が宿の簾動かし秋 …
1607 番歌 風をだに恋ふるは羨し風をだに来むとし待た …
1608 番歌 秋萩の上に置きたる白露の消かもしなまし恋 …
1609 番歌 宇陀の野の秋萩しのぎ鳴く鹿も妻に恋ふらく …
1610 番歌 高円の秋野の上のなでしこの花うら若み人の …
1611 番歌 あしひきの山下響め鳴く鹿の言ともしかも我 …
1612 番歌 神さぶといなにはあらず秋草の結びし紐を解 …
1613 番歌 秋の野を朝行く鹿の跡もなく思ひし君に逢へ …
1614 番歌 九月のその初雁の使にも思ふ心は聞こえ来ぬ …
1615 番歌 大の浦のその長浜に寄する波ゆたけく君を思 …
1616 番歌 朝ごとに我が見る宿のなでしこの花にも君は …
1617 番歌 秋萩に置きたる露の風吹きて落つる涙は留め …
1618 番歌 玉に貫き消たず賜らむ秋萩の末わくらばに置 …
1619 番歌 玉桙の道は遠けどはしきやし妹を相見に出で …
1620 番歌 あらたまの月立つまでに来まさねば夢にし見 …
1621 番歌 我が宿の萩花咲けり見に来ませいま二日だみ …
1622 番歌 我が宿の秋の萩咲く夕影に今も見てしか妹が …
1623 番歌 我が宿にもみつ蝦手見るごとに妹を懸けつつ …
1624 番歌 我が蒔ける早稲田の穂立作りたるかづらぞ見 …
1625 番歌 我妹子が業と作れる秋の田の早稲穂のかづら …
1626 番歌 秋風の寒きこのころ下に着む妹が形見とかつ …
1627 番歌 我が宿の時じき藤のめづらしく今も見てしか …
1628 番歌 我が宿の萩の下葉は秋風もいまだ吹かねばか …
1629 番歌 ねもころに 物を思へば 言はむすべ 為む …
1630 番歌 高円の野辺のかほ花面影に見えつつ妹は忘れ …
1631 番歌 今造る久迩の都に秋の夜の長きにひとり寝る …
1632 番歌 あしひきの山辺に居りて秋風の日に異に吹け …
1633 番歌 手もすまに植ゑし萩にやかへりては見れども …
1634 番歌 衣手に水渋付くまで植ゑし田を引板我が延へ …
1635 番歌 佐保川の水を堰き上げて植ゑし田を [尼作 …

冬 9 首

歌番号 本歌
1655 番歌 高山の菅の葉しのぎ降る雪の消ぬと言ふべく …
1656 番歌 酒杯に梅の花浮かべ思ふどち飲みての後は散 …
1657 番歌 官にも許したまへり今夜のみ飲まむ酒かも散 …
1658 番歌 我が背子とふたり見ませばいくばくかこの降 …
1659 番歌 真木の上に降り置ける雪のしくしくも思ほゆ …
1660 番歌 梅の花散らすあらしの音のみに聞きし我妹を …
1661 番歌 久方の月夜を清み梅の花心開けて我が思へる …
1662 番歌 淡雪の消ぬべきものを今までに流らへぬるは …
1663 番歌 淡雪の庭に降り敷き寒き夜を手枕まかずひと …

第9巻 29 首

歌番号 本歌
1766 番歌 我妹子は釧にあらなむ左手の我が奥の手に巻 …
1767 番歌 豊国の香春は我家紐児にいつがり居れば香春 …
1768 番歌 石上布留の早稲田の穂には出でず心のうちに …
1769 番歌 かくのみし恋ひしわたればたまきはる命も我 …
1770 番歌 みもろの神の帯ばせる泊瀬川水脈し絶えずは …
1771 番歌 後れ居て我れはや恋ひむ春霞たなびく山を君 …
1772 番歌 後れ居て我れはや恋ひむ印南野の秋萩見つつ …
1773 番歌 神なびの神寄せ板にする杉の思ひも過ぎず恋 …
1774 番歌 たらちねの母の命の言にあらば年の緒長く頼 …
1775 番歌 泊瀬川夕渡り来て我妹子が家の金門に近づき …
1776 番歌 絶等寸の山の峰の上の桜花咲かむ春へは君し …
1777 番歌 君なくはなぞ身装はむ櫛笥なる黄楊の小櫛も …
1778 番歌 明日よりは我れは恋ひむな名欲山岩踏み平し …
1779 番歌 命をしま幸くもがも名欲山岩踏み平しまたま …
1780 番歌 ことひ牛の 三宅の潟に さし向ふ 鹿島の …
1781 番歌 海つ道のなぎなむ時も渡らなむかく立つ波に …
1782 番歌 雪こそば春日消ゆらめ心さへ消え失せたれや …
1783 番歌 松返りしひてあれやは三栗の中上り来ぬ麻呂 …
1784 番歌 海神のいづれの神を祈らばか行くさも来さも …
1785 番歌 人となる ことはかたきを わくらばに な …
1786 番歌 み越道の雪降る山を越えむ日は留まれる我れ …
1787 番歌 うつせみの 世の人なれば 大君の 命畏み …
1788 番歌 布留山ゆ直に見わたす都にぞ寐も寝ず恋ふる …
1789 番歌 我妹子が結ひてし紐を解かめやも絶えば絶ゆ …
1790 番歌 秋萩を 妻どふ鹿こそ 独り子に 子持てり …
1791 番歌 旅人の宿りせむ野に霜降らば我が子羽ぐくめ …
1792 番歌 白玉の 人のその名を なかなかに 言を下 …
1793 番歌 垣ほなす人の横言繁みかも逢はぬ日数多く月 …
1794 番歌 たち変り月重なりて逢はねどもさね忘らえず …

第10巻 155 首

第10巻は春夏秋冬で区分けしています。

春 47 首

歌番号 本歌
1890 番歌 春山の友鴬の泣き別れ帰ります間も思ほせ我 …
1891 番歌 冬こもり春咲く花を手折り持ち千たびの限り …
1892 番歌 春山の霧に惑へる鴬も我れにまさりて物思は …
1893 番歌 出でて見る向ひの岡に本茂く咲きたる花のな …
1894 番歌 霞立つ春の長日を恋ひ暮らし夜も更けゆくに …
1895 番歌 春さればまづさきくさの幸くあらば後にも逢 …
1896 番歌 春さればしだり柳のとををにも妹は心に乗り …
1897 番歌 春さればもずの草ぐき見えずとも我れは見や …
1898 番歌 貌鳥の間なくしば鳴く春の野の草根の繁き恋 …
1899 番歌 春されば卯の花ぐたし我が越えし妹が垣間は …
1900 番歌 梅の花咲き散る園に我れ行かむ君が使を片待 …
1901 番歌 藤波の咲く春の野に延ふ葛の下よし恋ひば久 …
1902 番歌 春の野に霞たなびき咲く花のかくなるまでに …
1903 番歌 我が背子に我が恋ふらくは奥山の馬酔木の花 …
1904 番歌 梅の花しだり柳に折り交へ花に供へば君に逢 …
1905 番歌 をみなへし佐紀野に生ふる白つつじ知らぬこ …
1906 番歌 梅の花我れは散らさじあをによし奈良なる人 …
1907 番歌 かくしあらば何か植ゑけむ山吹のやむ時もな …
1908 番歌 春されば水草の上に置く霜の消につつも我れ …
1909 番歌 春霞山にたなびきおほほしく妹を相見て後恋 …
1910 番歌 春霞立ちにし日より今日までに我が恋やまず …
1911 番歌 さ丹つらふ妹を思ふと霞立つ春日もくれに恋 …
1912 番歌 たまきはる我が山の上に立つ霞立つとも居と …
1913 番歌 見わたせば春日の野辺に立つ霞見まくの欲し …
1914 番歌 恋ひつつも今日は暮らしつ霞立つ明日の春日 …
1915 番歌 我が背子に恋ひてすべなみ春雨の降るわき知 …
1916 番歌 今さらに君はい行かじ春雨の心を人の知らず …
1917 番歌 春雨に衣はいたく通らめや七日し降らば七日 …
1918 番歌 梅の花散らす春雨いたく降る旅にや君が廬り …
1919 番歌 国栖らが春菜摘むらむ司馬の野のしばしば君 …
1920 番歌 春草の繁き我が恋大海の辺に行く波の千重に …
1921 番歌 おほほしく君を相見て菅の根の長き春日を恋 …
1922 番歌 梅の花咲きて散りなば我妹子を来むか来じか …
1923 番歌 白真弓今春山に行く雲の行きや別れむ恋しき …
1924 番歌 大夫の伏し居嘆きて作りたるしだり柳のかづ …
1925 番歌 朝戸出の君が姿をよく見ずて長き春日を恋ひ …
1926 番歌 春山の馬酔木の花の悪しからぬ君にはしゑや …
1927 番歌 石上布留の神杉神びにし我れやさらさら恋に …
1928 番歌 さのかたは実にならずとも花のみに咲きて見 …
1929 番歌 さのかたは実になりにしを今さらに春雨降り …
1930 番歌 梓弓引津の辺なるなのりその花咲くまでに逢 …
1931 番歌 川の上のいつ藻の花のいつもいつも来ませ我 …
1932 番歌 春雨のやまず降る降る我が恋ふる人の目すら …
1933 番歌 我妹子に恋ひつつ居れば春雨のそれも知るご …
1934 番歌 相思はぬ妹をやもとな菅の根の長き春日を思 …
1935 番歌 春さればまづ鳴く鳥の鴬の言先立ちし君をし …
1936 番歌 相思はずあるらむ子ゆゑ玉の緒の長き春日を …

夏 17 首

歌番号 本歌
1979 番歌 春さればすがるなす野の霍公鳥ほとほと妹に …
1980 番歌 五月山花橘に霍公鳥隠らふ時に逢へる君かも …
1981 番歌 霍公鳥来鳴く五月の短夜もひとりし寝れば明 …
1982 番歌 ひぐらしは時と鳴けども片恋にたわや女我れ …
1983 番歌 人言は夏野の草の繁くとも妹と我れとし携は …
1984 番歌 このころの恋の繁けく夏草の刈り掃へども生 …
1985 番歌 ま葛延ふ夏野の繁くかく恋ひばまこと我が命 …
1986 番歌 我れのみやかく恋すらむかきつはた丹つらふ …
1987 番歌 片縒りに糸をぞ我が縒る我が背子が花橘を貫 …
1988 番歌 鴬の通ふ垣根の卯の花の憂きことあれや君が …
1989 番歌 卯の花の咲くとはなしにある人に恋ひやわた …
1990 番歌 我れこそば憎くもあらめ我がやどの花橘を見 …
1991 番歌 霍公鳥来鳴き響もす岡辺なる藤波見には君は …
1992 番歌 隠りのみ恋ふれば苦しなでしこの花に咲き出 …
1993 番歌 外のみに見つつ恋ひなむ紅の末摘花の色に出 …
1994 番歌 夏草の露別け衣着けなくに我が衣手の干る時 …
1995 番歌 六月の地さへ裂けて照る日にも我が袖干めや …

秋 73 首

歌番号 本歌
2239 番歌 秋山のしたひが下に鳴く鳥の声だに聞かば何 …
2240 番歌 誰ぞかれと我れをな問ひそ九月の露に濡れつ …
2241 番歌 秋の夜の霧立ちわたりおほほしく夢にぞ見つ …
2242 番歌 秋の野の尾花が末の生ひ靡き心は妹に寄りに …
2243 番歌 秋山に霜降り覆ひ木の葉散り年は行くとも我 …
2244 番歌 住吉の岸を田に墾り蒔きし稲かくて刈るまで …
2245 番歌 太刀の後玉纒田居にいつまでか妹を相見ず家 …
2246 番歌 秋の田の穂の上に置ける白露の消ぬべくも我 …
2247 番歌 秋の田の穂向きの寄れる片寄りに我れは物思 …
2248 番歌 秋田刈る刈廬を作り廬りしてあるらむ君を見 …
2249 番歌 鶴が音の聞こゆる田居に廬りして我れ旅なり …
2250 番歌 春霞たなびく田居に廬つきて秋田刈るまで思 …
2251 番歌 橘を守部の里の門田早稲刈る時過ぎぬ来じと …
2252 番歌 秋萩の咲き散る野辺の夕露に濡れつつ来ませ …
2253 番歌 色づかふ秋の露霜な降りそね妹が手本をまか …
2254 番歌 秋萩の上に置きたる白露の消かもしなまし恋 …
2255 番歌 我が宿の秋萩の上に置く露のいちしろくしも …
2256 番歌 秋の穂をしのに押しなべ置く露の消かもしな …
2257 番歌 露霜に衣手濡れて今だにも妹がり行かな夜は …
2258 番歌 秋萩の枝もとををに置く露の消かもしなまし …
2259 番歌 秋萩の上に白露置くごとに見つつぞ偲ふ君が …
2260 番歌 我妹子は衣にあらなむ秋風の寒きこのころ下 …
2261 番歌 泊瀬風かく吹く宵はいつまでか衣片敷き我が …
2262 番歌 秋萩を散らす長雨の降るころはひとり起き居 …
2263 番歌 九月のしぐれの雨の山霧のいぶせき我が胸誰 …
2264 番歌 こほろぎの待ち喜ぶる秋の夜を寝る験なし枕 …
2265 番歌 朝霞鹿火屋が下に鳴くかはづ声だに聞かば我 …
2266 番歌 出でて去なば天飛ぶ雁の泣きぬべみ今日今日 …
2267 番歌 さを鹿の朝伏す小野の草若み隠らひかねて人 …
2268 番歌 さを鹿の小野の草伏いちしろく我がとはなく …
2269 番歌 今夜の暁ぐたち鳴く鶴の思ひは過ぎず恋こそ …
2270 番歌 道の辺の尾花が下の思ひ草今さらさらに何を …
2271 番歌 草深みこほろぎさはに鳴くやどの萩見に君は …
2272 番歌 秋づけば水草の花のあえぬがに思へど知らじ …
2273 番歌 何すとか君をいとはむ秋萩のその初花の嬉し …
2274 番歌 臥いまろび恋ひは死ぬともいちしろく色には …
2275 番歌 言に出でて云はばゆゆしみ朝顔の穂には咲き …
2276 番歌 雁がねの初声聞きて咲き出たる宿の秋萩見に …
2277 番歌 さを鹿の入野のすすき初尾花いづれの時か妹 …
2278 番歌 恋ふる日の日長くしあれば我が園の韓藍の花 …
2279 番歌 我が里に今咲く花のをみなへし堪へぬ心にな …
2280 番歌 萩の花咲けるを見れば君に逢はずまことも久 …
2281 番歌 朝露に咲きすさびたる月草の日くたつなへに …
2282 番歌 長き夜を君に恋ひつつ生けらずは咲きて散り …
2283 番歌 我妹子に逢坂山のはだすすき穂には咲き出ず …
2284 番歌 いささめに今も見が欲し秋萩のしなひにある …
2285 番歌 秋萩の花野のすすき穂には出でず我が恋ひわ …
2286 番歌 我が宿に咲きし秋萩散り過ぎて実になるまで …
2287 番歌 我が宿の萩咲きにけり散らぬ間に早来て見べ …
2288 番歌 石橋の間々に生ひたるかほ花の花にしありけ …
2289 番歌 藤原の古りにし里の秋萩は咲きて散りにき君 …
2290 番歌 秋萩を散り過ぎぬべみ手折り持ち見れども寂 …
2291 番歌 朝咲き夕は消ぬる月草の消ぬべき恋も我れは …
2292 番歌 秋津野の尾花刈り添へ秋萩の花を葺かさね君 …
2293 番歌 咲けりとも知らずしあらば黙もあらむこの秋 …
2294 番歌 秋されば雁飛び越ゆる龍田山立ちても居ても …
2295 番歌 我が宿の葛葉日に異に色づきぬ来まさぬ君は …
2296 番歌 あしひきの山さな葛もみつまで妹に逢はずや …
2297 番歌 黄葉の過ぎかてぬ子を人妻と見つつやあらむ …
2298 番歌 君に恋ひ萎えうらぶれ我が居れば秋風吹きて …
2299 番歌 秋の夜の月かも君は雲隠りしましく見ねばこ …
2300 番歌 九月の有明の月夜ありつつも君が来まさば我 …
2301 番歌 よしゑやし恋ひじとすれど秋風の寒く吹く夜 …
2302 番歌 ある人のあな心なと思ふらむ秋の長夜を寝覚 …
2303 番歌 秋の夜を長しと言へど積もりにし恋を尽せば …
2304 番歌 秋つ葉ににほへる衣我れは着じ君に奉らば夜 …
2305 番歌 旅にすら紐解くものを言繁みまろ寝ぞ我がす …
2306 番歌 しぐれ降る暁月夜紐解かず恋ふらむ君と居ら …
2307 番歌 黄葉に置く白露の色端にも出でじと思へば言 …
2308 番歌 雨降ればたぎつ山川岩に触れ君が砕かむ心は …
2309 番歌 祝らが斎ふ社の黄葉も標縄越えて散るといふ …
2310 番歌 こほろぎの我が床の辺に鳴きつつもとな置き …
2311 番歌 はだすすき穂には咲き出ぬ恋をぞ我がする玉 …

冬 18 首

歌番号 本歌
2333 番歌 降る雪の空に消ぬべく恋ふれども逢ふよしな …
2334 番歌 沫雪は千重に降りしけ恋ひしくの日長き我れ …
2335 番歌 咲き出照る梅の下枝に置く露の消ぬべく妹に …
2336 番歌 はなはだも夜更けてな行き道の辺の斎笹の上 …
2337 番歌 笹の葉にはだれ降り覆ひ消なばかも忘れむと …
2338 番歌 霰降りいたく風吹き寒き夜や旗野に今夜我が …
2339 番歌 吉隠の野木に降り覆ふ白雪のいちしろくしも …
2340 番歌 一目見し人に恋ふらく天霧らし降りくる雪の …
2341 番歌 思ひ出づる時はすべなみ豊国の由布山雪の消 …
2342 番歌 夢のごと君を相見て天霧らし降りくる雪の消 …
2343 番歌 我が背子が言うるはしみ出でて行かば裳引き …
2344 番歌 梅の花それとも見えず降る雪のいちしろけむ …
2345 番歌 天霧らひ降りくる雪の消なめども君に逢はむ …
2346 番歌 うかねらふ跡見山雪のいちしろく恋ひば妹が …
2347 番歌 海人小舟泊瀬の山に降る雪の日長く恋ひし君 …
2348 番歌 和射見の嶺行き過ぎて降る雪のいとひもなし …
2349 番歌 我が宿に咲きたる梅を月夜よみ宵々見せむ君 …
2350 番歌 あしひきの山のあらしは吹かねども君なき宵 …

第13巻 57 首

歌番号 本歌
3248 番歌 磯城島の 大和の国に 人さはに 満ちてあ …
3249 番歌 磯城島の大和の国に人ふたりありとし思はば …
3250 番歌 蜻蛉島 大和の国は 神からと 言挙げせぬ …
3251 番歌 大船の思ひ頼める君ゆゑに尽す心は惜しけく …
3252 番歌 ひさかたの都を置きて草枕旅行く君をいつと …
3253 番歌 葦原の 瑞穂の国は 神ながら 言挙げせぬ …
3254 番歌 磯城島の大和の国は言霊の助くる国ぞま幸く …
3255 番歌 古ゆ 言ひ継ぎけらく 恋すれば 苦しきも …
3256 番歌 しくしくに思はず人はあるらめどしましくも …
3257 番歌 直に来ずこゆ巨勢道から岩せ踏みなづみぞ我 …
3258 番歌 あらたまの 年は来ゆきて 玉梓の 使の来 …
3259 番歌 かくのみし相思はずあらば天雲の外にぞ君は …
3260 番歌 小治田の 年魚道の水を 間なくぞ 人は汲 …
3261 番歌 思ひ遣るすべのたづきも今はなし君に逢はず …
3262 番歌 瑞垣の久しき時ゆ恋すれば我が帯緩ふ朝宵ご …
3263 番歌 こもりくの 泊瀬の川の 上つ瀬に 斎杭を …
3264 番歌 年渡るまでにも人はありといふをいつの間に …
3265 番歌 世の中を憂しと思ひて家出せし我れや何にか …
3266 番歌 春されば 花咲ををり 秋づけば 丹のほに …
3267 番歌 明日香川瀬々の玉藻のうち靡き心は妹に寄り …
3268 番歌 みもろの 神奈備山ゆ との曇り 雨は降り …
3269 番歌 帰りにし人を思ふとぬばたまのその夜は我れ …
3270 番歌 さし焼かむ 小屋の醜屋に かき棄てむ 破 …
3271 番歌 我が心焼くも我れなりはしきやし君に恋ふる …
3272 番歌 うちはへて 思ひし小野は 遠からぬ その …
3273 番歌 二つなき恋をしすれば常の帯を三重結ぶべく …
3274 番歌 為むすべの たづきを知らに 岩が根の こ …
3275 番歌 ひとり寝る夜を数へむと思へども恋の繁きに …
3276 番歌 百足らず 山田の道を 波雲の 愛し妻と …
3277 番歌 寐も寝ずに我が思ふ君はいづくへに今夜誰れ …
3278 番歌 赤駒を 馬屋に立て 黒駒を 馬屋に立てて …
3279 番歌 葦垣の末かき分けて君越ゆと人にな告げそ事 …
3280 番歌 我が背子は 待てど来まさず 天の原 振り …
3281 番歌 我が背子は 待てど来まさず 雁が音も 響 …
3282 番歌 衣手にあらしの吹きて寒き夜を君来まさずは …
3283 番歌 今さらに恋ふとも君に逢はめやも寝る夜をお …
3284 番歌 菅の根の ねもころごろに 我が思へる 妹 …
3285 番歌 たらちねの母にも言はずつつめりし心はよし …
3286 番歌 玉たすき 懸けぬ時なく 我が思へる 君に …
3287 番歌 天地の神を祈りて我が恋ふる君いかならず逢 …
3288 番歌 大船の 思ひ頼みて さな葛 いや遠長く …
3289 番歌 み佩かしを 剣の池の 蓮葉に 溜まれる水 …
3290 番歌 いにしへの神の時より逢ひけらし今の心も常 …
3291 番歌 み吉野の 真木立つ山に 青く生ふる 山菅 …
3292 番歌 うつせみの命を長くありこそと留まれる我れ …
3293 番歌 み吉野の 御金が岳に 間なくぞ 雨は降る …
3294 番歌 み雪降る吉野の岳に居る雲の外に見し子に恋 …
3295 番歌 うちひさつ 三宅の原ゆ 直土に 足踏み貫 …
3296 番歌 父母に知らせぬ子ゆゑ三宅道の夏野の草をな …
3297 番歌 玉たすき 懸けぬ時なく 我が思ふ 妹にし …
3298 番歌 よしゑやし死なむよ我妹生けりともかくのみ …
3299 番歌 見わたしに 妹らは立たし この方に 我れ …
3300 番歌 おしてる 難波の崎に 引き泝る 赤のそほ …
3301 番歌 神風の 伊勢の海の 朝なぎに 来寄る深海 …
3302 番歌 紀の国の 牟婁の江の辺に 千年に 障るこ …
3303 番歌 里人の 我れに告ぐらく 汝が恋ふる うつ …
3304 番歌 聞かずして黙もあらましを何しかも君が直香 …

第14巻 191 首

歌番号 本歌
3353 番歌 あらたまの伎倍の林に汝を立てて行きかつま …
3354 番歌 伎倍人のまだら衾に綿さはだ入りなましもの …
3355 番歌 天の原富士の柴山この暗の時ゆつりなば逢は …
3356 番歌 富士の嶺のいや遠長き山道をも妹がりとへば …
3357 番歌 霞居る富士の山びに我が来なばいづち向きて …
3358 番歌 さ寝らくは玉の緒ばかり恋ふらくは富士の高 …
3359 番歌 駿河の海おし辺に生ふる浜つづら汝を頼み母 …
3360 番歌 伊豆の海に立つ白波のありつつも継ぎなむも …
3361 番歌 足柄のをてもこのもにさすわなのかなるまし …
3362 番歌 相模嶺の小峰見そくし忘れ来る妹が名呼びて …
3363 番歌 我が背子を大和へ遣りて待つしだす足柄山の …
3364 番歌 足柄の箱根の山に粟蒔きて実とはなれるを粟 …
3365 番歌 鎌倉の見越しの崎の岩崩えの君が悔ゆべき心 …
3366 番歌 ま愛しみさ寝に我は行く鎌倉の水無瀬川に潮 …
3367 番歌 百づ島足柄小舟歩き多み目こそ離るらめ心は …
3368 番歌 あしがりの土肥の河内に出づる湯のよにもた …
3369 番歌 あしがりの麻万の小菅の菅枕あぜかまかさむ …
3370 番歌 あしがりの箱根の嶺ろのにこ草の花つ妻なれ …
3371 番歌 足柄のみ坂畏み曇り夜の我が下ばへをこち出 …
3372 番歌 相模道の余綾の浜の真砂なす子らは愛しく思 …
3373 番歌 多摩川にさらす手作りさらさらになにぞこの …
3374 番歌 武蔵野に占部肩焼きまさでにも告らぬ君が名 …
3375 番歌 武蔵野のをぐきが雉立ち別れ去にし宵より背 …
3376 番歌 恋しけば袖も振らむを武蔵野のうけらが花の …
3377 番歌 武蔵野の草葉もろ向きかもかくも君がまにま …
3378 番歌 入間道の於保屋が原のいはゐつら引かばぬる …
3379 番歌 我が背子をあどかも言はむ武蔵野のうけらが …
3380 番歌 埼玉の津に居る船の風をいたみ綱は絶ゆとも …
3381 番歌 夏麻引く宇奈比をさして飛ぶ鳥の至らむとぞ …
3382 番歌 馬来田の嶺ろの笹葉の露霜の濡れて我来なば …
3383 番歌 馬来田の嶺ろに隠り居かくだにも国の遠かば …
3384 番歌 葛飾の真間の手児名をまことかも我れに寄す …
3385 番歌 葛飾の真間の手児名がありしかば真間のおす …
3386 番歌 にほ鳥の葛飾早稲をにへすともその愛しきを …
3387 番歌 足の音せず行かむ駒もが葛飾の真間の継橋や …
3388 番歌 筑波嶺の嶺ろに霞居過ぎかてに息づく君を率 …
3389 番歌 妹が門いや遠そきぬ筑波山隠れぬほとに袖は …
3390 番歌 筑波嶺にかか鳴く鷲の音のみをか泣きわたり …
3391 番歌 筑波嶺にそがひに見ゆる葦穂山悪しかるとが …
3392 番歌 筑波嶺の岩もとどろに落つる水よにもたゆら …
3393 番歌 筑波嶺のをてもこのもに守部据ゑ母い守れど …
3394 番歌 さ衣の小筑波嶺ろの山の崎忘ら来ばこそ汝を …
3395 番歌 小筑波の嶺ろに月立し間夜はさはだなりぬを …
3396 番歌 小筑波の茂き木の間よ立つ鳥の目ゆか汝を見 …
3397 番歌 常陸なる浪逆の海の玉藻こそ引けば絶えすれ …
3398 番歌 人皆の言は絶ゆとも埴科の石井の手児が言な …
3399 番歌 信濃道は今の墾り道刈りばねに足踏ましなむ …
3400 番歌 信濃なる千曲の川のさざれ石も君し踏みてば …
3401 番歌 なかまなに浮き居る船の漕ぎ出なば逢ふこと …
3402 番歌 日の暮れに碓氷の山を越ゆる日は背なのが袖 …
3403 番歌 我が恋はまさかも愛し草枕多胡の入野の奥も …
3404 番歌 上つ毛野安蘇のま麻むらかき抱き寝れど飽か …
3405 番歌 上つ毛野乎度の多杼里が川路にも子らは逢は …
3406 番歌 上つ毛野佐野の茎立ち折りはやし我れは待た …
3407 番歌 上つ毛野まぐはしまとに朝日さしまきらはし …
3408 番歌 新田山嶺にはつかなな我に寄そりはしなる子 …
3409 番歌 伊香保ろに天雲い継ぎかぬまづく人とおたは …
3410 番歌 伊香保ろの沿ひの榛原ねもころに奥をなかね …
3411 番歌 多胡の嶺に寄せ綱延へて寄すれどもあにくや …
3412 番歌 上つ毛野久路保の嶺ろの葛葉がた愛しけ子ら …
3413 番歌 利根川の川瀬も知らず直渡り波にあふのす逢 …
3414 番歌 伊香保ろのやさかのゐでに立つ虹の現はろま …
3415 番歌 上つ毛野伊香保の沼に植ゑ小水葱かく恋ひむ …
3416 番歌 上つ毛野可保夜が沼のいはゐつら引かばぬれ …
3417 番歌 上つ毛野伊奈良の沼の大藺草外に見しよは今 …
3418 番歌 上つ毛野佐野田の苗のむら苗に事は定めつ今 …
3419 番歌 伊香保せよ奈可中次下思ひどろくまこそしつ …
3420 番歌 上つ毛野佐野の舟橋取り離し親は放くれど我 …
3421 番歌 伊香保嶺に雷な鳴りそね我が上には故はなけ …
3422 番歌 伊香保風吹く日吹かぬ日ありと言へど我が恋 …
3423 番歌 上つ毛野伊香保の嶺ろに降ろ雪の行き過ぎか …
3424 番歌 下つ毛野みかもの山のこ楢のすまぐはし子ろ …
3425 番歌 下つ毛野阿蘇の川原よ石踏まず空ゆと来ぬよ …
3426 番歌 会津嶺の国をさ遠み逢はなはば偲ひにせもと …
3427 番歌 筑紫なるにほふ子ゆゑに陸奥の可刀利娘子の …
3428 番歌 安達太良の嶺に伏す鹿猪のありつつも我れは …
3455 番歌 恋しけば来ませ我が背子垣つ柳末摘み枯らし …
3456 番歌 うつせみの八十言のへは繁くとも争ひかねて …
3457 番歌 うちひさす宮の我が背は大和女の膝まくごと …
3458 番歌 汝背の子や等里の岡道しなかだ折れ我を音し …
3459 番歌 稲つけばかかる我が手を今夜もか殿の若子が …
3460 番歌 誰れぞこの屋の戸押そぶる新嘗に我が背を遣 …
3461 番歌 あぜと言へかさ寝に逢はなくにま日暮れて宵 …
3462 番歌 あしひきの山沢人の人さはにまなと言ふ子が …
3463 番歌 ま遠くの野にも逢はなむ心なく里のみ中に逢 …
3464 番歌 人言の繁きによりてまを薦の同じ枕は我はま …
3465 番歌 高麗錦紐解き放けて寝るが上にあどせろとか …
3466 番歌 ま愛しみ寝れば言に出さ寝なへば心の緒ろに …
3467 番歌 奥山の真木の板戸をとどとして我が開かむに …
3468 番歌 山鳥の峰ろのはつをに鏡懸け唱ふべみこそ汝 …
3469 番歌 夕占にも今夜と告らろ我が背なはあぜぞも今 …
3471 番歌 しまらくは寝つつもあらむを夢のみにもとな …
3472 番歌 人妻とあぜかそを言はむしからばか隣の衣を …
3473 番歌 左努山に打つや斧音の遠かども寝もとか子ろ …
3474 番歌 植ゑ竹の本さへ響み出でて去なばいづし向き …
3475 番歌 恋ひつつも居らむとすれど遊布麻山隠れし君 …
3476 番歌 うべ子なは我ぬに恋ふなも立と月のぬがなへ …
3477 番歌 東路の手児の呼坂越えて去なば我れは恋ひむ …
3478 番歌 遠しとふ故奈の白嶺に逢ほしだも逢はのへし …
3479 番歌 安可見山草根刈り除け逢はすがへ争ふ妹しあ …
3480 番歌 大君の命畏み愛し妹が手枕離れ夜立ち来のか …
3481 番歌 あり衣のさゑさゑしづみ家の妹に物言はず来 …
3482 番歌 韓衣裾のうち交へ逢はねども異しき心を我が …
3483 番歌 昼解けば解けなへ紐の我が背なに相寄るとか …
3484 番歌 麻苧らを麻笥にふすさに績まずとも明日着せ …
3485 番歌 剣大刀身に添ふ妹を取り見がね音をぞ泣きつ …
3486 番歌 愛し妹を弓束並べ巻きもころ男のこととし言 …
3487 番歌 梓弓末に玉巻きかくすすぞ寝なななりにし奥 …
3488 番歌 生ふしもとこの本山のましばにも告らぬ妹が …
3489 番歌 梓弓欲良の山辺の茂かくに妹ろを立ててさ寝 …
3491 番歌 柳こそ伐れば生えすれ世の人の恋に死なむを …
3492 番歌 小山田の池の堤にさす柳成りも成らずも汝と …
3493 番歌 遅速も汝をこそ待ため向つ峰の椎の小やで枝 …
3494 番歌 子持山若かへるでのもみつまで寝もと我は思 …
3495 番歌 巌ろの沿ひの若松限りとや君が来まさぬうら …
3496 番歌 橘の古婆の放髪が思ふなむ心うつくしいで我 …
3497 番歌 川上の根白高萱あやにあやにさ寝さ寝てこそ …
3498 番歌 海原の根柔ら小菅あまたあれば君は忘らす我 …
3499 番歌 岡に寄せ我が刈る萱のさね萱のまことなごや …
3500 番歌 紫草は根をかも終ふる人の子のうら愛しけを …
3501 番歌 安波峰ろの峰ろ田に生はるたはみづら引かば …
3502 番歌 我が目妻人は放くれど朝顔のとしさへこごと …
3503 番歌 安齊可潟潮干のゆたに思へらばうけらが花の …
3504 番歌 春へ咲く藤の末葉のうら安にさ寝る夜ぞなき …
3505 番歌 うちひさつ宮能瀬川のかほ花の恋ひてか寝ら …
3506 番歌 新室のこどきに至ればはだすすき穂に出し君 …
3507 番歌 谷狭み峰に延ひたる玉葛絶えむの心我が思は …
3508 番歌 芝付の御宇良崎なるねつこ草相見ずあらば我 …
3509 番歌 栲衾白山風の寝なへども子ろがおそきのあろ …
3510 番歌 み空行く雲にもがもな今日行きて妹に言どひ …
3511 番歌 青嶺ろにたなびく雲のいさよひに物をぞ思ふ …
3512 番歌 一嶺ろに言はるものから青嶺ろにいさよふ雲 …
3513 番歌 夕さればみ山を去らぬ布雲のあぜか絶えむと …
3514 番歌 高き嶺に雲のつくのす我れさへに君につきな …
3515 番歌 我が面の忘れむしだは国はふり嶺に立つ雲を …
3516 番歌 対馬の嶺は下雲あらなふ可牟の嶺にたなびく …
3517 番歌 白雲の絶えにし妹をあぜせろと心に乗りてこ …
3518 番歌 岩の上にいかかる雲のかのまづく人ぞおたは …
3519 番歌 汝が母に嘖られ我は行く青雲の出で来我妹子 …
3520 番歌 面形の忘れむしだは大野ろにたなびく雲を見 …
3521 番歌 烏とふ大をそ鳥のまさでにも来まさぬ君をこ …
3522 番歌 昨夜こそば子ろとさ寝しか雲の上ゆ鳴き行く …
3523 番歌 坂越えて安倍の田の面に居る鶴のともしき君 …
3524 番歌 まを薦の節の間近くて逢はなへば沖つま鴨の …
3525 番歌 水久君野に鴨の這ほのす子ろが上に言緒ろ延 …
3526 番歌 沼二つ通は鳥が巣我が心二行くなもとなよ思 …
3527 番歌 沖に住も小鴨のもころ八尺鳥息づく妹を置き …
3528 番歌 水鳥の立たむ装ひに妹のらに物言はず来にて …
3529 番歌 等夜の野に兎ねらはりをさをさも寝なへ子ゆ …
3530 番歌 さを鹿の伏すや草むら見えずとも子ろが金門 …
3531 番歌 妹をこそ相見に来しか眉引きの横山辺ろの獣 …
3532 番歌 春の野に草食む駒の口やまず我を偲ふらむ家 …
3533 番歌 人の子の愛しけしだは浜洲鳥足悩む駒の惜し …
3534 番歌 赤駒が門出をしつつ出でかてにせしを見立て …
3535 番歌 己が命をおほにな思ひそ庭に立ち笑ますがか …
3536 番歌 赤駒を打ちてさ緒引き心引きいかなる背なか …
3537 番歌 くへ越しに麦食む小馬のはつはつに相見し子 …
3538 番歌 広橋を馬越しがねて心のみ妹がり遣りて我は …
3539 番歌 あずの上に駒を繋ぎて危ほかど人妻子ろを息 …
3540 番歌 左和多里の手児にい行き逢ひ赤駒が足掻きを …
3541 番歌 あずへから駒の行ごのす危はとも人妻子ろを …
3542 番歌 さざれ石に駒を馳させて心痛み我が思ふ妹が …
3543 番歌 むろがやの都留の堤の成りぬがに子ろは言へ …
3544 番歌 あすか川下濁れるを知らずして背ななと二人 …
3545 番歌 あすか川堰くと知りせばあまた夜も率寝て来 …
3546 番歌 青柳の張らろ川門に汝を待つと清水は汲まず …
3547 番歌 あぢの棲む須沙の入江の隠り沼のあな息づか …
3548 番歌 鳴る瀬ろにこつの寄すなすいとのきて愛しけ …
3549 番歌 多由比潟潮満ちわたるいづゆかも愛しき背ろ …
3550 番歌 おしていなと稲は搗かねど波の穂のいたぶら …
3551 番歌 阿遅可麻の潟にさく波平瀬にも紐解くものか …
3552 番歌 まつが浦にさわゑうら立ちま人言思ほすなも …
3553 番歌 あじかまの可家の港に入る潮のこてたずくも …
3554 番歌 妹が寝る床のあたりに岩ぐくる水にもがもよ …
3555 番歌 麻久良我の許我の渡りの韓楫の音高しもな寝 …
3556 番歌 潮船の置かれば愛しさ寝つれば人言繁し汝を …
3557 番歌 悩ましけ人妻かもよ漕ぐ舟の忘れはせなない …
3558 番歌 逢はずして行かば惜しけむ麻久良我の許我漕 …
3559 番歌 大船を舳ゆも艫ゆも堅めてし許曽の里人あら …
3560 番歌 ま金ふく丹生のま朱の色に出て言はなくのみ …
3561 番歌 金門田を荒垣ま斎み日が照れば雨を待とのす …
3562 番歌 荒礒やに生ふる玉藻のうち靡きひとりや寝ら …
3563 番歌 比多潟の礒のわかめの立ち乱え我をか待つな …
3564 番歌 古須気ろの浦吹く風のあどすすか愛しけ子ろ …
3565 番歌 かの子ろと寝ずやなりなむはだすすき宇良野 …
3566 番歌 我妹子に我が恋ひ死なばそわへかも神に負ほ …
3567 番歌 置きて行かば妹はま愛し持ちて行く梓の弓の …
3568 番歌 後れ居て恋ひば苦しも朝猟の君が弓にもなら …
3569 番歌 防人に立ちし朝開の金戸出にたばなれ惜しみ …
3570 番歌 葦の葉に夕霧立ちて鴨が音の寒き夕し汝をば …
3571 番歌 己妻を人の里に置きおほほしく見つつぞ来ぬ …

相聞歌とは?

相聞歌は、雑歌と挽歌に並ぶ万葉集の歌の種類の一つを指す。主に親しい人(家族、兄弟、恋人など)の出会いや会話のやりとりの歌だが、万葉集のほとんどが男女の交情になっているため、「相聞歌=恋の歌」というような認識が強い。

相聞歌は細かく分けて、正述心緒(心の思いのまま述べる歌)、寄物陳思(物に思いを寄せた歌)、譬喩歌(心情を表に出さず隠喩を使った表現の歌)の三つに分かれる。最初はそこまで分類されていなかったようで、正述心緒や寄物陳思が登場したのは万葉集中期ごろの11巻、12巻となる。
さらに、問答歌(問いかけと答えで成り立つ歌)、羇旅発思(きりょはっし;旅の思いの歌)、悲別歌(別れの歌)などがある。その他「雑歌」に分類されている歌の中にも相聞かと思われる歌が存在する。
後の編纂者によるものなのか、分類がはっきりしない歌が多い。

当サイトは万葉集の題詞と左注に「相聞」と書かれた歌のみ、このページに記載しました。
正述心緒、寄物陳思、譬喩歌などの歌は、別ページにまとめました。
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