雑歌についてまとめました。
掲載数 全 1636 首
第1巻 84 首
第3巻 155 首
第5巻 114 首
第6巻 161 首
第7巻 228 首
第8巻 177 首
第8巻は春夏秋冬で区分けしています。
春 30 首
歌番号 | 本歌 |
1418 番歌 | 石走る垂水の上のさわらびの萌え出づる春に … |
1419 番歌 | 神なびの石瀬の社の呼子鳥いたくな鳴きそ我 … |
1420 番歌 | 沫雪かはだれに降ると見るまでに流らへ散る … |
1421 番歌 | 春山の咲きのををりに春菜摘む妹が白紐見ら … |
1422 番歌 | うち靡く春来るらし山の際の遠き木末の咲き … |
1423 番歌 | 去年の春いこじて植ゑし我がやどの若木の梅 … |
1424 番歌 | 春の野にすみれ摘みにと来し我れぞ野をなつ … |
1425 番歌 | あしひきの山桜花日並べてかく咲きたらばい … |
1426 番歌 | 我が背子に見せむと思ひし梅の花それとも見 … |
1427 番歌 | 明日よりは春菜摘まむと標めし野に昨日も今 … |
1428 番歌 | おしてる 難波を過ぎて うち靡く 草香の … |
1429 番歌 | 娘子らが かざしのために 風流士の かづ … |
1430 番歌 | 去年の春逢へりし君に恋ひにてし桜の花は迎 … |
1431 番歌 | 百済野の萩の古枝に春待つと居りし鴬鳴きに … |
1432 番歌 | 我が背子が見らむ佐保道の青柳を手折りてだ … |
1433 番歌 | うち上る佐保の川原の青柳は今は春へとなり … |
1434 番歌 | 霜雪もいまだ過ぎねば思はぬに春日の里に梅 … |
1435 番歌 | かはづ鳴く神奈備川に影見えて今か咲くらむ … |
1436 番歌 | 含めりと言ひし梅が枝今朝降りし沫雪にあひ … |
1437 番歌 | 霞立つ春日の里の梅の花山のあらしに散りこ … |
1438 番歌 | 霞立つ春日の里の梅の花花に問はむと我が思 … |
1439 番歌 | 時は今は春になりぬとみ雪降る遠山の辺に霞 … |
1440 番歌 | 春雨のしくしく降るに高円の山の桜はいかに … |
1441 番歌 | うち霧らひ雪は降りつつしかすがに我家の苑 … |
1442 番歌 | 難波辺に人の行ければ後れ居て春菜摘む子を … |
1443 番歌 | 霞立つ野の上の方に行きしかば鴬鳴きつ春に … |
1444 番歌 | 山吹の咲きたる野辺のつほすみれこの春の雨 … |
1445 番歌 | 風交り雪は降るとも実にならぬ我家の梅を花 … |
1446 番歌 | 春の野にあさる雉の妻恋ひにおのがあたりを … |
1447 番歌 | 世の常に聞けば苦しき呼子鳥声なつかしき時 … |
夏 33 首
歌番号 | 本歌 |
1465 番歌 | 霍公鳥いたくな鳴きそ汝が声を五月の玉にあ … |
1466 番歌 | 神奈備の石瀬の社の霍公鳥毛無の岡にいつか … |
1467 番歌 | 霍公鳥なかる国にも行きてしかその鳴く声を … |
1468 番歌 | 霍公鳥声聞く小野の秋風に萩咲きぬれや声の … |
1469 番歌 | あしひきの山霍公鳥汝が鳴けば家なる妹し常 … |
1470 番歌 | もののふの石瀬の社の霍公鳥今も鳴かぬか山 … |
1471 番歌 | 恋しけば形見にせむと我がやどに植ゑし藤波 … |
1472 番歌 | 霍公鳥来鳴き響もす卯の花の伴にや来しと問 … |
1473 番歌 | 橘の花散る里の霍公鳥片恋しつつ鳴く日しぞ … |
1474 番歌 | 今もかも大城の山に霍公鳥鳴き響むらむ我れ … |
1475 番歌 | 何しかもここだく恋ふる霍公鳥鳴く声聞けば … |
1476 番歌 | ひとり居て物思ふ宵に霍公鳥こゆ鳴き渡る心 … |
1477 番歌 | 卯の花もいまだ咲かねば霍公鳥佐保の山辺に … |
1478 番歌 | 我が宿の花橘のいつしかも玉に貫くべくその … |
1479 番歌 | 隠りのみ居ればいぶせみ慰むと出で立ち聞け … |
1480 番歌 | 我が宿に月おし照れり霍公鳥心あれ今夜来鳴 … |
1481 番歌 | 我が宿の花橘に霍公鳥今こそ鳴かめ友に逢へ … |
1482 番歌 | 皆人の待ちし卯の花散りぬとも鳴く霍公鳥我 … |
1483 番歌 | 我が背子が宿の橘花をよみ鳴く霍公鳥見にぞ … |
1484 番歌 | 霍公鳥いたくな鳴きそひとり居て寐の寝らえ … |
1485 番歌 | 夏まけて咲きたるはねずひさかたの雨うち降 … |
1486 番歌 | 我が宿の花橘を霍公鳥来鳴かず地に散らして … |
1487 番歌 | 霍公鳥思はずありき木の暗のかくなるまでに … |
1488 番歌 | いづくには鳴きもしにけむ霍公鳥我家の里に … |
1489 番歌 | 我が宿の花橘は散り過ぎて玉に貫くべく実に … |
1490 番歌 | 霍公鳥待てど来鳴かず菖蒲草玉に貫く日をい … |
1491 番歌 | 卯の花の過ぎば惜しみか霍公鳥雨間も置かず … |
1492 番歌 | 君が家の花橘はなりにけり花のある時に逢は … |
1493 番歌 | 我が宿の花橘を霍公鳥来鳴き響めて本に散ら … |
1494 番歌 | 夏山の木末の茂に霍公鳥鳴き響むなる声の遥 … |
1495 番歌 | あしひきの木の間立ち潜く霍公鳥かく聞きそ … |
1496 番歌 | 我が宿のなでしこの花盛りなり手折りて一目 … |
1497 番歌 | 筑波嶺に我が行けりせば霍公鳥山彦響め鳴か … |
秋 95 首
冬 19 首
歌番号 | 本歌 |
1636 番歌 | 大口の真神の原に降る雪はいたくな降りそ家 … |
1637 番歌 | はだすすき尾花逆葺き黒木もち造れる室は万 … |
1638 番歌 | あをによし奈良の山なる黒木もち造れる室は … |
1639 番歌 | 沫雪のほどろほどろに降りしけば奈良の都し … |
1640 番歌 | 我が岡に盛りに咲ける梅の花残れる雪をまが … |
1641 番歌 | 淡雪に降らえて咲ける梅の花君がり遣らばよ … |
1642 番歌 | たな霧らひ雪も降らぬか梅の花咲かぬが代に … |
1643 番歌 | 天霧らし雪も降らぬかいちしろくこのいつ柴 … |
1644 番歌 | 引き攀ぢて折らば散るべみ梅の花袖に扱入れ … |
1645 番歌 | 我が宿の冬木の上に降る雪を梅の花かとうち … |
1646 番歌 | ぬばたまの今夜の雪にいざ濡れな明けむ朝に … |
1647 番歌 | 梅の花枝にか散ると見るまでに風に乱れて雪 … |
1648 番歌 | 十二月には淡雪降ると知らねかも梅の花咲く … |
1649 番歌 | 今日降りし雪に競ひて我が宿の冬木の梅は花 … |
1650 番歌 | 池の辺の松の末葉に降る雪は五百重降りしけ … |
1651 番歌 | 淡雪のこのころ継ぎてかく降らば梅の初花散 … |
1652 番歌 | 梅の花折りも折らずも見つれども今夜の花に … |
1653 番歌 | 今のごと心を常に思へらばまづ咲く花の地に … |
1654 番歌 | 松蔭の浅茅の上の白雪を消たずて置かむこと … |
第9巻 102 首
第10巻 384 首
第10巻は春夏秋冬で区分けしています。
春 78 首
夏 42 首
秋 243 首
冬 21 首
歌番号 | 本歌 |
2312 番歌 | 我が袖に霰た走る巻き隠し消たずてあらむ妹 … |
2313 番歌 | あしひきの山かも高き巻向の崖の小松にみ雪 … |
2314 番歌 | 巻向の桧原もいまだ雲居ねば小松が末ゆ沫雪 … |
2315 番歌 | あしひきの山道も知らず白橿の枝もとををに … |
2316 番歌 | 奈良山の嶺なほ霧らふうべしこそ籬が下の雪 … |
2317 番歌 | こと降らば袖さへ濡れて通るべく降りなむ雪 … |
2318 番歌 | 夜を寒み朝門を開き出で見れば庭もはだらに … |
2319 番歌 | 夕されば衣手寒し高松の山の木ごとに雪ぞ降 … |
2320 番歌 | 我が袖に降りつる雪も流れ行きて妹が手本に … |
2321 番歌 | 淡雪は今日はな降りそ白栲の袖まき干さむ人 … |
2322 番歌 | はなはだも降らぬ雪ゆゑこちたくも天つみ空 … |
2323 番歌 | 我が背子を今か今かと出で見れば淡雪降れり … |
2324 番歌 | あしひきの山に白きは我が宿に昨日の夕降り … |
2325 番歌 | 誰が園の梅の花ぞもひさかたの清き月夜にこ … |
2326 番歌 | 梅の花まづ咲く枝を手折りてばつとと名付け … |
2327 番歌 | 誰が園の梅にかありけむここだくも咲きてあ … |
2328 番歌 | 来て見べき人もあらなくに我家なる梅の初花 … |
2329 番歌 | 雪寒み咲きには咲かぬ梅の花よしこのころは … |
2330 番歌 | 妹がためほつ枝の梅を手折るとは下枝の露に … |
2331 番歌 | 八田の野の浅茅色づく有乳山嶺の淡雪寒く散 … |
2332 番歌 | さ夜更けば出で来む月を高山の嶺の白雲隠す … |
第13巻 127 首
第14巻 16 首
歌番号 | 本歌 |
3438 番歌 | 都武賀野に鈴が音聞こゆ可牟思太の殿のなか … |
3439 番歌 | 鈴が音の早馬駅家の堤井の水を給へな妹が直 … |
3441 番歌 | ま遠くの雲居に見ゆる妹が家にいつか至らむ … |
3442 番歌 | 東道の手児の呼坂越えがねて山にか寝むも宿 … |
3443 番歌 | うらもなく我が行く道に青柳の張りて立てれ … |
3444 番歌 | 伎波都久の岡のくくみら我れ摘めど籠にも満 … |
3445 番歌 | 港の葦が中なる玉小菅刈り来我が背子床の隔 … |
3446 番歌 | 妹なろが使ふ川津のささら荻葦と人言語りよ … |
3447 番歌 | 草蔭の安努な行かむと墾りし道安努は行かず … |
3448 番歌 | 花散らふこの向つ峰の乎那の峰のひじにつく … |
3449 番歌 | 白栲の衣の袖を麻久良我よ海人漕ぎ来見ゆ波 … |
3450 番歌 | 乎久佐男と乎具佐受家男と潮舟の並べて見れ … |
3451 番歌 | 左奈都良の岡に粟蒔き愛しきが駒は食ぐとも … |
3452 番歌 | おもしろき野をばな焼きそ古草に新草交り生 … |
3453 番歌 | 風の音の遠き我妹が着せし衣手本のくだりま … |
3454 番歌 | 庭に立つ麻手小衾今夜だに夫寄しこせね麻手 … |
第16巻 104 首
雑歌とは?
雑歌は相聞(恋の歌が中心)と挽歌(人の死に関する歌が中心)に分類されない歌を指す。そのため、「その他の歌」と考えた方が分かりやすいかと思われる。また宴会や宮廷行事などの歌も雑歌に含まれることから、元は雑歌から全ての歌が派生して生まれたものと考えた方が自然である。
万葉集は大きく分けて、雑歌、相聞、挽歌の三つの種類に区分けされる。有名なジャンルで「東歌」(関東と東北の京都から離れた地方で詠まれた歌)、「防人歌」(古来日本の徴兵制により、「今生の別れ」を詠んだ歌)というものがある。これらは場所や人を指す。つまり「東歌の相聞」とか「防人の雑歌」というような言い方をする。