第13巻3309番歌はこちらにまとめました。
第13巻 3309番歌
巻 | 第13巻 |
歌番号 | 3309番歌 |
作者 | 柿本人麻呂(柿本人麻呂歌集) |
題詞 | 柿本朝臣人麻呂之集歌 |
原文 | 物不念 路行去裳 青山乎 振酒見者 都追慈花 尓太遥越賣 作樂花 佐可遥越賣 汝乎叙母 吾尓依云 吾乎叙物 汝尓依云 汝者如何念也 念社 歳八<年>乎 斬髪 与知子乎過 橘之 末枝乎須具里 此川之 下母長久 汝心待 |
訓読 | 物思はず 道行く行くも 青山を 振り放け見れば つつじ花 にほえ娘子 桜花 栄え娘子 汝れをぞも 我れに寄すといふ 我れをぞも 汝れに寄すといふ 汝はいかに思ふや 思へこそ 年の八年を 切り髪の よち子を過ぎ 橘の ほつ枝をすぐり この川の 下にも長く 汝が心待て |
かな | ものもはず みちゆくゆくも あをやまを ふりさけみれば つつじばな にほえをとめ さくらばな さかえをとめ なれをぞも われによすといふ われをぞも なれによすといふ なはいかにおもふや おもへこそ としのやとせを きりかみの よちこをすぎ たちばなの ほつえをすぐり このかはの したにもながく ながこころまて |
英語(ローマ字) | MONOMOHAZU MICHIYUKUYUKUMO AWOYAMAWO FURISAKEMIREBA TSUTSUJIBANA NIHOEWOTOME SAKURABANA SAKAEWOTOME NAREWOZOMO WARENIYOSUTOIFU WAREWOZOMO NARENIYOSUTOIFU NAHAIKANIOMOFUYA OMOHEKOSO TOSHINOYATOSEWO KIRIKAMINO YOCHIKOWOSUGI TACHIBANANO HOTSUEWOSUGURI KONOKAHANO SHITANIMONAGAKU NAGAKOKOROMATE |
訳 | 物を思わないで、道をずんずん歩いてゆくとき、青山を振り仰いでみると、ツツジが咲いている。匂わんばかりの少女のように。桜は盛りを迎えた乙女のように。そうした花々のようにきみは私に親しく寄っていると人はいう。むろん私の方もきみに寄っていると人はいう。きみはどう思っているの。(女性の返答)あなたのことを思っているからこそ私は八年もの間、おかっぱ髪の少女時代を過ごし、橘が上枝に実をつけるまで、じっと川底にいてあなたの心が動くのを待っていました。 |
左注 | 右五首 |
校異 | [元][天][類] |
用語 | 人麻呂歌集、非略体、異伝、恋情、女歌、歌垣 |