第6巻920番歌はこちらにまとめました。
第6巻 920番歌
巻 | 第6巻 |
歌番号 | 920番歌 |
作者 | 笠金村 |
題詞 | 神龜二年乙丑夏五月幸于芳野離宮時笠朝臣金村作歌一首[并短歌] |
原文 | 足引之 御山毛清 落多藝都 芳野<河>之 河瀬乃 浄乎見者 上邊者 千鳥數鳴 下邊者 河津都麻喚 百礒城乃 大宮人毛 越乞尓 思自仁思有者 毎見 文丹乏 玉葛 絶事無 萬代尓 如是霜願跡 天地之 神乎曽祷 恐有等毛 |
訓読 | あしひきの み山もさやに 落ちたぎつ 吉野の川の 川の瀬の 清きを見れば 上辺には 千鳥しば鳴く 下辺には かはづ妻呼ぶ ももしきの 大宮人も をちこちに 繁にしあれば 見るごとに あやに乏しみ 玉葛 絶ゆることなく 万代に かくしもがもと 天地の 神をぞ祈る 畏くあれども |
かな | あしひきの みやまもさやに おちたぎつ よしののかはの かはのせの きよきをみれば かみへには ちどりしばなく しもべには かはづつまよぶ ももしきの おほみやひとも をちこちに しじにしあれば みるごとに あやにともしみ たまかづら たゆることなく よろづよに かくしもがもと あめつちの かみをぞいのる かしこくあれども |
英語(ローマ字) | ASHIHIKINO MIYAMAMOSAYANI OCHITAGITSU YOSHINONOKAHANO KAHANOSENO KIYOKIWOMIREBA KAMIHENIHA CHIDORISHIBANAKU SHIMOBENIHA KAHADUTSUMAYOBU MOMOSHIKINO OHOMIYAHITOMO WOCHIKOCHINI SHIJINISHIAREBA MIRUGOTONI AYANITOMOSHIMI TAMAKADURA TAYURUKOTONAKU YORODUYONI KAKUSHIMOGAMOTO AMETSUCHINO KAMIWOZOINORU KASHIKOKUAREDOMO |
訳 | み山も清々しく、滝壺に落下してたぎりたつ、その吉野の川の川瀬の清らかなこと。上流には千鳥がしきりに鳴き、下流には蛙(河鹿)が妻を呼んでいる。随行してきた大宮人もあちこちにしきりに往来している。こうした光景を見るとまことにすばらしく、絶えることなく未来永劫にこうあってほしいと、天地の神々にお祈りを捧げる、恐れ多いことであるが。 |
左注 | – |
校異 | 歌 [西] 謌 [西(訂正)] 歌 / 川 河 [金][元][類] |
用語 | 雑歌、作者:笠金村、吉野、行幸、宮廷讃美、神亀2年5月、年紀、枕詞、動物、地名 |