万葉集 第6巻 1020番歌/作者・原文・時代・歌・訳

第6巻1020番歌はこちらにまとめました。

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第6巻 1020番歌

第6巻
歌番号1020番歌
作者作者不詳
題詞(石上乙麻呂卿配土佐國之時歌三首[并短歌])
原文王 命恐見 刺<並> 國尓出座 <愛>耶 吾背乃公<矣> 繋巻裳 湯々石恐石 住吉乃 荒人神 <船>舳尓 牛吐賜 付賜将 嶋之<埼>前 依賜将 礒乃埼前 荒浪 風尓不<令>遇 <莫>管見 身疾不有 急 令變賜根 本國部尓
訓読大君の 命畏み さし並ぶ 国に出でます はしきやし 我が背の君を かけまくも ゆゆし畏し 住吉の 現人神 船舳に うしはきたまひ 着きたまはむ 島の崎々 寄りたまはむ 磯の崎々 荒き波 風にあはせず 障みなく 病あらせず 速けく 帰したまはね もとの国辺に
かなおほきみの みことかしこみ さしならぶ くににいでます はしきやし わがせのきみを かけまくも ゆゆしかしこし すみのえの あらひとがみ ふなのへに うしはきたまひ つきたまはむ しまのさきざき よりたまはむ いそのさきざき あらきなみ かぜにあはせず つつみなく やまひあらせず すむやけく かへしたまはね もとのくにへに
英語(ローマ字)OHOKIMINO MIKOTOKASHIKOMI SASHINARABU KUNINIIDEMASU HASHIKIYASHI WAGASENOKIMIWO KAKEMAKUMO YUYUSHIKASHIKOSHI SUMINOENO ARAHITOGAMI FUNANOHENI USHIHAKITAMAHI TSUKITAMAHAMU SHIMANOSAKIZAKI YORITAMAHAMU ISONOSAKIZAKI ARAKINAMI KAZENIAHASEZU TSUTSUMINAKU YAMAHIARASEZU SUMUYAKEKU KAHESHITAMAHANE MOTONOKUNIHENI
大君のご命令を恐れ謹んで、(紀伊国(和歌山県)から海を渡って)あい並んで位置する四国の国に出で立つ、いとしい我が背の君を口にするのも恐れ多い住吉の現人神(あらひとがみ)となって舳先に立ち、海を支配なさってご無事にご到着下さい。行く先の島の崎々、お立ち寄りの磯の崎々で、荒波や風に出会うことなく、故障もなく、病気にもあわないで、一刻も早くお帰し下さるよう、もとの大和の国へ。
左注
校異並之 並 [元][紀][細] / <> 愛 [万葉集注釈] / 矣 [西(上書訂正)][元][紀][細] / U 船 [元][紀][細] / 崎 埼 [元][細] / 合 令 [元][紀][細] / 草 莫 [玉勝間]
用語雑歌、石上乙麻呂、流罪、久米若賣、密通、天平11年、年紀、土佐、高知、同情、歌語り