万葉集 第20巻 4359番歌/作者・原文・時代・歌・訳

第20巻4359番歌はこちらにまとめました。

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第20巻 4359番歌

第20巻
歌番号4359番歌
作者若麻續部羊
題詞(天平勝寳七歳乙未二月相替遣筑紫諸國防人等歌)
原文都久之閇尓 敝牟加流布祢乃 伊都之加毛 都加敝麻都里弖 久尓々閇牟可毛
訓読筑紫辺に舳向かる船のいつしかも仕へまつりて国に舳向かも
かなつくしへに へむかるふねの いつしかも つかへまつりて くににへむかも
英語(ローマ字)TSUKUSHIHENI HEMUKARUFUNENO ITSUSHIKAMO TSUKAHEMATSURITE KUNINIHEMUKAMO
筑紫方面に舳先を向けて進む船も、いつかは任務を終えて国(故郷)に舳先を向けて進むだろう。
左注右一首長柄部上丁若麻續部<羊> / 二月九日上総國防人部領使少目従七位下茨田連沙弥麻呂進歌數十九首 但拙劣歌者不取載之
校異年 羊 [西(朱書訂正)][元][紀][細] / 歌 [西] 謌
用語天平勝宝7年2月9日、年紀、作者:若麻續部羊、防人歌、悲嘆、千葉、茨田沙弥麻呂
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解説

4321番歌からつづく題詞「天平勝宝7年2月に交代して諸國から筑紫に勤務することになった防人たちの歌」はここで終わり。

「舳(へ)向かる」、「舳向かも」は「舳先を向けて」という意味。

左注は「2月9日、上総国(千葉県)の防人部領使、少目従七位下茨田連沙弥麻呂(まむたのむらじさみまろ)がとりまとめ、九日に奉った歌の數19首、但し拙劣歌は登載せず」とある。防人部領使(さきもりのことりづかひ)は防人を京に引率する役目。二月九日は天平勝宝7年(755年)。

沙弥麻呂が歌を奉った相手は大伴家持となる。

「少目従七位下」とは役人(ここでは沙弥麻呂)の肩書のこと。
守(かみ)、介(すけ)、掾(じょう)、目(さかん)の4部官あり、目は一番下の位。「少目」は目の部下となる。
「従七位」は一位から九位までと初位の10ランクで分類されており、これに「下」がつくと、その位の中でも一番下となる。なお「従」の上が「正」となり全部で20ランクに分類されている。最高の「正一位」は征夷大将軍や関白の、ごく僅かな人間だけに与えられた称号。