万葉集 第19巻 4254番歌/作者・原文・時代・歌・訳

第19巻4254番歌はこちらにまとめました。

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第19巻 4254番歌

第19巻
歌番号4254番歌
作者大伴家持
題詞向京路上依興預作侍宴應詔歌一首[并短歌]
原文蜻嶋 山跡國乎 天雲尓 磐船浮 等母尓倍尓 真可伊繁貫 伊許藝都遣 國看之勢志C 安母里麻之 掃平 千代累 弥嗣継尓 所知来流 天之日継等 神奈我良 吾皇乃 天下 治賜者 物乃布能 八十友之雄乎 撫賜 等登能倍賜 食國毛 四方之人乎母 安<夫>左波受 ヌ賜者 従古昔 無利之瑞 多婢<末>祢久 申多麻比奴 手拱而 事無御代等 天地 日月等登聞仁 万世尓 記續牟曽 八隅知之 吾大皇 秋花 之我色々尓 見賜 明米多麻比 酒見附 榮流今日之 安夜尓貴左
訓読蜻蛉島 大和の国を 天雲に 磐舟浮べ 艫に舳に 真櫂しじ貫き い漕ぎつつ 国見しせして 天降りまし 払ひ平げ 千代重ね いや継ぎ継ぎに 知らし来る 天の日継と 神ながら 我が大君の 天の下 治めたまへば もののふの 八十伴の男を 撫でたまひ 整へたまひ 食す国も 四方の人をも あぶさはず 恵みたまへば いにしへゆ なかりし瑞 度まねく 申したまひぬ 手抱きて 事なき御代と 天地 日月とともに 万代に 記し継がむぞ やすみしし 我が大君 秋の花 しが色々に 見したまひ 明らめたまひ 酒みづき 栄ゆる今日の あやに貴さ
かなあきづしま やまとのくにを あまくもに いはふねうかべ ともにへに まかいしじぬき いこぎつつ くにみしせして あもりまし はらひたひらげ ちよかさね いやつぎつぎに しらしくる あまのひつぎと かむながら わがおほきみの あめのした をさめたまへば もののふの やそとものをを なでたまひ ととのへたまひ をすくにも よものひとをも あぶさはず めぐみたまへば いにしへゆ なかりししるし たびまねく まをしたまひぬ たむだきて ことなきみよと あめつち ひつきとともに よろづよに しるしつがむぞ やすみしし わがおほきみ あきのはな しがいろいろに めしたまひ あきらめたまひ さかみづき さかゆるけふの あやにたふとさ
英語(ローマ字)AKIDUSHIMA YAMATONOKUNIWO AMAKUMONI IHAFUNEUKABE TOMONIHENI MAKAISHIJINUKI IKOGITSUTSU KUNIMISHISESHITE AMORIMASHI HARAHITAHIRAGE CHIYOKASANE IYATSUGITSUGINI SHIRASHIKURU AMANOHITSUGITO KAMUNAGARA WAGAOHOKIMINO AMENOSHITA WOSAMETAMAHEBA MONONOFUNO YASOTOMONOWOWO NADETAMAHI TOTONOHETAMAHI WOSUKUNIMO YOMONOHITOWOMO ABUSAHAZU MEGUMITAMAHEBA INISHIHEYU NAKARISHISHIRUSHI TABIMANEKU MAWOSHITAMAHINU TAMUDAKITE KOTONAKIMIYOTO AMETSUCHI HITSUKITOTOMONI YORODUYONI SHIRUSHITSUGAMUZO YASUMISHISHI WAGAOHOKIMI AKINOHANA SHIGAIROIRONI MESHITAMAHI AKIRAMETAMAHI SAKAMIDUKI SAKAYURUKEFUNO AYANITAFUTOSA
蜻蛉島(あきづしま)大和の国、天雲浮かぶ大空に磐舟を浮かべ、船尾から船首まで梶をとりつけ、船を漕いで国見をなさりながら天降りなさった。抵抗する者は払いのけ平定なさる。幾代も重ねて次々と治めて来られた日の神、その後継ぎとして神のままとして、大君は天下をお治めになってこられた。数多くの官人たちをいつくしまれ、整然と整備されてきた。支配なさっている国々も四方の人々も漏れなく 恵みをお与えになったので、昔からあらわれなかった瑞兆(吉事)もたびたび表れ、大君に奏上された。腕組みをしていても何事も起こらない平穏な御代として、天地や日月と同様、万代(よろづよ)に記録され、受け継がれていくだろう。やすみしし我が大君が色とりどりの秋の花々をご覧になり、御心を晴らされる酒宴がにぎやかに開かれる今日という日の実に尊いことよ。
左注
校異之 [元] 乃 / 毛 [紀][細] 之 / 天 夫 [万葉集略解] / 未 末 [代匠記精撰本] / 等[元] 尓
用語天平勝宝3年8月5日、年紀、作者:大伴家持、依興、予作、儀礼歌、応詔、宴席、枕詞、架空、羈旅、寿歌
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