第16巻3860番歌はこちらにまとめました。
第16巻 3860番歌
巻 | 第16巻 |
歌番号 | 3860番歌 |
作者 | 山上憶良 |
題詞 | 筑前國志賀白水郎歌十首 |
原文 | 王之 不遣尓 情進尓 行之荒雄良 奥尓袖振 |
訓読 | 大君の遣はさなくにさかしらに行きし荒雄ら沖に袖振る |
かな | おほきみの つかはさなくに さかしらに ゆきしあらをら おきにそでふる |
英語(ローマ字) | OHOKIMINO TSUKAHASANAKUNI SAKASHIRANI YUKISHIARAWORA OKINISODEFURU |
訳 | 大君がお遣わしになったわけでもないのに、男気を出して海に出たあの人、沖に出て袖を振っていたのに。 |
左注 | (右以神龜年中大宰府差筑前國宗像郡之百姓宗形部津麻呂宛對馬送粮舶柁師也 于時津麻呂詣於滓屋郡志賀村白水郎荒雄之許語曰 僕有小事若疑不許歟 荒雄答曰 走雖異郡同船日久 志篤兄弟在於殉死 豈復辞哉 津麻呂曰府官差僕宛對馬送粮舶柁師 容齒衰老不堪海路 故来祇候願垂相替矣 於是荒雄許諾遂従彼事自肥前國松浦縣美祢良久<埼>發舶直射對馬渡海登時忽天暗冥暴風交雨竟無順風沈没海中焉 因斯妻子等不勝犢慕裁作此歌 或云 筑前國守山上憶良臣悲感妻子之傷述志而作此歌) |
校異 | – |
用語 | 雑歌、作者:山上憶良、志賀白水郎、荒雄、伝承、同情、恋情、功績、代作、福岡、志賀島、神亀、年紀 |
解説
題詞は「筑前国(つくしのみちのくちのくに)志賀島の白水郎(あま)の歌10首」という意味。志賀島は福岡県福岡市東区。金印が出たことで有名。
「さかしらに」は「利口ぶって」という意味。ここは「男気を出して」という意味。「荒雄」は人名。「ら」は親愛の「ら」。のちに荒雄は沈没する。