第16巻3813番歌はこちらにまとめました。
第16巻 3813番歌
巻 | 第16巻 |
歌番号 | 3813番歌 |
作者 | 車持娘子 |
題詞 | (戀夫君歌一首[并短歌])或本反歌曰 |
原文 | 吾命者 惜雲不有 散<追>良布 君尓依而曽 長欲為 |
訓読 | 我が命は惜しくもあらずさ丹つらふ君によりてぞ長く欲りせし |
かな | わがいのちは をしくもあらず さにつらふ きみによりてぞ ながくほりせし |
英語(ローマ字) | WAGAINOCHIHA WOSHIKUMOARAZU SANITSURAFU KIMINIYORITEZO NAGAKUHORISESHI |
訳 | 私の命など惜しくありません。顔が赤くお元気なあなたに逢いたいばかりに長く生きてきたばかりの私です。 |
左注 | 右傳云 時有娘子 姓車持氏也 其夫久逕年序不作徃来 于時娘子係戀傷心 沈臥痾エ 痩羸日異忽臨泉路 於是遣使喚其夫君来 而乃歔欷流な口号斯歌 登時逝歿也 |
校異 | 退 追 [尼][類][古][紀] |
用語 | 雑歌、歌物語、女歌、枕詞、恋情、伝承、作者:車持娘子 |
解説
題詞は「或本の反歌にこう書かれている。」という意味。
「さ丹つらふ」は枕詞と思われるが、はっきりと「顔が赤く元気な」という形容詞のような意味にもとれる。
左注は「昔、姓を車持(くるまもち)という娘子がいた。その夫は幾年も往来をしなかった。娘子は恋い焦がれて病の床につき、みるみるやせ衰えた。その果てに死が間近に迫り、使いをやって夫を呼び寄せた。彼女は嘆いて涙ながらにこの歌を口ずさんだ。そしてたちまち死んでしまった」といった内容。