第19巻4220番歌はこちらにまとめました。
第19巻 4220番歌
巻 | 第19巻 |
歌番号 | 4220番歌 |
作者 | 坂上郎女 |
題詞 | 従京師来贈歌一首[并短歌] |
原文 | 和多都民能 可味能美許等乃 美久之宜尓 多久波比於伎C 伊都久等布 多麻尓末佐里C 於毛敝里之 安我故尓波安礼騰 宇都世美乃 与能許等和利等 麻須良乎能 比伎能麻尓麻仁 之奈謝可流 古之地乎左之C 波布都多能 和可礼尓之欲理 於吉都奈美 等乎牟麻欲妣伎 於保夫祢能 由久良々々々耳 於毛可宜尓 毛得奈民延都々 可久古非婆 意伊豆久安我未 氣太志安倍牟可母 |
訓読 | 海神の 神の命の み櫛笥に 貯ひ置きて 斎くとふ 玉にまさりて 思へりし 我が子にはあれど うつせみの 世の理と 大夫の 引きのまにまに しなざかる 越道をさして 延ふ蔦の 別れにしより 沖つ波 とをむ眉引き 大船の ゆくらゆくらに 面影に もとな見えつつ かく恋ひば 老いづく我が身 けだし堪へむかも |
かな | わたつみの かみのみことの みくしげに たくはひおきて いつくとふ たまにまさりて おもへりし あがこにはあれど うつせみの よのことわりと ますらをの ひきのまにまに しなざかる こしぢをさして はふつたの わかれにしより おきつなみ とをむまよびき おほぶねの ゆくらゆくらに おもかげに もとなみえつつ かくこひば おいづくあがみ けだしあへむかも |
英語(ローマ字) | WATATSUMINO KAMINOMIKOTONO MIKUSHIGENI TAKUHAHIOKITE ITSUKUTOFU TAMANIMASARITE OMOHERISHI AGAKONIHAAREDO UTSUSEMINO YONOKOTOWARITO MASURAWONO HIKINOMANIMANI SHINAZAKARU KOSHIDIWOSASHITE HAFUTSUTANO WAKARENISHIYORI OKITSUNAMI TOWOMUMAYOBIKI OHOBUNENO YUKURAYUKURANI OMOKAGENI MOTONAMIETSUTSU KAKUKOHIBA OIDUKUAGAMI KEDASHIAHEMUKAMO |
訳 | 海神がみ箱に蓄えて大切にされている真珠。その真珠以上に大切な我が子であるが、この世のことわり故、あなたが引き寄せるままに、遠い越の国に向かって娘は旅立ちました。あなたと娘に別れてからゆらゆら揺れる眉根に面影がちらついて恋しくてなりません。私はもう老いた身、この寂しさに耐えられるでしょうか。 |
左注 | (右二首大伴氏坂上郎女賜女子大嬢也) |
校異 | – |
用語 | 天平勝宝2年、年紀、作者:坂上郎女、贈答、坂上大嬢、枕詞、恋情 |