第8巻1485番歌はこちらにまとめました。
第8巻 1485番歌
巻 | 第8巻 |
歌番号 | 1485番歌 |
作者 | 大伴家持 |
題詞 | 大伴家持唐棣花歌一首 |
原文 | 夏儲而 開有波祢受 久方乃 雨打零者 将移香 |
訓読 | 夏まけて咲きたるはねずひさかたの雨うち降らば移ろひなむか |
かな | なつまけて さきたるはねず ひさかたの あめうちふらば うつろひなむか |
英語(ローマ字) | NATSUMAKETE SAKITARUHANEZU HISAKATANO AMEUCHIFURABA UTSUROHINAMUKA |
訳 | 我が家の庭の花橘は今盛り。ところがなかなかホトトギスがやって来て鳴かない。このまま地(つち)に花を散らしてしまうのだろうか。 |
左注 | – |
校異 | 歌 [西] 謌 [西(訂正)] 歌 |
用語 | 夏雑歌、作者:大伴家持、植物 |
解説
題詞は「大伴家持の唐棣(はねず)の花の歌一首」とある。「唐棣の花」とは、庭梅(或いは庭桜)またはザクロの花のこと。形状は桜や梅に似た薄く鮮やかなやや黄みがかったピンク色をしている。唐棣色はその花の色を指す。
「夏まけて」は「夏が来るのを待ち受けて」という意味。「ひさかたの」は枕詞であり、「見渡す限りの」「遥か彼方まで広がる」という意味。ここで掛かる語は「雨」。「久方」は他にも天、空、雪、雲など、空に関わる語句に掛かる。