万葉集 第6巻 1053番歌/作者・原文・時代・歌・訳

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第6巻 1053番歌

第6巻
歌番号1053番歌
作者田辺福麻呂
題詞(讃久邇新京歌二首[并短歌])
原文吾皇 神乃命乃 高所知 布當乃宮者 百樹成 山者木高之 落多藝都 湍音毛清之 鴬乃 来鳴春部者 巌者 山下耀 錦成 花咲乎呼里 左<壮>鹿乃 妻呼秋者 天霧合 之具礼乎疾 狭丹頬歴 黄葉散乍 八千年尓 安礼衝之乍 天下 所知食跡 百代尓母 不可易 大宮處
訓読吾が大君 神の命の 高知らす 布当の宮は 百木盛り 山は木高し 落ちたぎつ 瀬の音も清し 鴬の 来鳴く春へは 巌には 山下光り 錦なす 花咲きををり さを鹿の 妻呼ぶ秋は 天霧らふ しぐれをいたみ さ丹つらふ 黄葉散りつつ 八千年に 生れ付かしつつ 天の下 知らしめさむと 百代にも 変るましじき 大宮所
かなわがおほきみ かみのみことの たかしらす ふたぎのみやは ももきもり やまはこだかし おちたぎつ せのおともきよし うぐひすの きなくはるへは いはほには やましたひかり にしきなす はなさきををり さをしかの つまよぶあきは あまぎらふ しぐれをいたみ さにつらふ もみちちりつつ やちとせに あれつかしつつ あめのした しらしめさむと ももよにも かはるましじき おほみやところ
英語(ローマ字)WAGAOHOKIMI KAMINOMIKOTONO TAKASHIRASU FUTAGINOMIYAHA MOMOKIMORI YAMAHAKODAKASHI OCHITAGITSU SENOOTOMOKIYOSHI UGUHISUNO KINAKUHARUHEHA IHAHONIHA YAMASHITAHIKARI NISHIKINASU HANASAKIWOWORI SAWOSHIKANO TSUMAYOBUAKIHA AMAGIRAFU SHIGUREWOITAMI SANITSURAFU MOMICHICHIRITSUTSU YACHITOSENI ARETSUKASHITSUTSU AMENOSHITA SHIRASHIMESAMUTO MOMOYONIMO KAHARUMASHIJIKI OHOMIYATOKORO
我れらが大君、神の命(みこと)が、国をお治めになっている布当(ふたぎ)の宮は種々の木々が茂り、山の木々は木高い。たぎり落ちる瀬の音も清らかだ。ウグイスが来て鳴く春辺の岩の麓の野は光り輝いて錦をなして花々が枝もたわわに咲き誇る。牡鹿が妻を呼んで鳴く秋には空が曇ってしぐれが降り、紅く色づいた紅葉葉が散り敷く。かくて永遠に御子たちが生まれては天下をお治めになっていくだろう、百代後々までも変わることのない、この大宮所よ。
左注(右廿一首田邊福麻呂之歌集中出也)
校異牡 壮 [元][類][紀]
用語雑歌、作者:田辺福麻呂歌集、久邇京、新都讃美、京都、地名