万葉集 第3巻 478番歌/作者・原文・時代・歌・訳

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第3巻 478番歌

第3巻
歌番号 478番歌
作者 大伴家持
題詞 (十六年甲申春二月安積皇子薨之時内舎人大伴宿祢家持作歌六首)
原文 <挂>巻毛 文尓恐之 吾王 皇子之命 物乃負能 八十伴男乎 召集聚 率比賜比 朝猟尓 鹿猪踐<起> 暮猟尓 鶉雉履立 大御馬之 口抑駐 御心乎 見為明米之 活道山 木立之繁尓 咲花毛 移尓家里 世間者 如此耳奈良之 大夫之 心振起 劔刀 腰尓取佩 梓弓 靭取負而 天地与 弥遠長尓 万代尓 如此毛欲得跡 憑有之 皇子乃御門乃 五月蝿成 驟驂舎人者 白栲尓 <服>取著而 常有之 咲比振麻比 弥日異 更經<見>者 悲<呂>可聞
訓読 かけまくも あやに畏し 我が大君 皇子の命の もののふの 八十伴の男を 召し集へ 率ひたまひ 朝狩に 鹿猪踏み起し 夕狩に 鶉雉踏み立て 大御馬の 口抑へとめ 御心を 見し明らめし 活道山 木立の茂に 咲く花も うつろひにけり 世間は かくのみならし ますらをの 心振り起し 剣太刀 腰に取り佩き 梓弓 靫取り負ひて 天地と いや遠長に 万代に かくしもがもと 頼めりし 皇子の御門の 五月蝿なす 騒く舎人は 白栲に 衣取り着て 常なりし 笑ひ振舞ひ いや日異に 変らふ見れば 悲しきろかも
かな かけまくも あやにかしこし わがおほきみ みこのみことの もののふの やそとものをを めしつどへ あどもひたまひ あさがりに ししふみおこし ゆふがりに とりふみたて おほみまの くちおさへとめ みこころを めしあきらめし いくぢやま こだちのしげに さくはなも うつろひにけり よのなかは かくのみならし ますらをの こころふりおこし つるぎたち こしにとりはき あづさゆみ ゆきとりおひて あめつちと いやとほながに よろづよに かくしもがもと たのめりし みこのみかどの さばへなす さわくとねりは しろたへに ころもとりきて つねなりし ゑまひふるまひ いやひけに かはらふみれば かなしきろかも
英語(ローマ字) KAKEMAKUMO AYANIKASHIKOSHI WAGAOHOKIMI MIKONOMIKOTONO MONONOFUNO YASOTOMONOWOWO MESHITSUDOHE ADOMOHITAMAHI ASAGARINI SHISHIFUMIOKOSHI YUFUGARINI TORIFUMITATE OHOMIMANO KUCHIOSAHETOME MIKOKOROWO MESHIAKIRAMESHI IKUDIYAMA KODACHINOSHIGENI SAKUHANAMO UTSUROHINIKERI YONONAKAHA KAKUNOMINARASHI MASURAWONO KOKOROFURIOKOSHI TSURUGITACHI KOSHINITORIHAKI ADUSAYUMI YUKITORIOHITE AMETSUCHITO IYATOHONAGANI YORODUYONI KAKUSHIMOGAMOTO TANOMERISHI MIKONOMIKADONO SABAHENASU SAWAKUTONERIHA SHIROTAHENI KOROMOTORIKITE TSUNENARISHI ゑMAHIFURUMAHI IYAHIKENI KAHARAFUMIREBA KANASHIKIROKAMO
心にかけるのも恐れ多い我が大君(安積皇子)は多くの強者を召し集め、引き連れて朝の御狩りに出で給い、鹿や猪を追い立てる。夕べの狩りにはウズラやキジを追い立てられた。また、大御馬の手綱を引いてあたりを眺め、御心を晴らされた。その活道山の木立の茂みも咲く花も時移り、色あせて散っていく。世の中はこんなにはかないものか。男勇者の心を奮い立たせ、剣太刀(つるぎたち)を腰に帯び、弓を携え、靫を背負って、天地ともども、末永く、よろづ代にお仕え申そうと頼みにしていた皇子。その御殿に騒がしい蝿のようににぎにぎしく仕えてきた舎人たち。今では白装束に身を包み、喪に服す日々。かっては笑いさんざめき、活発に動き回る彼らだったのに、日増しに変わっていくのを見ると悲しくてたまらない。
左注 (右三首三月廿四日作歌)
校異 桂 挂 [矢] / 越 起 [類][紀][温] / 靭 [細](塙) 靫 / <> 服 [西(右書)][類][紀][温] / <> 者 [西(右書)][類][紀][温] / 召 呂 [類]
用語 挽歌、作者:大伴家持、内舎人、安積皇子、枕詞、天平16年3月24日、年紀
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