万葉集 第2巻 230番歌/作者・原文・時代・歌・訳

第2巻230番歌はこちらにまとめました。

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第2巻 230番歌

第2巻
歌番号230番歌
作者笠金村
題詞霊龜元年歳次乙卯秋九月志貴親王<薨>時作歌一首[并短歌]
原文梓弓 手取持而 大夫之 得物<矢>手<挾> 立向 高圓山尓 春野焼 野火登見左右 燎火乎 何如問者 玉桙之 道来人乃 泣涙 <W>X尓落者 白妙之 衣O漬而 立留 吾尓語久 何鴨 本名言 聞者 泣耳師所哭 語者 心曽痛 天皇之 神之御子之 御駕之 手火之光曽 幾許照而有
訓読梓弓 手に取り持ちて ますらをの さつ矢手挟み 立ち向ふ 高円山に 春野焼く 野火と見るまで 燃ゆる火を 何かと問へば 玉鉾の 道来る人の 泣く涙 こさめに降れば 白栲の 衣ひづちて 立ち留まり 我れに語らく なにしかも もとなとぶらふ 聞けば 哭のみし泣かゆ 語れば 心ぞ痛き 天皇の 神の御子の いでましの 手火の光りぞ ここだ照りたる
かなあづさゆみ てにとりもちて ますらをの さつやたばさみ たちむかふ たかまとやまに はるのやく のびとみるまで もゆるひを なにかととへば たまほこの みちくるひとの なくなみた こさめにふれば しろたへの ころもひづちて たちとまり われにかたらく なにしかも もとなとぶらふ きけば ねのみしなかゆ かたれば こころぞいたき すめろきの かみのみこの いでましの たひのひかりぞ ここだてりたる
英語(ローマ字)ADUSAYUMI TENITORIMOCHITE MASURAWONO SATSUYATABASAMI TACHIMUKAFU TAKAMATOYAMANI HARUNOYAKU NOBITOMIRUMADE MOYURUHIWO NANIKATOTOHEBA TAMAHOKONO MICHIKURUHITONO NAKUNAMITA KOSAMENIFUREBA SHIROTAHENO KOROMOHIDUCHITE TACHITOMARI WARENIKATARAKU NANISHIKAMO MOTONATOBURAFU KIKEBA NENOMISHINAKAYU KATAREBA KOKOROZOITAKI SUMEROKINO KAMINOMIKONO IDEMASHINO TAHINOHIKARIZO KOKODATERITARU
梓弓を手に取り持って勇ましい男が矢を脇に挟んで立ち向かうというマト。その高円山に春の野焼きとみまごうばかりに燃える火を「何か」と訊ねたら道をやって来る来る人が泣く涙が、小雨のように目からあふれ、白い着物を濡らし、立ち止まって私に語りかけた。「どうしてわけもなく訊ねなさる」。話を聞けば、声をあげて泣きながら話してくれた。「心が痛みます。天皇の神の御子をお送り申し上げる松明の火なのです。その火がしきりに照り輝いているのです。
左注?(右歌笠朝臣金村歌集出)
校異失 矢 [西(左朱書)][金][紀] / 狭 挾 [矢][京] / V W [金][類] / 落者 [金][類] 落
用語挽歌、霊亀1年9月、年紀、作者:笠金村、志貴皇子、奈良、地名
第2巻
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