千葉県の万葉集についてまとめました。
掲載数 全 39 首
第7巻 1 首
歌番号 | 本歌 |
1176 番歌 | 夏麻引く海上潟の沖つ洲に鳥はすだけど君は … |
第9巻 2 首
歌番号 | 本歌 |
1738 番歌 | しなが鳥 安房に継ぎたる 梓弓 周淮の珠 … |
1739 番歌 | 金門にし人の来立てば夜中にも身はたな知ら … |
第14巻 9 首
歌番号 | 本歌 |
3348 番歌 | 夏麻引く海上潟の沖つ洲に船は留めむさ夜更 … |
3349 番歌 | 葛飾の真間の浦廻を漕ぐ船の船人騒く波立つ … |
3382 番歌 | 馬来田の嶺ろの笹葉の露霜の濡れて我来なば … |
3383 番歌 | 馬来田の嶺ろに隠り居かくだにも国の遠かば … |
3384 番歌 | 葛飾の真間の手児名をまことかも我れに寄す … |
3385 番歌 | 葛飾の真間の手児名がありしかば真間のおす … |
3386 番歌 | にほ鳥の葛飾早稲をにへすともその愛しきを … |
3387 番歌 | 足の音せず行かむ駒もが葛飾の真間の継橋や … |
3501 番歌 | 安波峰ろの峰ろ田に生はるたはみづら引かば … |
第20巻 26 首
歌番号 | 本歌 |
4347 番歌 | 家にして恋ひつつあらずは汝が佩ける大刀に … |
4348 番歌 | たらちねの母を別れてまこと我れ旅の仮廬に … |
4349 番歌 | 百隈の道は来にしをまたさらに八十島過ぎて … |
4350 番歌 | 庭中の阿須波の神に小柴さし我れは斎はむ帰 … |
4351 番歌 | 旅衣八重着重ねて寐のれどもなほ肌寒し妹に … |
4352 番歌 | 道の辺の茨のうれに延ほ豆のからまる君をは … |
4353 番歌 | 家風は日に日に吹けど我妹子が家言持ちて来 … |
4354 番歌 | たちこもの立ちの騒きに相見てし妹が心は忘 … |
4355 番歌 | よそにのみ見てや渡らも難波潟雲居に見ゆる … |
4356 番歌 | 我が母の袖もち撫でて我がからに泣きし心を … |
4357 番歌 | 葦垣の隈処に立ちて我妹子が袖もしほほに泣 … |
4358 番歌 | 大君の命畏み出で来れば我の取り付きて言ひ … |
4359 番歌 | 筑紫辺に舳向かる船のいつしかも仕へまつり … |
4384 番歌 | 暁のかはたれ時に島蔭を漕ぎ去し船のたづき … |
4385 番歌 | 行こ先に波なとゑらひ後方には子をと妻をと … |
4386 番歌 | 我が門の五本柳いつもいつも母が恋すす業り … |
4387 番歌 | 千葉の野の児手柏のほほまれどあやに愛しみ … |
4388 番歌 | 旅とへど真旅になりぬ家の妹が着せし衣に垢 … |
4389 番歌 | 潮舟の舳越そ白波にはしくも負ふせたまほか … |
4390 番歌 | 群玉の枢にくぎさし堅めとし妹が心は動くな … |
4391 番歌 | 国々の社の神に幣奉り贖乞ひすなむ妹が愛し … |
4392 番歌 | 天地のいづれの神を祈らばか愛し母にまた言 … |
4393 番歌 | 大君の命にされば父母を斎瓮と置きて参ゐ出 … |
4394 番歌 | 大君の命畏み弓の共さ寝かわたらむ長けこの … |
4440 番歌 | 足柄の八重山越えていましなば誰れをか君と … |
4441 番歌 | 立ちしなふ君が姿を忘れずは世の限りにや恋 … |
千葉県の万葉集の解説
千葉では麻の木がたくさんあった。当時、「麻」の別名が「総」であったため、「総国」と呼ばれていた。とはいえ、「麻=総」という図式は無理があるのではないか?という意見もあり、なぜ「総」なのかはっきりしていない。
歌に「夏麻引く」という句がある。この句は枕詞(語調を整えるための句。無くても意味は通じるが、歌が詠みやすくなり、情景がはっきりする。万葉集ではよく使われる技法。)で、海にかかる。麻は夏に収穫されるので、「麻を収穫している地域の海=総国の海」となる。また、麻を引くことで、「麻を績む(うむ)」とも言われ、「夏麻引く海」という語呂合わせが連想しやすかったのだろう。
歌にある「手児名」は、総国の真間にいたという美女のこと。いろんな男たちが求婚に来たが、だれに寄り添うこともなく入り江に身を投げたという。真間は今の千葉県の地名になっている。