第19巻4266番歌はこちらにまとめました。
第19巻 4266番歌
巻 | 第19巻 |
歌番号 | 4266番歌 |
作者 | 大伴家持 |
題詞 | 為應詔儲作歌一首[并短歌] |
原文 | 安之比奇能 八峯能宇倍能 都我能木能 伊也継々尓 松根能 絶事奈久 青丹余志 奈良能京師尓 万代尓 國所知等 安美知之 吾大皇乃 神奈我良 於母保之賣志弖 豊宴 見為今日者 毛能乃布能 八十伴雄能 嶋山尓 安可流橘 宇受尓指 紐解放而 千年保伎 <保>吉等餘毛之 恵良々々尓 仕奉乎 見之貴者 |
訓読 | あしひきの 八つ峰の上の 栂の木の いや継ぎ継ぎに 松が根の 絶ゆることなく あをによし 奈良の都に 万代に 国知らさむと やすみしし 我が大君の 神ながら 思ほしめして 豊の宴 見す今日の日は もののふの 八十伴の男の 島山に 赤る橘 うずに刺し 紐解き放けて 千年寿き 寿き響もし ゑらゑらに 仕へまつるを 見るが貴さ |
かな | あしひきの やつをのうへの つがのきの いやつぎつぎに まつがねの たゆることなく あをによし ならのみやこに よろづよに くにしらさむと やすみしし わがおほきみの かむながら おもほしめして とよのあかり めすけふのひは もののふの やそとものをの しまやまに あかるたちばな うずにさし ひもときさけて ちとせほき ほきとよもし ゑらゑらに つかへまつるを みるがたふとさ |
英語(ローマ字) | ASHIHIKINO YATSUWONOUHENO TSUGANOKINO IYATSUGITSUGINI MATSUGANENO TAYURUKOTONAKU AWONIYOSHI NARANOMIYAKONI YORODUYONI KUNISHIRASAMUTO YASUMISHISHI WAGAOHOKIMINO KAMUNAGARA OMOHOSHIMESHITE TOYONOAKARI MESUKEFUNOHIHA MONONOFUNO YASOTOMONOWONO SHIMAYAMANI AKARUTACHIBANA UZUNISASHI HIMOTOKISAKETE CHITOSEHOKI HOKITOYOMOSHI ゑRAゑRANI TSUKAHEMATSURUWO MIRUGATAFUTOSA |
訳 | 多くの峰々に林立する栂(つが)の木のように、いよいよ次々に栄える松の根ではないが、絶えることがない、美しい奈良の都においでになって、いついつまでも国をお治めになる我が大君。神のおぼしめしを得てお開きになる豊のあかり(宴会)たる今日という日。もろもろの文武百官が庭の築山に赤く輝く橘を髪に刺し、 着物の紐を解きはなって、千年を寿(ことほ)いで、くつろぎ騒ぎ、笑いさざめいてお仕え申し上げる様を目にすると、本当に尊いことよ。 |
左注 | (右二首大伴宿祢家持作之) |
校異 | 保伎 保 [元] |
用語 | 天平勝宝4年、年紀、作者:大伴家持、儲作、予作、応詔、儀礼歌、枕詞、地名、大君讃美、寿歌 |