第6巻913番歌はこちらにまとめました。
第6巻 913番歌
巻 | 第6巻 |
歌番号 | 913番歌 |
作者 | 車持千年 |
題詞 | 車持朝臣千年作歌一首[并短歌] |
原文 | 味凍 綾丹乏敷 鳴神乃 音耳聞師 三芳野之 真木立山湯 見降者 川之瀬毎 開来者 朝霧立 夕去者 川津鳴奈<拝> 紐不解 客尓之有者 吾耳為而 清川原乎 見良久之惜蒙 |
訓読 | 味凝り あやにともしく 鳴る神の 音のみ聞きし み吉野の 真木立つ山ゆ 見下ろせば 川の瀬ごとに 明け来れば 朝霧立ち 夕されば かはづ鳴くなへ 紐解かぬ 旅にしあれば 我のみして 清き川原を 見らくし惜しも |
かな | うまこり あやにともしく なるかみの おとのみききし みよしのの まきたつやまゆ みおろせば かはのせごとに あけくれば あさぎりたち ゆふされば かはづなくなへ ひもとかぬ たびにしあれば わのみして きよきかはらを みらくしをしも |
英語(ローマ字) | UMAKORI AYANITOMOSHIKU NARUKAMINO OTONOMIKIKISHI MIYOSHINONO MAKITATSUYAMAYU MIOROSEBA KAHANOSEGOTONI AKEKUREBA ASAGIRITACHI YUFUSAREBA KAHADUNAKUNAHE HIMOTOKANU TABINISHIAREBA WANOMISHITE KIYOKIKAHARAWO MIRAKUSHIWOSHIMO |
訳 | 凝り固まった、あやしいまでにごろごろと鳴る遠雷の音のように噂には聞いていたみ吉野。実際にみ吉野に来て木々が立つここ山の上から見下ろすと、川の瀬という瀬が明け初めてくると、朝霧が立ちこめて来る。夕方がやってくると、蛙(かじか)が鳴き、つれて、都の妻を思い起こす。共寝の出来ない旅の身、私一人でこの清らかな川原を見るのは惜しいことだ。 |
左注 | (右年月不審 但以歌類載於此次焉 / 或本云 養老七年五月幸于芳野離宮之時作) |
校異 | 歌 [西] 謌 [西(訂正)] 歌 / 短歌 [西] 短謌 [西(訂正)] 短歌 / 辨詳 拝 [元][類][紀] [古](楓) 利 |
用語 | 雑歌、作者:車持千年、吉野、行幸、従駕、宮廷讃美、羈旅、養老7年5月、年紀、動物、地名、枕詞 |