第18巻4101番歌はこちらにまとめました。
第18巻 4101番歌
巻 | 第18巻 |
歌番号 | 4101番歌 |
作者 | 大伴家持 |
題詞 | 為贈京家願真珠歌一首[并短歌] |
原文 | 珠洲乃安麻能 於伎都美可未尓 伊和多利弖 可都伎等流登伊布 安波妣多麻 伊保知毛我母 波之吉餘之 都麻乃美許<登>能 許呂毛泥乃 和可礼之等吉欲 奴婆玉乃 夜床加多<左>里 安佐祢我美 可伎母氣頭良受 伊泥C許之 月日余美都追 奈氣久良牟 心奈具佐<尓> 保登等藝須 伎奈久五月能 安夜女具佐 波奈多知<婆>奈尓 奴吉麻自倍 可頭良尓世餘等 都追美C夜良牟 |
訓読 | 珠洲の海人の 沖つ御神に い渡りて 潜き取るといふ 鰒玉 五百箇もがも はしきよし 妻の命の 衣手の 別れし時よ ぬばたまの 夜床片さり 朝寝髪 掻きも梳らず 出でて来し 月日数みつつ 嘆くらむ 心なぐさに 霍公鳥 来鳴く五月の あやめぐさ 花橘に 貫き交へ かづらにせよと 包みて遣らむ |
かな | すすのあまの おきつみかみに いわたりて かづきとるといふ あはびたま いほちもがも はしきよし つまのみことの ころもでの わかれしときよ ぬばたまの よとこかたさり あさねがみ かきもけづらず いでてこし つきひよみつつ なげくらむ こころなぐさに ほととぎす きなくさつきの あやめぐさ はなたちばなに ぬきまじへ かづらにせよと つつみてやらむ |
英語(ローマ字) | SUSUNOAMANO OKITSUMIKAMINI IWATARITE KADUKITORUTOIFU AHABITAMA IHOCHIMOGAMO HASHIKIYOSHI TSUMANOMIKOTONO KOROMODENO WAKARESHITOKIYO NUBATAMANO YOTOKOKATASARI ASANEGAMI KAKIMOKEDURAZU IDETEKOSHI TSUKIHIYOMITSUTSU NAGEKURAMU KOKORONAGUSANI HOTOTOGISU KINAKUSATSUKINO AYAMEGUSA HANATACHIBANANI NUKIMAJIHE KADURANISEYOTO TSUTSUMITEYARAMU |
訳 | 珠洲の海女が沖の舳倉島(へぐらじま)に渡って潜って取るという真珠。その真珠がどっさり欲しいものだ。いとしい妻どのと袖を交わして別れて以来、妻どのは相手のいない床を重ね、朝の寝乱れ髪をくしけずりもしないで、旅に出た私を、いつ帰ってくるかと指折り数えて嘆いていることだろう。そんな彼女の心の慰めに、ホトトギスがやってきて鳴くこの五月に、アヤメ草や花橘に交えて玉を通すだろう。これで髪飾りにしなさいと土産に包んで贈ってやりたい。 |
左注 | (右五月十四日大伴宿祢家持依興作) |
校異 | 歌 [西] 謌 / 等 登 [元][紀][細] / 古 左 [代匠記初稿本] / 余 尓 [代匠記初稿本] / 波 婆 [元][類] |
用語 | 天平感宝1年5月14日、作者:大伴家持、年紀、贈答、地名、能登、富山、枕詞、高岡 |