第11巻2368番歌はこちらにまとめました。
第11巻 2368番歌
巻 | 第11巻 |
歌番号 | 2368番歌 |
作者 | 作者不詳 |
題詞 | 正述心緒 |
原文 | 垂乳根乃 母之手放 如是許 無為便事者 未為國 |
訓読 | たらちねの母が手離れかくばかりすべなきことはいまだせなくに |
かな | たらちねの ははがてはなれ かくばかり すべなきことは いまだせなくに |
英語(ローマ字) | TARACHINENO HAHAGATEHANARE KAKUBAKARI SUBENAKIKOTOHA IMADASENAKUNI |
訳 | 母の手から離れ、成人して以降、こんなに切なくやるせない思いにとらわれたことはいまだかってありません。 |
左注 | (以前一百四十九首柿本朝臣人麻呂之歌集出) |
校異 | – |
用語 | 作者:柿本人麻呂歌集、非略体、枕詞、恋情 |
解説
題詞の「正述心緒」(せいじゅつしんしょ)は、相聞歌から派生し分類される歌の種類の1つ。「思いを直接述べた歌」という意味で、万葉集 第11巻~第12巻までに収録されたもの。
「たらちねの」は枕詞。掛かる言葉は「母」。苦労して子供を育てたという意味。「母が手離れ」は「一人前になって」、つまり「成人して以降」という意味。恋の切なさ、やるせなさを詠っている。