第9巻1755番歌はこちらにまとめました。
第9巻 1755番歌
巻 | 第9巻 |
歌番号 | 1755番歌 |
作者 | 高橋虫麻呂 |
題詞 | 詠霍公鳥一首[并短歌] |
原文 | 鴬之 生卵乃中尓 霍公鳥 獨所生而 己父尓 似而者不鳴 己母尓 似而者不鳴 宇能花乃 開有野邊従 飛翻 来鳴令響 橘之 花乎居令散 終日 雖喧聞吉 幣者将為 遐莫去 吾屋戸之 花橘尓 住度鳥 |
訓読 | 鴬の 卵の中に 霍公鳥 独り生れて 己が父に 似ては鳴かず 己が母に 似ては鳴かず 卯の花の 咲きたる野辺ゆ 飛び翔り 来鳴き響もし 橘の 花を居散らし ひねもすに 鳴けど聞きよし 賄はせむ 遠くな行きそ 我が宿の 花橘に 住みわたれ鳥 |
かな | うぐひすの かひごのなかに ほととぎす ひとりうまれて ながちちに にてはなかず ながははに にてはなかず うのはなの さきたるのへゆ とびかけり きなきとよもし たちばなの はなをゐちらし ひねもすに なけどききよし まひはせむ とほくなゆきそ わがやどの はなたちばなに すみわたれとり |
英語(ローマ字) | UGUHISUNO KAHIGONONAKANI HOTOTOGISU HITORIUMARETE NAGACHICHINI NITEHANAKAZU NAGAHAHANI NITEHANAKAZU UNOHANANO SAKITARUNOHEYU TOBIKAKERI KINAKITOYOMOSHI TACHIBANANO HANAWOゐCHIRASHI HINEMOSUNI NAKEDOKIKIYOSHI MAHIHASEMU TOHOKUNAYUKISO WAGAYADONO HANATACHIBANANI SUMIWATARETORI |
訳 | 鶯の巣の卵の中にホトトギスが一羽生まれたら、自分の親とは違う声で鳴く。卯の花が咲く野原から空高く飛び、橘の枝に止まって花を散らしながら一日中鳴くがいい声だ。ここがお前の場所だ。もう遠くへ行かなくていい。我が家の庭の橘の花にずっと住み着いておれ。 |
左注 | (右件歌者高橋連蟲麻呂歌集中出) |
校異 | 歌 [西] 哥 [西(訂正)] 歌 |
用語 | 雑歌、作者:高橋虫麻呂歌集、動物、植物 |