万葉集 第8巻 1453番歌/作者・原文・時代・歌・訳

第8巻1453番歌はこちらにまとめました。

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第8巻 1453番歌

第8巻
歌番号1453番歌
作者笠金村
題詞天平五年癸酉春閏三月笠朝臣金村贈入唐使歌一首[并短歌]
原文玉手次 不懸時無 氣緒尓 吾念公者 虚蝉之 <世人有者 大王之> 命恐 夕去者 鶴之妻喚 難波方 三津埼従 大舶尓 二梶繁貫 白浪乃 高荒海乎 嶋傳 伊別徃者 留有 吾者幣引 齊乍 公乎者将<待> 早還万世
訓読玉たすき 懸けぬ時なく 息の緒に 我が思ふ君は うつせみの 世の人なれば 大君の 命畏み 夕されば 鶴が妻呼ぶ 難波潟 御津の崎より 大船に 真楫しじ貫き 白波の 高き荒海を 島伝ひ い別れ行かば 留まれる 我れは幣引き 斎ひつつ 君をば待たむ 早帰りませ
かなたまたすき かけぬときなく いきのをに あがおもふきみは うつせみの よのひとなれば おほきみの みことかしこみ ゆふされば たづがつまよぶ なにはがた みつのさきより おほぶねに まかぢしじぬき しらなみの たかきあるみを しまづたひ いわかれゆかば とどまれる われはぬさひき いはひつつ きみをばまたむ はやかへりませ
英語(ローマ字)TAMATASUKI KAKENUTOKINAKU IKINOWONI AGAOMOFUKIMIHA UTSUSEMINO YONOHITONAREBA OHOKIMINO MIKOTOKASHIKOMI YUFUSAREBA TADUGATSUMAYOBU NANIHAGATA MITSUNOSAKIYORI OHOBUNENI MAKADISHIJINUKI SHIRANAMINO TAKAKIARUMIWO SHIMADUTAHI IWAKAREYUKABA TODOMARERU WAREHANUSAHIKI IHAHITSUTSU KIMIWOBAMATAMU HAYAKAHERIMASE
たすきを懸けるように心にかけるあなた様、命がけで思うあなた様は、現世の人なので、大君のご命令を恐れいただいて、夕方に鶴が妻を呼ぶ難波潟の御津の崎から大船に乗り込む。その大船には梶がいっぱいとりつけられ、高い白波の立つ荒海を島伝いに出ていかんとする。後に留まる私は船に取り付けた神への手向け物を引いて(船に残し)、祈りを捧げる。ずっとあなた様を待ち続けます。早くお帰り下さい。
左注
校異歌 [西] 謌 [西(訂正)] 歌 / 短歌 [西] 短謌 [西(訂正)] 短歌 / <> 世人有者 大王之 [代匠記初稿本] / 徃 待 [代匠記初稿本]
用語春相聞、作者:笠金村、入唐使、贈答、送別、遣唐使、枕詞、地名、大阪、餞別、天平5年閏3月、年紀