万葉集 第6巻 942番歌/作者・原文・時代・歌・訳

第6巻942番歌はこちらにまとめました。

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第6巻 942番歌

第6巻
歌番号942番歌
作者山部赤人
題詞過辛荷嶋時山部宿祢赤人作歌一首[并短歌]
原文味澤相 妹目不數見而 敷細乃 枕毛不巻 櫻皮纒 作流舟二 真梶貫 吾榜来者 淡路乃 野嶋毛過 伊奈美嬬 辛荷乃嶋之 嶋際従 吾宅乎見者 青山乃 曽許十方不見 白雲毛 千重尓成来沼 許伎多武流 浦乃盡 徃隠 嶋乃埼々 隈毛不置 憶曽吾来 客乃氣長弥
訓読あぢさはふ 妹が目離れて 敷栲の 枕もまかず 桜皮巻き 作れる船に 真楫貫き 我が漕ぎ来れば 淡路の 野島も過ぎ 印南嬬 辛荷の島の 島の際ゆ 我家を見れば 青山の そことも見えず 白雲も 千重になり来ぬ 漕ぎ廻むる 浦のことごと 行き隠る 島の崎々 隈も置かず 思ひぞ我が来る 旅の日長み
かなあぢさはふ いもがめかれて しきたへの まくらもまかず かにはまき つくれるふねに まかぢぬき わがこぎくれば あはぢの のしまもすぎ いなみつま からにのしまの しまのまゆ わぎへをみれば あをやまの そこともみえず しらくもも ちへになりきぬ こぎたむる うらのことごと ゆきかくる しまのさきざき くまもおかず おもひぞわがくる たびのけながみ
英語(ローマ字)ADISAHAFU IMOGAMEKARETE SHIKITAHENO MAKURAMOMAKAZU KANIHAMAKI TSUKURERUFUNENI MAKADINUKI WAGAKOGIKUREBA AHADINO NOSHIMAMOSUGI INAMITSUMA KARANINOSHIMANO SHIMANOMAYU WAGIHEWOMIREBA AWOYAMANO SOKOTOMOMIEZU SHIRAKUMOMO CHIHENINARIKINU KOGITAMURU URANOKOTOGOTO YUKIKAKURU SHIMANOSAKIZAKI KUMAMOOKAZU OMOHIZOWAGAKURU TABINOKENAGAMI
彼女から離れ(別れ)共寝もしないまま、桜皮(かには)を巻いて作った船の両舷に梶を取り付け、ここまで漕いできた。淡路の国の野島も過ぎ、加古川の河口を過ぎて、唐荷島(からにしま)のそばにやってきた。そこから我が家の方を見たけれど、青々と重なる山々のどのあたりが我が家の方向なのか見当がつかない。白雲も幾重にも重なって、漕ぎめぐってきた浦々のことごとくが隠れ、島々の御崎という御崎も隠れてしまった。そのことごとくどの曲がりかども見逃さず故郷大和の方向に目を注いできた、ああ、我が家への思いがつのる。旅路の日々が長くなってきたので。
左注
校異歌 [西] 謌 [西(訂正)] 歌 / 短歌 [西] 短謌 [西(訂正)] 短歌
用語雑歌、作者:山部赤人、羈旅、望郷、兵庫、枕詞、地名
第6巻
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