第4巻723番歌はこちらにまとめました。
第4巻 723番歌
巻 | 第4巻 |
歌番号 | 723番歌 |
作者 | 坂上郎女 |
題詞 | 大伴坂上郎女従跡見庄<賜>留宅女子大嬢歌一首[并短歌] |
原文 | 常呼二跡 吾行莫國 小金門尓 物悲良尓 念有之 吾兒乃刀自緒 野干玉之 夜晝跡不言 念二思 吾身者痩奴 嘆丹師 袖左倍<沾>奴 如是許 本名四戀者 古郷尓 此月期呂毛 有勝益土 |
訓読 | 常世にと 我が行かなくに 小金門に もの悲しらに 思へりし 我が子の刀自を ぬばたまの 夜昼といはず 思ふにし 我が身は痩せぬ 嘆くにし 袖さへ濡れぬ かくばかり もとなし恋ひば 故郷に この月ごろも 有りかつましじ |
かな | とこよにと わがゆかなくに をかなどに ものかなしらに おもへりし あがこのとじを ぬばたまの よるひるといはず おもふにし あがみはやせぬ なげくにし そでさへぬれぬ かくばかり もとなしこひば ふるさとに このつきごろも ありかつましじ |
英語(ローマ字) | TOKOYONITO WAGAYUKANAKUNI WOKANADONI MONOKANASHIRANI OMOHERISHI AGAKONOTOJIWO NUBATAMANO YORUHIRUTOIHAZU OMOFUNISHI AGAMIHAYASENU NAGEKUNISHI SODESAHENURENU KAKUBAKARI MOTONASHIKOHIBA FURUSATONI KONOTSUKIGOROMO ARIKATSUMASHIJI |
訳 | あの世へと旅立ったわけでもないのに、ご門で悲しそうにしていた我が子。留守中に私に代わってつとめる刀自(とじ)(主婦)のことを思うと、夜も昼も心配で私はやせ細ってしまった。嘆いて着物の袖は涙で濡れてしまった。このように、しきりに恋しく思われ、ここ故郷の跡見の庄に何か月もいられないだろう。 |
左注 | (右歌報賜大嬢進歌也) |
校異 | 贈賜 賜 [元][類][紀] / 歌 [西] 謌 [西(訂正)] 歌 / 沽 沾 [紀] |
用語 | 相聞、作者:坂上郎女、坂上大嬢、愛情、枕詞、桜井 |