第3巻260番歌はこちらにまとめました。
第3巻 260番歌
巻 | 第3巻 |
歌番号 | 260番歌 |
作者 | 鴨足人 |
題詞 | (鴨君足人香具山歌一首[并短歌])或本歌云 |
原文 | 天降就 神乃香山 打靡 春去来者 櫻花 木暗茂 松風丹 池浪飆 邊都遍者 阿遅村動 奥邊者 鴨妻喚 百式乃 大宮人乃 去出 榜来舟者 竿梶母 無而佐夫之毛 榜与雖思 |
訓読 | 天降りつく 神の香具山 うち靡く 春さり来れば 桜花 木の暗茂に 松風に 池波立ち 辺つ辺には あぢ群騒き 沖辺には 鴨妻呼ばひ ももしきの 大宮人の 退り出て 漕ぎける船は 棹楫も なくて寂しも 漕がむと思へど |
かな | あもりつく かみのかぐやま うちなびく はるさりくれば さくらばな このくれしげに まつかぜに いけなみたち へつへには あぢむらさわき おきへには かもつまよばひ ももしきの おほみやひとの まかりでて こぎけるふねは さをかぢも なくてさぶしも こがむとおもへど |
英語(ローマ字) | AMORITSUKU KAMINOKAGUYAMA UCHINABIKU HARUSARIKUREBA SAKURABANA KONOKURESHIGENI MATSUKAZENI IKENAMITACHI HETSUHENIHA ADIMURASAWAKI OKIHENIHA KAMOTSUMAYOBAHI MOMOSHIKINO OHOMIYAHITONO MAKARIDETE KOGIKERUFUNEHA SAWOKADIMO NAKUTESABUSHIMO KOGAMUTOOMOHEDO |
訳 | 天から降ってきたという香具山。草木も靡く春になると、木々の茂みに桜が咲き誇る。松風を受けて池が波立ち、岸辺では.トモエガモが群騒ぐ。池の沖の方では鴨が妻を呼び立てて鳴く。宮仕えの人々が退出すると(去ってしまうと)、漕ぎ出ようにも船には梶(かじ))や棹(さお)もなくて寂しい。漕ごうと思っても。 |
左注 | 右今案 遷都寧樂之後怜舊作此歌歟 |
校異 | 歌 [西] 謌 |
用語 | 雑歌、作者:鴨足人、哀惜、荒都歌、高市皇子、飛鳥、地名 |