第12巻3169番歌はこちらにまとめました。
第12巻 3169番歌
巻 | 第12巻 |
歌番号 | 3169番歌 |
作者 | 作者不詳 |
題詞 | (羇旅發思) |
原文 | 能登海尓 釣為海部之 射去火之 光尓伊徃 月待香光 |
訓読 | 能登の海に釣する海人の漁り火の光りにいませ月待ちがてり |
かな | のとのうみに つりするあまの いざりひの ひかりにいませ つきまちがてり |
英語(ローマ字) | NOTONOUMINI TSURISURUAMANO IZARIHINO HIKARINIIMASE TSUKIMACHIGATERI |
訳 | 能登の海で夜釣をする漁り火をたよりにお行きなさい。月の出を待ちながら。 |
左注 | – |
校異 | – |
用語 | 羈旅、地名、能登、石川、遊行女婦、誘い歌 |
解説
「光りにいませ」は「光をたよりにいらっしゃい」という意味。だがここでは、「元居る場所にお行きなさい。」と訳す方が収まりがよい。詠うのは女性であり、名残惜しむ客を優しく丁寧に見送るという解が適切だろう。別の歌ではあるが、旅路で出会った芸者(?)の女性を引き留める大伴旅人の歌が第6巻966番歌から968番歌にある。こうした旅で一時しか出会えなかった女性は、とても魅力的に思えたのだろう。「月待ちがてり」は現在でも「~がてら」と使うように、「~しつつ」という意味である。