第6巻992番歌はこちらにまとめました。
第6巻 992番歌
巻 | 第6巻 |
歌番号 | 992番歌 |
作者 | 坂上郎女 |
題詞 | 大伴坂上郎女詠元興寺之里歌一首 |
原文 | 古郷之 飛鳥者雖有 青丹吉 平城之明日香乎 見樂思好裳 |
訓読 | 故郷の飛鳥はあれどあをによし奈良の明日香を見らくしよしも |
かな | ふるさとの あすかはあれど あをによし ならのあすかを みらくしよしも |
英語(ローマ字) | FURUSATONO ASUKAHAAREDO AWONIYOSHI NARANOASUKAWO MIRAKUSHIYOSHIMO |
訳 | 旧都の飛鳥寺もすばらしかったけれど、ここ元興寺も見るからにすばらしい。 |
左注 | – |
校異 | 歌 [西] 謌 [西(訂正)] 歌 |
用語 | 雑歌、作者:坂上郎女、飛鳥、奈良、土地讃美、望郷、地名 |
解説
題詞は「大伴坂上郎女(おおとものさかのうえのいらつめ)が元興寺(がんごうじ)の里を訪れた時の歌」という意味。和銅3年(710年)、都を藤原京(飛鳥時代の日本首都)から平城京に段階的に遷都された時代である。当時の飛鳥寺も元興寺として平城京に移築され、元興寺の建つ地を「明日香」と呼んでいた。
「見らくしよしも」は「見るからにすばらしい」という意味。ようは「奈良の明日香」をほめているが、同時に旧都の飛鳥をも指している詠い方。第二句の「飛鳥はあれど」には「見らくしよしも」が省略されている。