第20巻4516番歌はこちらにまとめました。
第20巻 4516番歌
巻 | 第20巻 |
歌番号 | 4516番歌 |
作者 | 大伴家持 |
題詞 | 三年春正月一日於因幡國廳賜饗國郡司等之宴歌一首 |
原文 | 新 年乃始乃 波都波流能 家布敷流由伎能 伊夜之家餘其騰 |
訓読 | 新しき年の初めの初春の今日降る雪のいやしけ吉事 |
かな | あらたしき としのはじめの はつはるの けふふるゆきの いやしけよごと |
英語(ローマ字) | ARATASHIKI TOSHINOHAJIMENO HATSUHARUNO KEFUFURUYUKINO IYASHIKEYOGOTO |
訳 | 新しい歳の初め、この初春の今日雪が降っている。降り積もる雪のように、めでたいことがいよいよ積み重なって欲しいものだ。 |
左注 | 右一首守大伴宿祢家持作之 |
校異 | 歌 [西] 謌 |
用語 | 天平宝字3年1月1日、年紀、作者:大伴家持、予祝、寿歌、鳥取、宴席 |
解説
題詞は「天平宝字3年、1月1日、因幡国庁で国司が、郡司(地方官のこと)等を集め、饗(あへ=ごちそう)を用意して宴を催した際の歌」という意味。因幡国庁は鳥取市に置かれた官務の役所のこと。
「いや重(し)け吉事(よごと)」は「いよいよ重なってくれ、おめでたいことが」という意味。という歌である。
左注に「右は守大伴宿祢家持の歌」とある。
この後、大伴家持の歌は残されていない。もちろん、その後も家持自身が歌を作っていたのではと思われるが、万葉集では最後の歌となる。
本歌の大伴旅人が開いた梅花の宴のような歌であるように、平和な世界が重ねて続くようにあって欲しいと願う。(令和元年)