万葉集 第8巻 1594番歌/作者・原文・時代・歌・訳

第8巻1594番歌はこちらにまとめました。

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第8巻 1594番歌

第8巻
歌番号1594番歌
作者作者不詳
題詞佛前唱歌一首
原文思具礼能雨 無間莫零 紅尓 丹保敝流山之 落巻惜毛
訓読時雨の雨間なくな降りそ紅ににほへる山の散らまく惜しも
かなしぐれのあめ まなくなふりそ くれなゐに にほへるやまの ちらまくをしも
英語(ローマ字)SHIGURENOAME MANAKUNAFURISO KURENAゐNI NIHOHERUYAMANO CHIRAMAKUWOSHIMO
しぐれ雨よ、そんなに絶え間なく降り続けないでおくれ。紅に色づいた山の紅葉が散ってしまうのが惜しいではないか。
左注右冬十月皇后宮之維摩講 終日供養大唐高麗等種々音樂 尓乃唱此歌詞 弾琴者市原王 忍坂王[後賜姓大原真人赤麻呂也] 歌子者田口朝臣家守 河邊朝臣東人 置始連長谷等十數人也
校異歌 [西] 謌 [西(訂正)] 歌 / 謌 [温][矢][京] 歌 / 歌 [西] 謌 [西(訂正)] 歌
用語秋雑歌、天平11年10月、年紀、光明皇后、誦唱
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解説

題詞に「佛前唱歌一首」と書かれている。佛前唱歌は法会の際に詠われた歌のこと。

「な降りそ」は「な~そ」の禁止形で「降らないでくれ」という意味。「にほへる」は「色づいた」という意味。

左注は「この歌は、聖武天皇の皇后、光明皇后の宮で冬十月に営まれた法会(ほうえ)で唄われた。また、一日中種々の音楽が供養され、市原王と忍坂王が琴を演奏し、田口朝臣家守(たぐちのやかもり)、河邊朝臣東人(かわべのあづまひと)、置始連長谷(をきそめのむらじはつせ)等十數人が唄った」といった内容。

市原王は三十八代天智天皇の曾孫安貴王の子。