万葉集 第6巻 922番歌/作者・原文・時代・歌・訳

第6巻922番歌はこちらにまとめました。

スポンサーリンク

第6巻 922番歌

第6巻
歌番号922番歌
作者笠金村
題詞((神龜二年乙丑夏五月幸于芳野離宮時笠朝臣金村作歌一首[并短歌])反歌二首)
原文人皆乃 壽毛吾母 三<吉>野乃 多吉能床磐乃 常有沼鴨
訓読皆人の命も我れもみ吉野の滝の常磐の常ならぬかも
かなみなひとの いのちもわれも みよしのの たきのときはの つねならぬかも
英語(ローマ字)MINAHITONO INOCHIMOWAREMO MIYOSHINONO TAKINOTOKIHANO TSUNENARANUKAMO
ここにいる皆様方も私の命も、ここみ吉野の滝のように未来永劫に不変であってくれたなら。
左注
校異人皆 [元][類] 皆人 / 芳 吉 [元][類][紀]
用語雑歌、作者:笠金村、吉野、行幸、宮廷讃美、神亀2年5月、年紀、地名、序詞
スポンサーリンク

解説

「皆人の命も我れも」の「皆」は離宮にやってきている人々のこと。「ここにいる皆様方も私の命も」という意味。「常磐(ときは)」は「永遠に」という意味。題詞の訳は「神龜二年乙丑(725年)夏五月、四十五代聖武天皇が吉野の離宮に行幸された際、笠朝臣金村(かさのあそみかなむら)が作った歌と短歌」という意味。

金村は行幸(天皇の外出)で歌を多く残している。こうした歌人のことを一般的に「宮廷歌人」と言うが、宮廷歌人という職業は存在しない。とはいえ金村のように天皇の近くで詠う歌人たちは、位の高い官吏だったと思われる。