第4巻534番歌はこちらにまとめました。
第4巻 534番歌
巻 | 第4巻 |
歌番号 | 534番歌 |
作者 | 安貴王 |
題詞 | 安貴王歌一首[并短歌] |
原文 | 遠嬬 此間不在者 玉桙之 道乎多遠見 思空 安莫國 嘆虚 不安物乎 水空徃 雲尓毛欲成 高飛 鳥尓毛欲成 明日去而 於妹言問 為吾 妹毛事無 為妹 吾毛事無久 今裳見如 副而毛欲得 |
訓読 | 遠妻の ここにしあらねば 玉桙の 道をた遠み 思ふそら 安けなくに 嘆くそら 苦しきものを み空行く 雲にもがも 高飛ぶ 鳥にもがも 明日行きて 妹に言どひ 我がために 妹も事なく 妹がため 我れも事なく 今も見るごと たぐひてもがも |
かな | とほづまの ここにしあらねば たまほこの みちをたどほみ おもふそら やすけなくに なげくそら くるしきものを みそらゆく くもにもがも たかとぶ とりにもがも あすゆきて いもにことどひ あがために いももことなく いもがため あれもことなく いまもみるごと たぐひてもがも |
英語(ローマ字) | TOHODUMANO KOKONISHIARANEBA TAMAHOKONO MICHIWOTADOHOMI OMOFUSORA YASUKENAKUNI NAGEKUSORA KURUSHIKIMONOWO MISORAYUKU KUMONIMOGAMO TAKATOBU TORINIMOGAMO ASUYUKITE IMONIKOTODOHI AGATAMENI IMOMOKOTONAKU IMOGATAME AREMOKOTONAKU IMAMOMIRUGOTO TAGUHITEMOGAMO |
訳 | 妻は遠くの地にいてここにはいない。玉桙の道は遠く、妻を思うと心休まらない。嘆くばかりで苦しくてならない。空を流れる雲になりたい。高く飛ぶ鳥になりたい。そうして明日にでも行って妻に話しかけ、私のために妻は無事であってほしいし、妻のためにこの私も無事でありたい。今の姿のまま、互いに寄り添っていたい。 |
左注 | (右安貴王娶因幡八上釆女 係念極甚愛情尤盛 於時勅断不敬之罪退却本郷焉 于是王意悼怛聊作此歌也) |
校異 | 歌 [西] 謌 / 短歌 [西] 短謌 [西(訂正)] 短歌 |
用語 | 相聞、作者:安貴王、因幡八上釆女、恋情、離別、枕詞、悲別 |