第19巻4236番歌はこちらにまとめました。
第19巻 4236番歌
巻 | 第19巻 |
歌番号 | 4236番歌 |
作者 | 作者不詳 |
題詞 | 悲傷死妻歌一首[并短歌] [作主未詳] |
原文 | 天地之 神者<无>可礼也 愛 吾妻離流 光神 鳴波多D嬬 携手 共将有等 念之尓 情違奴 将言為便 将作為便不知尓 木綿手次 肩尓取<挂> 倭<文>幣乎 手尓取持C 勿令離等 和礼波雖祷 巻而寐之 妹之手本者 雲尓多奈妣久 |
訓読 | 天地の 神はなかれや 愛しき 我が妻離る 光る神 鳴りはた娘子 携はり ともにあらむと 思ひしに 心違ひぬ 言はむすべ 為むすべ知らに 木綿たすき 肩に取り懸け 倭文幣を 手に取り持ちて な放けそと 我れは祈れど 枕きて寝し 妹が手本は 雲にたなびく |
かな | あめつちの かみはなかれや うつくしき わがつまさかる ひかるかみ なりはたをとめ たづさはり ともにあらむと おもひしに こころたがひぬ いはむすべ せむすべしらに ゆふたすき かたにとりかけ しつぬさを てにとりもちて なさけそと われはいのれど まきてねし いもがたもとは くもにたなびく |
英語(ローマ字) | AMETSUCHINO KAMIHANAKAREYA UTSUKUSHIKI WAGATSUMASAKARU HIKARUKAMI NARIHATAWOTOME TADUSAHARI TOMONIARAMUTO OMOHISHINI KOKOROTAGAHINU IHAMUSUBE SEMUSUBESHIRANI YUFUTASUKI KATANITORIKAKE SHITSUNUSAWO TENITORIMOCHITE NASAKESOTO WAREHAINOREDO MAKITENESHI IMOGATAMOTOHA KUMONITANABIKU |
訳 | 天地に神はいないのだろうか。愛しい我が妻は死んでしまった。光る雷神の鳴波多郷の娘子、手を携えて共に暮らしていこうと思っていたのに、思いははずれてしまった。物言う術も為す術も分からない。木綿のたすきを肩に取り結び、神に捧げる倭文(しづ)織りの幣(ぬさ)を手に取り持って、私たち二人を引き離さないで下さいと一心に祈る。けれども、手枕をして取ったあの子の腕は、ああ、雲にたなびいている。 |
左注 | (右二首傳誦遊行女婦蒲生是也) |
校異 | 無 无 [元][類] / 掛 挂 [元][類][文][紀] / 父 文 [元][類] |
用語 | 天平勝宝3年1月3日、年紀、挽歌、悲別、亡妻挽歌、伝誦、古歌、遊行女婦蒲生、宴席、高岡、富山 |