第8巻1654番歌はこちらにまとめました。
第8巻 1654番歌
| 巻 | 第8巻 |
| 歌番号 | 1654番歌 |
| 作者 | 坂上郎女 |
| 題詞 | 大伴坂上郎女雪歌一首 |
| 原文 | 松影乃 淺茅之上乃 白雪乎 不令消将置 言者可聞奈吉 |
| 訓読 | 松蔭の浅茅の上の白雪を消たずて置かむことはかもなき |
| かな | まつかげの あさぢのうへの しらゆきを けたずておかむ ことはかもなき |
| 英語(ローマ字) | MATSUKAGENO ASADINOUHENO SHIRAYUKIWO KETAZUTEOKAMU KOTOHAKAMONAKI |
| 訳 | 松の木陰の浅茅に白雪が、消え残っている。発する言葉もないほど美しい。 |
| 左注 | – |
| 校異 | 歌 [西] 謌 [西(訂正)] 歌 |
| 用語 | 冬雑歌、作者:坂上郎女、植物 |
解説
題詞は「大伴坂上郎女(おおとものさかのうへのいらつめ)の雪の歌一首」と書かれている。坂上郎女は大伴家持の養女であり、叔母であり、姑。
浅茅(あさじ)は「たけの低い茅菅(ちがや)」のこと。「消たずて」は「消さずに」という意味。
「ことはかもなき」は原文に「言者可聞奈吉」とある。「奈吉」は鳥の鳴き声と訳すこともあるが、否定的な意味にも使われる。(例1522)つまり、「言い表せない」と解すると、歌の意味がすっきりとする。

