坂上郎女が書いた万葉集

坂上郎女が書いた万葉集についてまとめました。

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掲載数 全 86 首

歌番号本歌
第3巻379番歌ひさかたの 天の原より 生れ来る 神の命 奥山の 賢木の枝に しらか付け 木綿取り付けて 斎瓮を 斎ひ掘り据ゑ 竹玉を 繁に貫き垂れ 獣じもの 膝折り伏して たわや女の 襲取り懸け かくだにも 我れは祈ひなむ 君に逢はじかも
第3巻380番歌木綿畳手に取り持ちてかくだにも我れは祈ひなむ君に逢はじかも
第3巻401番歌山守のありける知らにその山に標結ひ立てて結ひの恥しつ
第3巻402番歌山守はけだしありとも我妹子が結ひけむ標を人解かめやも
第3巻410番歌橘を宿に植ゑ生ほし立ちて居て後に悔ゆとも験あらめやも
第3巻411番歌我妹子がやどの橘いと近く植ゑてし故にならずはやまじ
第3巻460番歌栲づのの 新羅の国ゆ 人言を よしと聞かして 問ひ放くる 親族兄弟 なき国に 渡り来まして 大君の 敷きます国に うち日さす 都しみみに 里家は さはにあれども いかさまに 思ひけめかも つれもなき 佐保の山辺に 泣く子なす 慕ひ来まして 敷栲の 家をも作り あらたまの 年の緒長く 住まひつつ いまししものを 生ける者 死ぬといふことに 免れぬ ものにしあれば 頼めりし 人のことごと 草枕 旅なる間に 佐保川を 朝川渡り 春日野を そがひに見つつ あしひきの 山辺をさして 夕闇と 隠りましぬれ 言はむすべ 為むすべ知らに たもとほり ただひとりして 白栲の 衣袖干さず 嘆きつつ 我が泣く涙 有間山 雲居たなびき 雨に降りきや
第3巻461番歌留めえぬ命にしあれば敷栲の家ゆは出でて雲隠りにき
第4巻525番歌佐保川の小石踏み渡りぬばたまの黒馬来る夜は年にもあらぬか
第4巻526番歌千鳥鳴く佐保の川瀬のさざれ波やむ時もなし我が恋ふらくは
第4巻527番歌来むと言ふも来ぬ時あるを来じと言ふを来むとは待たじ来じと言ふものを
第4巻528番歌千鳥鳴く佐保の川門の瀬を広み打橋渡す汝が来と思へば
第4巻529番歌佐保川の岸のつかさの柴な刈りそねありつつも春し来たらば立ち隠るがね
第4巻563番歌黒髪に白髪交り老ゆるまでかかる恋にはいまだ逢はなくに
第4巻564番歌山菅の実ならぬことを我れに寄せ言はれし君は誰れとか寝らむ
第4巻585番歌出でていなむ時しはあらむをことさらに妻恋しつつ立ちていぬべしや
第4巻586番歌相見ずは恋ひずあらましを妹を見てもとなかくのみ恋ひばいかにせむ
第4巻619番歌おしてる 難波の菅の ねもころに 君が聞こして 年深く 長くし言へば まそ鏡 磨ぎし心を ゆるしてし その日の極み 波の共 靡く玉藻の かにかくに 心は持たず 大船の 頼める時に ちはやぶる 神か離くらむ うつせみの 人か障ふらむ 通はしし 君も来まさず 玉梓の 使も見えず なりぬれば いたもすべなみ ぬばたまの 夜はすがらに 赤らひく 日も暮るるまで 嘆けども 験をなみ 思へども たづきを知らに たわや女と 言はくもしるく たわらはの 音のみ泣きつつ た廻り 君が使を 待ちやかねてむ
第4巻620番歌初めより長く言ひつつ頼めずはかかる思ひに逢はましものか
第4巻647番歌心には忘るる日なく思へども人の言こそ繁き君にあれ
第4巻649番歌夏葛の絶えぬ使のよどめれば事しもあるごと思ひつるかも
第4巻651番歌ひさかたの天の露霜置きにけり家なる人も待ち恋ひぬらむ
第4巻652番歌玉守に玉は授けてかつがつも枕と我れはいざふたり寝む
第4巻656番歌我れのみぞ君には恋ふる我が背子が恋ふといふことは言のなぐさぞ
第4巻657番歌思はじと言ひてしものをはねず色のうつろひやすき我が心かも
第4巻658番歌思へども験もなしと知るものを何かここだく我が恋ひわたる
第4巻659番歌あらかじめ人言繁しかくしあらばしゑや我が背子奥もいかにあらめ
第4巻660番歌汝をと我を人ぞ離くなるいで我が君人の中言聞きこすなゆめ
第4巻661番歌恋ひ恋ひて逢へる時だにうるはしき言尽してよ長くと思はば
第4巻666番歌相見ぬは幾久さにもあらなくにここだく我れは恋ひつつもあるか
第4巻667番歌恋ひ恋ひて逢ひたるものを月しあれば夜は隠るらむしましはあり待て
第4巻673番歌まそ鏡磨ぎし心をゆるしてば後に言ふとも験あらめやも
第4巻674番歌真玉つくをちこち兼ねて言は言へど逢ひて後こそ悔にはありといへ
第4巻683番歌言ふ言の畏き国ぞ紅の色にな出でそ思ひ死ぬとも
第4巻684番歌今は我は死なむよ我が背生けりとも我れに依るべしと言ふといはなくに
第4巻685番歌人言を繁みか君が二鞘の家を隔てて恋ひつつまさむ
第4巻686番歌このころは千年や行きも過ぎぬると我れやしか思ふ見まく欲りかも
第4巻687番歌うるはしと我が思ふ心速川の塞きに塞くともなほや崩えなむ
第4巻688番歌青山を横ぎる雲のいちしろく我れと笑まして人に知らゆな
第4巻689番歌海山も隔たらなくに何しかも目言をだにもここだ乏しき
第4巻721番歌あしひきの山にしをれば風流なみ我がするわざをとがめたまふな
第4巻723番歌常世にと 我が行かなくに 小金門に もの悲しらに 思へりし 我が子の刀自を ぬばたまの 夜昼といはず 思ふにし 我が身は痩せぬ 嘆くにし 袖さへ濡れぬ かくばかり もとなし恋ひば 故郷に この月ごろも 有りかつましじ
第4巻724番歌朝髪の思ひ乱れてかくばかり汝姉が恋ふれぞ夢に見えける
第4巻725番歌にほ鳥の潜く池水心あらば君に我が恋ふる心示さね
第4巻726番歌外に居て恋ひつつあらずは君が家の池に住むといふ鴨にあらましを
第4巻760番歌うち渡す武田の原に鳴く鶴の間なく時なし我が恋ふらくは
第4巻761番歌早川の瀬に居る鳥のよしをなみ思ひてありし我が子はもあはれ
第6巻963番歌大汝 少彦名の 神こそば 名付けそめけめ 名のみを 名児山と負ひて 我が恋の 千重の一重も 慰めなくに
第6巻964番歌我が背子に恋ふれば苦し暇あらば拾ひて行かむ恋忘貝
第6巻979番歌我が背子が着る衣薄し佐保風はいたくな吹きそ家に至るまで
第6巻981番歌狩高の高円山を高みかも出で来る月の遅く照るらむ
第6巻982番歌ぬばたまの夜霧の立ちておほほしく照れる月夜の見れば悲しさ
第6巻983番歌山の端のささら愛壮士天の原門渡る光見らくしよしも
第6巻992番歌故郷の飛鳥はあれどあをによし奈良の明日香を見らくしよしも
第6巻993番歌月立ちてただ三日月の眉根掻き日長く恋ひし君に逢へるかも
第6巻995番歌かくしつつ遊び飲みこそ草木すら春は咲きつつ秋は散りゆく
第6巻1017番歌木綿畳手向けの山を今日越えていづれの野辺に廬りせむ我れ
第6巻1028番歌ますらをの高円山に迫めたれば里に下り来るむざさびぞこれ
第8巻1432番歌我が背子が見らむ佐保道の青柳を手折りてだにも見むよしもがも
第8巻1433番歌うち上る佐保の川原の青柳は今は春へとなりにけるかも
第8巻1445番歌風交り雪は降るとも実にならぬ我家の梅を花に散らすな
第8巻1447番歌世の常に聞けば苦しき呼子鳥声なつかしき時にはなりぬ
第8巻1450番歌心ぐきものにぞありける春霞たなびく時に恋の繁きは
第8巻1474番歌今もかも大城の山に霍公鳥鳴き響むらむ我れなけれども
第8巻1475番歌何しかもここだく恋ふる霍公鳥鳴く声聞けば恋こそまされ
第8巻1484番歌霍公鳥いたくな鳴きそひとり居て寐の寝らえぬに聞けば苦しも
第8巻1498番歌暇なみ来まさぬ君に霍公鳥我れかく恋ふと行きて告げこそ
第8巻1500番歌夏の野の茂みに咲ける姫百合の知らえぬ恋は苦しきものぞ
第8巻1502番歌五月の花橘を君がため玉にこそ貫け散らまく惜しみ
第8巻1548番歌咲く花もをそろはいとはしおくてなる長き心になほしかずけり
第8巻1560番歌妹が目を始見の崎の秋萩はこの月ごろは散りこすなゆめ
第8巻1561番歌吉隠の猪養の山に伏す鹿の妻呼ぶ声を聞くが羨しさ
第8巻1592番歌しかとあらぬ五百代小田を刈り乱り田廬に居れば都し思ほゆ
第8巻1593番歌隠口の泊瀬の山は色づきぬ時雨の雨は降りにけらしも
第8巻1620番歌あらたまの月立つまでに来まさねば夢にし見つつ思ひぞ我がせし
第8巻1651番歌淡雪のこのころ継ぎてかく降らば梅の初花散りか過ぎなむ
第8巻1654番歌松蔭の浅茅の上の白雪を消たずて置かむことはかもなき
第8巻1656番歌酒杯に梅の花浮かべ思ふどち飲みての後は散りぬともよし
第17巻3927番歌草枕旅行く君を幸くあれと斎瓮据ゑつ我が床の辺に
第17巻3928番歌今のごと恋しく君が思ほえばいかにかもせむするすべのなさ
第17巻3929番歌旅に去にし君しも継ぎて夢に見ゆ我が片恋の繁ければかも
第17巻3930番歌道の中国つみ神は旅行きもし知らぬ君を恵みたまはな
第18巻4080番歌常人の恋ふといふよりはあまりにて我れは死ぬべくなりにたらずや
第18巻4081番歌片思ひを馬にふつまに負ほせ持て越辺に遣らば人かたはむかも
第19巻4220番歌海神の 神の命の み櫛笥に 貯ひ置きて 斎くとふ 玉にまさりて 思へりし 我が子にはあれど うつせみの 世の理と 大夫の 引きのまにまに しなざかる 越道をさして 延ふ蔦の 別れにしより 沖つ波 とをむ眉引き 大船の ゆくらゆくらに 面影に もとな見えつつ かく恋ひば 老いづく我が身 けだし堪へむかも
第19巻4221番歌かくばかり恋しくしあらばまそ鏡見ぬ日時なくあらましものを
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坂上女郎とは?

坂上女郎(読み:さかのうえのいらつめ)
?-?(690頃~760頃) 奈良時代の女流歌人であり、大伴家持の叔母。
万葉集の巻3~19まで、多く相聞歌を残している。大伴家持の叔母であり姑でもある。大伴旅人が妻と死別したことをきっかけに、家持と書持の教育係となった。(大伴坂上郎女になる。)後に大伴旅人が亡くなると、大伴家の刀自(主婦)として取り仕切っていたと思われる。娘は家持の妻。
おそらくは、家持にとって頭が上がらない人物であったのだろう。

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