笠金村が書いた万葉集

笠金村が書いた万葉集についてまとめました。

掲載数 全 42 首

歌番号 本歌
第2巻230番歌 梓弓 手に取り持ちて ますらをの さつ矢手挟み 立ち向ふ 高円山に 春野焼く 野火と見るまで 燃ゆる火を 何かと問へば 玉鉾の 道来る人の 泣く涙 こさめに降れば 白栲の 衣ひづちて 立ち留まり 我れに語らく なにしかも もとなとぶらふ 聞けば 哭のみし泣かゆ 語れば 心ぞ痛き 天皇の 神の御子の いでましの 手火の光りぞ ここだ照りたる
第2巻231番歌 高円の野辺の秋萩いたづらに咲きか散るらむ見る人なしに
第2巻232番歌 御笠山野辺行く道はこきだくも繁く荒れたるか久にあらなくに
第3巻364番歌 ますらをの弓末振り起し射つる矢を後見む人は語り継ぐがね
第3巻365番歌 塩津山打ち越え行けば我が乗れる馬ぞつまづく家恋ふらしも
第3巻366番歌 越の海の 角鹿の浜ゆ 大船に 真楫貫き下ろし 鯨魚取り 海道に出でて 喘きつつ 我が漕ぎ行けば ますらをの 手結が浦に 海女娘子 塩焼く煙 草枕 旅にしあれば ひとりして 見る験なみ 海神の 手に巻かしたる 玉たすき 懸けて偲ひつ 大和島根を
第3巻367番歌 越の海の手結が浦を旅にして見れば羨しみ大和偲ひつ
第4巻543番歌 大君の 行幸のまにま もののふの 八十伴の男と 出で行きし 愛し夫は 天飛ぶや 軽の路より 玉たすき 畝傍を見つつ あさもよし 紀路に入り立ち 真土山 越ゆらむ君は 黄葉の 散り飛ぶ見つつ にきびにし 我れは思はず 草枕 旅をよろしと 思ひつつ 君はあらむと あそそには かつは知れども しかすがに 黙もえあらねば 我が背子が 行きのまにまに 追はむとは 千たび思へど 手弱女の 我が身にしあれば 道守の 問はむ答へを 言ひやらむ すべを知らにと 立ちてつまづく
第4巻544番歌 後れ居て恋ひつつあらずは紀の国の妹背の山にあらましものを
第4巻545番歌 我が背子が跡踏み求め追ひ行かば紀の関守い留めてむかも
第4巻546番歌 三香の原 旅の宿りに 玉桙の 道の行き逢ひに 天雲の 外のみ見つつ 言問はむ よしのなければ 心のみ 咽せつつあるに 天地の 神言寄せて 敷栲の 衣手交へて 己妻と 頼める今夜 秋の夜の 百夜の長さ ありこせぬかも
第4巻547番歌 天雲の外に見しより我妹子に心も身さへ寄りにしものを
第4巻548番歌 今夜の早く明けなばすべをなみ秋の百夜を願ひつるかも
第6巻907番歌 瀧の上の 三船の山に 瑞枝さし 繁に生ひたる 栂の木の いや継ぎ継ぎに 万代に かくし知らさむ み吉野の 秋津の宮は 神からか 貴くあるらむ 国からか 見が欲しからむ 山川を 清みさやけみ うべし神代ゆ 定めけらしも
第6巻908番歌 年のはにかくも見てしかみ吉野の清き河内のたぎつ白波
第6巻909番歌 山高み白木綿花におちたぎつ瀧の河内は見れど飽かぬかも
第6巻910番歌 神からか見が欲しからむみ吉野の滝の河内は見れど飽かぬかも
第6巻911番歌 み吉野の秋津の川の万代に絶ゆることなくまたかへり見む
第6巻912番歌 泊瀬女の造る木綿花み吉野の滝の水沫に咲きにけらずや
第6巻920番歌 あしひきの み山もさやに 落ちたぎつ 吉野の川の 川の瀬の 清きを見れば 上辺には 千鳥しば鳴く 下辺には かはづ妻呼ぶ ももしきの 大宮人も をちこちに 繁にしあれば 見るごとに あやに乏しみ 玉葛 絶ゆることなく 万代に かくしもがもと 天地の 神をぞ祈る 畏くあれども
第6巻921番歌 万代に見とも飽かめやみ吉野のたぎつ河内の大宮所
第6巻922番歌 皆人の命も我れもみ吉野の滝の常磐の常ならぬかも
第6巻928番歌 おしてる 難波の国は 葦垣の 古りにし里と 人皆の 思ひやすみて つれもなく ありし間に 続麻なす 長柄の宮に 真木柱 太高敷きて 食す国を 治めたまへば 沖つ鳥 味経の原に もののふの 八十伴の男は 廬りして 都成したり 旅にはあれども
第6巻929番歌 荒野らに里はあれども大君の敷きます時は都となりぬ
第6巻930番歌 海人娘女棚なし小舟漕ぎ出らし旅の宿りに楫の音聞こゆ
第6巻935番歌 名寸隅の 舟瀬ゆ見ゆる 淡路島 松帆の浦に 朝なぎに 玉藻刈りつつ 夕なぎに 藻塩焼きつつ 海人娘女 ありとは聞けど 見に行かむ よしのなければ ますらをの 心はなしに 手弱女の 思ひたわみて たもとほり 我れはぞ恋ふる 舟楫をなみ
第6巻936番歌 玉藻刈る海人娘子ども見に行かむ舟楫もがも波高くとも
第6巻937番歌 行き廻り見とも飽かめや名寸隅の舟瀬の浜にしきる白波
第6巻950番歌 大君の境ひたまふと山守据ゑ守るといふ山に入らずはやまじ
第6巻951番歌 見わたせば近きものから岩隠りかがよふ玉を取らずはやまじ
第6巻952番歌 韓衣着奈良の里の嶋松に玉をし付けむよき人もがも
第6巻953番歌 さを鹿の鳴くなる山を越え行かむ日だにや君がはた逢はざらむ
第8巻1453番歌 玉たすき 懸けぬ時なく 息の緒に 我が思ふ君は うつせみの 世の人なれば 大君の 命畏み 夕されば 鶴が妻呼ぶ 難波潟 御津の崎より 大船に 真楫しじ貫き 白波の 高き荒海を 島伝ひ い別れ行かば 留まれる 我れは幣引き 斎ひつつ 君をば待たむ 早帰りませ
第8巻1454番歌 波の上ゆ見ゆる小島の雲隠りあな息づかし相別れなば
第8巻1455番歌 たまきはる命に向ひ恋ひむゆは君が御船の楫柄にもが
第8巻1532番歌 草枕旅行く人も行き触ればにほひぬべくも咲ける萩かも
第8巻1533番歌 伊香山野辺に咲きたる萩見れば君が家なる尾花し思ほゆ
第9巻1785番歌 人となる ことはかたきを わくらばに なれる我が身は 死にも生きも 君がまにまと 思ひつつ ありし間に うつせみの 世の人なれば 大君の 命畏み 天離る 鄙治めにと 朝鳥の 朝立ちしつつ 群鳥の 群立ち行かば 留まり居て 我れは恋ひむな 見ず久ならば
第9巻1786番歌 み越道の雪降る山を越えむ日は留まれる我れを懸けて偲はせ
第9巻1787番歌 うつせみの 世の人なれば 大君の 命畏み 敷島の 大和の国の 石上 布留の里に 紐解かず 丸寝をすれば 我が着たる 衣はなれぬ 見るごとに 恋はまされど 色に出でば 人知りぬべみ 冬の夜の 明かしもえぬを 寐も寝ずに 我れはぞ恋ふる 妹が直香に
第9巻1788番歌 布留山ゆ直に見わたす都にぞ寐も寝ず恋ふる遠くあらなくに
第9巻1789番歌 我妹子が結ひてし紐を解かめやも絶えば絶ゆとも直に逢ふまでに

笠金村とは?

笠金村(読み:かさのかなむら)
720年頃 奈良時代の歌人。官職は越前守。
万葉集では霊亀元年(715年)の志貴皇子に対する挽歌から天平5年(733年)の「贈入唐使歌」までの前後19年にわたる歌を残す。
特に神亀年間(724年-729年)に長歌6首を詠み、山部赤人と並んで歌人として活躍している。
『万葉集』の巻6は天武天皇朝を「神代」と詠う笠金村の歌を冒頭に据えている。勅撰歌人として『玉葉和歌集』に2首が入集している。