柿本人麻呂歌集の一覧

柿本人麻呂歌集はこちらにまとめました。

柿本人麻呂歌集 全366首

1~100首(2巻146番歌~9巻1796番歌)

歌番号 本歌
第2巻146番歌 後見むと君が結べる磐代の小松がうれをまたも見むかも
第3巻244番歌 み吉野の三船の山に立つ雲の常にあらむと我が思はなくに
第7巻1068番歌 天の海に雲の波立ち月の舟星の林に漕ぎ隠る見ゆ
第7巻1087番歌 穴師川川波立ちぬ巻向の弓月が岳に雲居立てるらし
第7巻1088番歌 あしひきの山川の瀬の鳴るなへに弓月が岳に雲立ちわたる
第7巻1092番歌 鳴る神の音のみ聞きし巻向の桧原の山を今日見つるかも
第7巻1093番歌 三諸のその山なみに子らが手を巻向山は継ぎしよろしも
第7巻1094番歌 我が衣色取り染めむ味酒三室の山は黄葉しにけり
第7巻1100番歌 巻向の穴師の川ゆ行く水の絶ゆることなくまたかへり見む
第7巻1101番歌 ぬばたまの夜さり来れば巻向の川音高しもあらしかも疾き
第7巻1118番歌 いにしへにありけむ人も我がごとか三輪の桧原にかざし折りけむ
第7巻1119番歌 行く川の過ぎにし人の手折らねばうらぶれ立てり三輪の桧原は
第7巻1187番歌 網引する海人とか見らむ飽の浦の清き荒磯を見に来し我れを
第7巻1247番歌 大汝少御神の作らしし妹背の山を見らくしよしも
第7巻1248番歌 我妹子と見つつ偲はむ沖つ藻の花咲きたらば我れに告げこそ
第7巻1249番歌 君がため浮沼の池の菱摘むと我が染めし袖濡れにけるかも
第7巻1250番歌 妹がため菅の実摘みに行きし我れ山道に惑ひこの日暮らしつ
第7巻1268番歌 子らが手を巻向山は常にあれど過ぎにし人に行きまかめやも
第7巻1269番歌 巻向の山辺響みて行く水の水沫のごとし世の人我れは
第7巻1271番歌 遠くありて雲居に見ゆる妹が家に早く至らむ歩め黒駒
第7巻1272番歌 大刀の後鞘に入野に葛引く我妹真袖もち着せてむとかも夏草刈るも
第7巻1273番歌 住吉の波豆麻の君が馬乗衣さひづらふ漢女を据ゑて縫へる衣ぞ
第7巻1274番歌 住吉の出見の浜の柴な刈りそね娘子らが赤裳の裾の濡れて行かむ見む
第7巻1275番歌 住吉の小田を刈らす子奴かもなき奴あれど妹がみためと私田刈る
第7巻1276番歌 池の辺の小槻の下の小竹な刈りそねそれをだに君が形見に見つつ偲はむ
第7巻1277番歌 天なる日売菅原の草な刈りそね蜷の腸か黒き髪にあくたし付くも
第7巻1278番歌 夏蔭の妻屋の下に衣裁つ我妹うら設けて我がため裁たばやや大に裁て
第7巻1279番歌 梓弓引津の辺なるなのりその花摘むまでに逢はずあらめやもなのりその花
第7巻1280番歌 うちひさす宮道を行くに我が裳は破れぬ玉の緒の思ひ乱れて家にあらましを
第7巻1281番歌 君がため手力疲れ織れる衣ぞ春さらばいかなる色に摺りてばよけむ
第7巻1282番歌 はしたての倉橋山に立てる白雲見まく欲り我がするなへに立てる白雲
第7巻1283番歌 はしたての倉橋川の石の橋はも男盛りに我が渡りてし石の橋はも
第7巻1284番歌 はしたての倉橋川の川の静菅我が刈りて笠にも編まぬ川の静菅
第7巻1285番歌 春日すら田に立ち疲る君は悲しも若草の妻なき君が田に立ち疲る
第7巻1286番歌 山背の久世の社の草な手折りそ我が時と立ち栄ゆとも草な手折りそ
第7巻1287番歌 青みづら依網の原に人も逢はぬかも石走る近江県の物語りせむ
第7巻1288番歌 港の葦の末葉を誰れか手折りし我が背子が振る手を見むと我れぞ手折りし
第7巻1289番歌 垣越しに犬呼び越して鳥猟する君青山の茂き山辺に馬休め君
第7巻1290番歌 海の底沖つ玉藻のなのりその花妹と我れとここにしありとなのりその花
第7巻1291番歌 この岡に草刈るわらはなしか刈りそねありつつも君が来まさば御馬草にせむ
第7巻1292番歌 江林に臥せる獣やも求むるによき白栲の袖巻き上げて獣待つ我が背
第7巻1293番歌 霰降り遠つ淡海の吾跡川楊刈れどもまたも生ふといふ吾跡川楊
第7巻1294番歌 朝月の日向の山に月立てり見ゆ遠妻を待ちたる人し見つつ偲はむ
第7巻1296番歌 今作る斑の衣面影に我れに思ほゆいまだ着ねども
第7巻1297番歌 紅に衣染めまく欲しけども着てにほはばか人の知るべき
第7巻1298番歌 かにかくに人は言ふとも織り継がむ我が機物の白麻衣
第7巻1299番歌 あぢ群のとをよる海に舟浮けて白玉採ると人に知らゆな
第7巻1300番歌 をちこちの礒の中なる白玉を人に知らえず見むよしもがも
第7巻1301番歌 海神の手に巻き持てる玉故に礒の浦廻に潜きするかも
第7巻1302番歌 海神の持てる白玉見まく欲り千たびぞ告りし潜きする海人
第7巻1303番歌 潜きする海人は告れども海神の心し得ねば見ゆといはなくに
第7巻1304番歌 天雲のたなびく山の隠りたる我が下心木の葉知るらむ
第7巻1305番歌 見れど飽かぬ人国山の木の葉をし我が心からなつかしみ思ふ
第7巻1306番歌 この山の黄葉が下の花を我れはつはつに見てなほ恋ひにけり
第7巻1307番歌 この川ゆ舟は行くべくありといへど渡り瀬ごとに守る人のありて
第7巻1308番歌 大海をさもらふ港事しあらばいづへゆ君は我を率しのがむ
第7巻1309番歌 風吹きて海は荒るとも明日と言はば久しくあるべし君がまにまに
第7巻1310番歌 雲隠る小島の神の畏けば目こそ隔てれ心隔てや
第9巻1682番歌 とこしへに夏冬行けや裘扇放たぬ山に住む人
第9巻1683番歌 妹が手を取りて引き攀ぢふさ手折り我がかざすべく花咲けるかも
第9巻1684番歌 春山は散り過ぎぬとも三輪山はいまだふふめり君待ちかてに
第9巻1685番歌 川の瀬のたぎつを見れば玉藻かも散り乱れたる川の常かも
第9巻1686番歌 彦星のかざしの玉は妻恋ひに乱れにけらしこの川の瀬に
第9巻1687番歌 白鳥の鷺坂山の松蔭に宿りて行かな夜も更けゆくを
第9巻1688番歌 あぶり干す人もあれやも濡れ衣を家には遣らな旅のしるしに
第9巻1689番歌 あり衣辺につきて漕がさね杏人の浜を過ぐれば恋しくありなり
第9巻1690番歌 高島の阿渡川波は騒けども我れは家思ふ宿り悲しみ
第9巻1691番歌 旅なれば夜中をさして照る月の高島山に隠らく惜しも
第9巻1692番歌 我が恋ふる妹は逢はさず玉の浦に衣片敷き独りかも寝む
第9巻1693番歌 玉櫛笥明けまく惜しきあたら夜を衣手離れて独りかも寝む
第9巻1694番歌 栲領巾の鷺坂山の白つつじ我れににほはに妹に示さむ
第9巻1695番歌 妹が門入り泉川の常滑にみ雪残れりいまだ冬かも
第9巻1696番歌 衣手の名木の川辺を春雨に我れ立ち濡ると家思ふらむか
第9巻1697番歌 家人の使ひにあらし春雨の避くれど我れを濡らさく思へば
第9巻1698番歌 あぶり干す人もあれやも家人の春雨すらを真使ひにする
第9巻1699番歌 巨椋の入江響むなり射目人の伏見が田居に雁渡るらし
第9巻1700番歌 秋風に山吹の瀬の鳴るなへに天雲翔る雁に逢へるかも
第9巻1701番歌 さ夜中と夜は更けぬらし雁が音の聞こゆる空を月渡る見ゆ
第9巻1702番歌 妹があたり繁き雁が音夕霧に来鳴きて過ぎぬすべなきまでに
第9巻1703番歌 雲隠り雁鳴く時は秋山の黄葉片待つ時は過ぐれど
第9巻1704番歌 ふさ手折り多武の山霧繁みかも細川の瀬に波の騒ける
第9巻1705番歌 冬こもり春へを恋ひて植ゑし木の実になる時を片待つ我れぞ
第9巻1706番歌 ぬばたまの夜霧は立ちぬ衣手を高屋の上にたなびくまでに
第9巻1707番歌 山背の久世の鷺坂神代より春は張りつつ秋は散りけり
第9巻1708番歌 春草を馬咋山ゆ越え来なる雁の使は宿り過ぐなり
第9巻1709番歌 御食向ふ南淵山の巌には降りしはだれか消え残りたる
第9巻1720番歌 馬並めてうち群れ越え来今日見つる吉野の川をいつかへり見む
第9巻1721番歌 苦しくも暮れゆく日かも吉野川清き川原を見れど飽かなくに
第9巻1722番歌 吉野川川波高み滝の浦を見ずかなりなむ恋しけまくに
第9巻1723番歌 かわづ鳴く六田の川の川柳のねもころ見れど飽かぬ川かも
第9巻1724番歌 見まく欲り来しくもしるく吉野川音のさやけさ見るにともしく
第9巻1725番歌 いにしへの賢しき人の遊びけむ吉野の川原見れど飽かぬかも
第9巻1761番歌【長歌】 三諸の 神奈備山に たち向ふ 御垣の山に 秋萩の 妻をまかむと…
第9巻1762番歌 明日の宵逢はざらめやもあしひきの山彦響め呼びたて鳴くも
第9巻1773番歌 神なびの神寄せ板にする杉の思ひも過ぎず恋の繁きに
第9巻1774番歌 たらちねの母の命の言にあらば年の緒長く頼め過ぎむや
第9巻1775番歌 泊瀬川夕渡り来て我妹子が家の金門に近づきにけり
第9巻1782番歌 雪こそば春日消ゆらめ心さへ消え失せたれや言も通はぬ
第9巻1783番歌 松返りしひてあれやは三栗の中上り来ぬ麻呂といふ奴
第9巻1796番歌 黄葉の過ぎにし子らと携はり遊びし礒を見れば悲しも

101~200首首(9巻1797番歌~11巻2384番歌)

歌番号 本歌
第9巻1797番歌 潮気立つ荒礒にはあれど行く水の過ぎにし妹が形見とぞ来し
第9巻1798番歌 いにしへに妹と我が見しぬばたまの黒牛潟を見れば寂しも
第9巻1799番歌 玉津島礒の浦廻の真砂にもにほひて行かな妹も触れけむ
第10巻1812番歌 ひさかたの天の香具山この夕霞たなびく春立つらしも
第10巻1813番歌 巻向の桧原に立てる春霞おほにし思はばなづみ来めやも
第10巻1814番歌 いにしへの人の植ゑけむ杉が枝に霞たなびく春は来ぬらし
第10巻1815番歌 子らが手を巻向山に春されば木の葉しのぎて霞たなびく
第10巻1816番歌 玉かぎる夕さり来ればさつ人の弓月が岳に霞たなびく
第10巻1817番歌 今朝行きて明日には来なむと云子鹿丹朝妻山に霞たなびく
第10巻1818番歌 子らが名に懸けのよろしき朝妻の片山崖に霞たなびく
第10巻1890番歌 春山の友鴬の泣き別れ帰ります間も思ほせ我れを
第10巻1891番歌 冬こもり春咲く花を手折り持ち千たびの限り恋ひわたるかも
第10巻1892番歌 春山の霧に惑へる鴬も我れにまさりて物思はめやも
第10巻1893番歌 出でて見る向ひの岡に本茂く咲きたる花のならずはやまじ
第10巻1894番歌 霞立つ春の長日を恋ひ暮らし夜も更けゆくに妹も逢はぬかも
第10巻1895番歌 春さればまづさきくさの幸くあらば後にも逢はむな恋ひそ我妹
第10巻1896番歌 春さればしだり柳のとををにも妹は心に乗りにけるかも
第10巻1996番歌 天の川水さへに照る舟泊てて舟なる人は妹と見えきや
第10巻1997番歌 久方の天の川原にぬえ鳥のうら歎げましつすべなきまでに
第10巻1998番歌 我が恋を嬬は知れるを行く舟の過ぎて来べしや言も告げなむ
第10巻1999番歌 赤らひく色ぐはし子をしば見れば人妻ゆゑに我れ恋ひぬべし
第10巻2000番歌 天の川安の渡りに舟浮けて秋立つ待つと妹に告げこそ
第10巻2001番歌 大空ゆ通ふ我れすら汝がゆゑに天の川道をなづみてぞ来し
第10巻2002番歌 八千桙の神の御代よりともし妻人知りにけり継ぎてし思へば
第10巻2003番歌 我が恋ふる丹のほの面わこよひもか天の川原に石枕まかむ
第10巻2004番歌 己夫にともしき子らは泊てむ津の荒礒巻きて寝む君待ちかてに
第10巻2005番歌 天地と別れし時ゆ己が妻しかぞ年にある秋待つ我れは
第10巻2006番歌 彦星は嘆かす妻に言だにも告げにぞ来つる見れば苦しみ
第10巻2007番歌 ひさかたの天つしるしと水無し川隔てて置きし神代し恨めし
第10巻2008番歌 ぬばたまの夜霧に隠り遠くとも妹が伝へは早く告げこそ
第10巻2009番歌 汝が恋ふる妹の命は飽き足らに袖振る見えつ雲隠るまで
第10巻2010番歌 夕星も通ふ天道をいつまでか仰ぎて待たむ月人壮士
第10巻2011番歌 天の川い向ひ立ちて恋しらに言だに告げむ妻と言ふまでは
第10巻2012番歌 白玉の五百つ集ひを解きもみず我は干しかてぬ逢はむ日待つに
第10巻2013番歌 天の川水蔭草の秋風に靡かふ見れば時は来にけり
第10巻2014番歌 我が待ちし秋萩咲きぬ今だにもにほひに行かな彼方人に
第10巻2015番歌 我が背子にうら恋ひ居れば天の川夜舟漕ぐなる楫の音聞こゆ
第10巻2016番歌 ま日長く恋ふる心ゆ秋風に妹が音聞こゆ紐解き行かな
第10巻2017番歌 恋ひしくは日長きものを今だにもともしむべしや逢ふべき夜だに
第10巻2018番歌 天の川去年の渡りで移ろへば川瀬を踏むに夜ぞ更けにける
第10巻2019番歌 いにしへゆあげてし服も顧みず天の川津に年ぞ経にける
第10巻2020番歌 天の川夜船を漕ぎて明けぬとも逢はむと思ふ夜袖交へずあらむ
第10巻2021番歌 遠妻と手枕交へて寝たる夜は鶏がねな鳴き明けば明けぬとも
第10巻2022番歌 相見らく飽き足らねどもいなのめの明けさりにけり舟出せむ妻
第10巻2023番歌 さ寝そめていくだもあらねば白栲の帯乞ふべしや恋も過ぎねば
第10巻2024番歌 万代にたづさはり居て相見とも思ひ過ぐべき恋にあらなくに
第10巻2025番歌 万代に照るべき月も雲隠り苦しきものぞ逢はむと思へど
第10巻2026番歌 白雲の五百重に隠り遠くとも宵さらず見む妹があたりは
第10巻2027番歌 我がためと織女のそのやどに織る白栲は織りてけむかも
第10巻2028番歌 君に逢はず久しき時ゆ織る服の白栲衣垢付くまでに
第10巻2029番歌 天の川楫の音聞こゆ彦星と織女と今夜逢ふらしも
第10巻2030番歌 秋されば川霧立てる天の川川に向き居て恋ふる夜ぞ多き
第10巻2031番歌 よしゑやし直ならずともぬえ鳥のうら嘆げ居りと告げむ子もがも
第10巻2032番歌 一年に七日の夜のみ逢ふ人の恋も過ぎねば夜は更けゆくも [一云 尽きねばさ夜ぞ明けにける]
第10巻2033番歌 天の川安の川原定而神競者磨待無
第10巻2094番歌 さを鹿の心相思ふ秋萩のしぐれの降るに散らくし惜しも
第10巻2095番歌 夕されば野辺の秋萩うら若み露にぞ枯るる秋待ちかてに
第10巻2178番歌 妻ごもる矢野の神山露霜ににほひそめたり散らまく惜しも
第10巻2179番歌 朝露ににほひそめたる秋山にしぐれな降りそありわたるがね
第10巻2234番歌 一日には千重しくしくに我が恋ふる妹があたりにしぐれ降れ見む
第10巻2239番歌 秋山のしたひが下に鳴く鳥の声だに聞かば何か嘆かむ
第10巻2240番歌 誰ぞかれと我れをな問ひそ九月の露に濡れつつ君待つ我れを
第10巻2241番歌 秋の夜の霧立ちわたりおほほしく夢にぞ見つる妹が姿を
第10巻2242番歌 秋の野の尾花が末の生ひ靡き心は妹に寄りにけるかも
第10巻2243番歌 秋山に霜降り覆ひ木の葉散り年は行くとも我れ忘れめや
第10巻2312番歌 我が袖に霰た走る巻き隠し消たずてあらむ妹が見むため
第10巻2313番歌 あしひきの山かも高き巻向の崖の小松にみ雪降りくる
第10巻2314番歌 巻向の桧原もいまだ雲居ねば小松が末ゆ沫雪流る
第10巻2315番歌 あしひきの山道も知らず白橿の枝もとををに雪の降れれば [或云 枝もたわたわ]
第10巻2333番歌 降る雪の空に消ぬべく恋ふれども逢ふよしなしに月ぞ経にける
第10巻2334番歌 沫雪は千重に降りしけ恋ひしくの日長き我れは見つつ偲はむ
第11巻2351番歌 新室の壁草刈りにいましたまはね草のごと寄り合ふ娘子は君がまにまに
第11巻2352番歌 新室を踏み鎮む子が手玉鳴らすも玉のごと照らせる君を内にと申せ
第11巻2353番歌 泊瀬の斎槻が下に我が隠せる妻あかねさし照れる月夜に人見てむかも [一云 人見つらむか]
第11巻2354番歌 ますらをの思ひ乱れて隠せるその妻天地に通り照るともあらはれめやも [一云 ますらをの思ひたけびて]
第11巻2355番歌 愛しと我が思ふ妹は早も死なぬか生けりとも我れに寄るべしと人の言はなくに
第11巻2356番歌 高麗錦紐の片方ぞ床に落ちにける明日の夜し来なむと言はば取り置きて待たむ
第11巻2357番歌 朝戸出の君が足結を濡らす露原早く起き出でつつ我れも裳裾濡らさな
第11巻2358番歌 何せむに命をもとな長く欲りせむ生けりとも我が思ふ妹にやすく逢はなくに
第11巻2359番歌 息の緒に我れは思へど人目多みこそ吹く風にあらばしばしば逢ふべきものを
第11巻2360番歌 人の親処女児据ゑて守山辺から朝な朝な通ひし君が来ねば悲しも
第11巻2361番歌 天なる一つ棚橋いかにか行かむ若草の妻がりと言はば足飾りせむ
第11巻2362番歌 山背の久背の若子が欲しと言ふ我れあふさわに我れを欲しと言ふ山背の久世
第11巻2368番歌 たらちねの母が手離れかくばかりすべなきことはいまだせなくに
第11巻2369番歌 人の寝る味寐は寝ずてはしきやし君が目すらを欲りし嘆かむ [或本歌云 君を思ふに明けにけるかも]
第11巻2370番歌 恋ひしなば恋ひも死ねとや玉桙の道行く人の言も告げなく
第11巻2371番歌 心には千重に思へど人に言はぬ我が恋妻を見むよしもがも
第11巻2372番歌 かくばかり恋ひむものぞと知らませば遠くも見べくあらましものを
第11巻2373番歌 いつはしも恋ひぬ時とはあらねども夕かたまけて恋ひはすべなし
第11巻2374番歌 かくのみし恋ひやわたらむたまきはる命も知らず年は経につつ
第11巻2375番歌 我れゆ後生まれむ人は我がごとく恋する道にあひこすなゆめ
第11巻2376番歌 ますらをの現し心も我れはなし夜昼といはず恋ひしわたれば
第11巻2377番歌 何せむに命継ぎけむ我妹子に恋ひぬ前にも死なましものを
第11巻2378番歌 よしゑやし来まさぬ君を何せむにいとはず我れは恋ひつつ居らむ
第11巻2379番歌 見わたせば近き渡りをた廻り今か来ますと恋ひつつぞ居る
第11巻2380番歌 はしきやし誰が障ふれかも玉桙の道見忘れて君が来まさぬ
第11巻2381番歌 君が目を見まく欲りしてこの二夜千年のごとも我は恋ふるかも
第11巻2382番歌 うち日さす宮道を人は満ち行けど我が思ふ君はただひとりのみ
第11巻2383番歌 世の中は常かくのみと思へどもはたた忘れずなほ恋ひにけり
第11巻2384番歌 我が背子は幸くいますと帰り来と我れに告げ来む人も来ぬかも

201~300首首(11巻2385番歌~11巻2484番歌)

歌番号 本歌
第11巻2385番歌 あらたまの五年経れど我が恋の跡なき恋のやまなくあやし
第11巻2386番歌 巌すら行き通るべきますらをも恋といふことは後悔いにけり
第11巻2387番歌 日並べば人知りぬべし今日の日は千年のごともありこせぬかも
第11巻2388番歌 立ちて居てたづきも知らず思へども妹に告げねば間使も来ず
第11巻2389番歌 ぬばたまのこの夜な明けそ赤らひく朝行く君を待たば苦しも
第11巻2390番歌 恋するに死するものにあらませば我が身は千たび死にかへらまし
第11巻2391番歌 玉かぎる昨日の夕見しものを今日の朝に恋ふべきものか
第11巻2392番歌 なかなかに見ずあらましを相見てゆ恋ほしき心まして思ほゆ
第11巻2393番歌 玉桙の道行かずあらばねもころのかかる恋には逢はざらましを
第11巻2394番歌 朝影に我が身はなりぬ玉かきるほのかに見えて去にし子ゆゑに
第11巻2395番歌 行き行きて逢はぬ妹ゆゑひさかたの天露霜に濡れにけるかも
第11巻2396番歌 たまさかに我が見し人をいかならむよしをもちてかまた一目見む
第11巻2397番歌 しましくも見ぬば恋ほしき我妹子を日に日に来れば言の繁けく
第11巻2398番歌 たまきはる世までと定め頼みたる君によりてし言の繁けく
第11巻2399番歌 赤らひく肌も触れずて寐ぬれども心を異には我が思はなくに
第11巻2400番歌 いで何かここだはなはだ利心の失するまで思ふ恋ゆゑにこそ
第11巻2401番歌 恋ひ死なば恋ひも死ねとか我妹子が我家の門を過ぎて行くらむ
第11巻2402番歌 妹があたり遠くも見ればあやしくも我れは恋ふるか逢ふよしなしに
第11巻2403番歌 玉くせの清き川原にみそぎして斎ふ命は妹がためこそ
第11巻2404番歌 思ひ寄り見ては寄りにしものにあれば一日の間も忘れて思へや
第11巻2405番歌 垣ほなす人は言へども高麗錦紐解き開けし君ならなくに
第11巻2406番歌 高麗錦紐解き開けて夕だに知らずある命恋ひつつかあらむ
第11巻2407番歌 百積の船隠り入る八占さし母は問ふともその名は告らじ
第11巻2408番歌 眉根掻き鼻ひ紐解け待つらむかいつかも見むと思へる我れを
第11巻2409番歌 君に恋ひうらぶれ居れば悔しくも我が下紐の結ふ手いたづらに
第11巻2410番歌 あらたまの年は果つれど敷栲の袖交へし子を忘れて思へや
第11巻2411番歌 白栲の袖をはつはつ見しからにかかる恋をも我れはするかも
第11巻2412番歌 我妹子に恋ひすべながり夢に見むと我れは思へど寐ねらえなくに
第11巻2413番歌 故もなく我が下紐を解けしめて人にな知らせ直に逢ふまでに
第11巻2414番歌 恋ふること慰めかねて出でて行けば山を川をも知らず来にけり
第11巻2415番歌 娘子らを袖振る山の瑞垣の久しき時ゆ思ひけり我れは
第11巻2416番歌 ちはやぶる神の持たせる命をば誰がためにかも長く欲りせむ
第11巻2417番歌 石上布留の神杉神さぶる恋をも我れはさらにするかも
第11巻2418番歌 いかならむ名負ふ神に手向けせば我が思ふ妹を夢にだに見む
第11巻2419番歌 天地といふ名の絶えてあらばこそ汝と我れと逢ふことやまめ
第11巻2420番歌 月見れば国は同じぞ山へなり愛し妹はへなりたるかも
第11巻2421番歌 来る道は岩踏む山はなくもがも我が待つ君が馬つまづくに
第11巻2422番歌 岩根踏みへなれる山はあらねども逢はぬ日まねみ恋ひわたるかも
第11巻2423番歌 道の後深津島山しましくも君が目見ねば苦しかりけり
第11巻2424番歌 紐鏡能登香の山も誰がゆゑか君来ませるに紐解かず寝む
第11巻2425番歌 山科の木幡の山を馬はあれど徒歩より我が来し汝を思ひかねて
第11巻2426番歌 遠山に霞たなびきいや遠に妹が目見ねば我れ恋ひにけり
第11巻2427番歌 宇治川の瀬々のしき波しくしくに妹は心に乗りにけるかも
第11巻2428番歌 ちはや人宇治の渡りの瀬を早み逢はずこそあれ後も我が妻
第11巻2429番歌 はしきやし逢はぬ子ゆゑにいたづらに宇治川の瀬に裳裾濡らしつ
第11巻2430番歌 宇治川の水泡さかまき行く水の事かへらずぞ思ひ染めてし
第11巻2431番歌 鴨川の後瀬静けく後も逢はむ妹には我れは今ならずとも
第11巻2432番歌 言に出でて言はばゆゆしみ山川のたぎつ心を塞かへたりけり
第11巻2433番歌 水の上に数書くごとき我が命妹に逢はむとうけひつるかも
第11巻2434番歌 荒礒越し外行く波の外心我れは思はじ恋ひて死ぬとも
第11巻2435番歌 近江の海沖つ白波知らずとも妹がりといはば七日越え来む
第11巻2436番歌 大船の香取の海にいかり下ろしいかなる人か物思はずあらむ
第11巻2437番歌 沖つ裳を隠さふ波の五百重波千重しくしくに恋ひわたるかも
第11巻2438番歌 人言はしましぞ我妹綱手引く海ゆまさりて深くしぞ思ふ
第11巻2439番歌 近江の海沖つ島山奥まけて我が思ふ妹が言の繁けく
第11巻2440番歌 近江の海沖漕ぐ舟のいかり下ろし隠りて君が言待つ我れぞ
第11巻2441番歌 隠り沼の下ゆ恋ふればすべをなみ妹が名告りつ忌むべきものを
第11巻2442番歌 大地は取り尽すとも世の中の尽しえぬものは恋にしありけり
第11巻2443番歌 隠りどの沢泉なる岩が根も通してぞ思ふ我が恋ふらくは
第11巻2444番歌 白真弓石辺の山の常磐なる命なれやも恋ひつつ居らむ
第11巻2445番歌 近江の海沈く白玉知らずして恋ひせしよりは今こそまされ
第11巻2446番歌 白玉を巻きてぞ持てる今よりは我が玉にせむ知れる時だに
第11巻2447番歌 白玉を手に巻きしより忘れじと思ひけらくは何か終らむ
第11巻2448番歌 白玉の間開けつつ貫ける緒もくくり寄すれば後もあふものを
第11巻2449番歌 香具山に雲居たなびきおほほしく相見し子らを後恋ひむかも
第11巻2450番歌 雲間よりさ渡る月のおほほしく相見し子らを見むよしもがも
第11巻2451番歌 天雲の寄り合ひ遠み逢はずとも異し手枕我れまかめやも
第11巻2452番歌 雲だにもしるくし立たば慰めて見つつも居らむ直に逢ふまでに
第11巻2453番歌 春柳葛城山に立つ雲の立ちても居ても妹をしぞ思ふ
第11巻2454番歌 春日山雲居隠りて遠けども家は思はず君をしぞ思ふ
第11巻2455番歌 我がゆゑに言はれし妹は高山の嶺の朝霧過ぎにけむかも
第11巻2456番歌 ぬばたまの黒髪山の山菅に小雨降りしきしくしく思ほゆ
第11巻2457番歌 大野らに小雨降りしく木の下に時と寄り来ね我が思ふ人
第11巻2458番歌 朝霜の消なば消ぬべく思ひつついかにこの夜を明かしてむかも
第11巻2459番歌 我が背子が浜行く風のいや早に言を早みかいや逢はずあらむ
第11巻2460番歌 遠き妹が振り放け見つつ偲ふらむこの月の面に雲なたなびき
第11巻2461番歌 山の端を追ふ三日月のはつはつに妹をぞ見つる恋ほしきまでに
第11巻2462番歌 我妹子し我れを思はばまそ鏡照り出づる月の影に見え来ね
第11巻2463番歌 久方の天照る月の隠りなば何になそへて妹を偲はむ
第11巻2464番歌 三日月のさやにも見えず雲隠り見まくぞ欲しきうたてこのころ
第11巻2465番歌 我が背子に我が恋ひ居れば我が宿の草さへ思ひうらぶれにけり
第11巻2466番歌 浅茅原小野に標結ふ空言をいかなりと言ひて君をし待たむ
第11巻2467番歌 道の辺の草深百合の後もと言ふ妹が命を我れ知らめやも
第11巻2468番歌 港葦に交じれる草のしり草の人皆知りぬ我が下思ひは
第11巻2469番歌 山ぢさの白露重みうらぶれて心も深く我が恋やまず
第11巻2470番歌 港にさ根延ふ小菅ぬすまはず君に恋ひつつありかてぬかも
第11巻2471番歌 山背の泉の小菅なみなみに妹が心を我が思はなくに
第11巻2472番歌 見わたしの三室の山の巌菅ねもころ我れは片思ぞする [一云 みもろの山の岩小菅]
第11巻2473番歌 菅の根のねもころ君が結びてし我が紐の緒を解く人もなし
第11巻2474番歌 山菅の乱れ恋のみせしめつつ逢はぬ妹かも年は経につつ
第11巻2475番歌 我が宿の軒にしだ草生ひたれど恋忘れ草見れどいまだ生ひず
第11巻2476番歌 打つ田には稗はしあまたありといへど選えし我れぞ夜をひとり寝る
第11巻2477番歌 あしひきの名負ふ山菅押し伏せて君し結ばば逢はずあらめやも
第11巻2478番歌 秋柏潤和川辺の小竹の芽の人には忍び君に堪へなくに
第11巻2479番歌 さね葛後も逢はむと夢のみにうけひわたりて年は経につつ
第11巻2480番歌 道の辺のいちしの花のいちしろく人皆知りぬ我が恋妻は [或本歌曰 いちしろく人知りにけり継ぎてし思へば]
第11巻2481番歌 大野らにたどきも知らず標結ひてありかつましじ我が恋ふらくは
第11巻2482番歌 水底に生ふる玉藻のうち靡き心は寄りて恋ふるこのころ
第11巻2483番歌 敷栲の衣手離れて玉藻なす靡きか寝らむ我を待ちかてに
第11巻2484番歌 君来ずは形見にせむと我がふたり植ゑし松の木君を待ち出でむ

301~366首首(11巻2485番歌~14巻3481番歌)

歌番号 本歌
第11巻2485番歌 袖振らば見ゆべき限り我れはあれどその松が枝に隠らひにけり
第11巻2486番歌 茅渟の海の浜辺の小松根深めて我れ恋ひわたる人の子ゆゑに
第11巻2487番歌 奈良山の小松が末のうれむぞは我が思ふ妹に逢はずやみなむ
第11巻2488番歌 礒の上に立てるむろの木ねもころに何しか深め思ひそめけむ
第11巻2489番歌 橘の本に我を立て下枝取りならむや君と問ひし子らはも
第11巻2490番歌 天雲に翼打ちつけて飛ぶ鶴のたづたづしかも君しまさねば
第11巻2491番歌 妹に恋ひ寐ねぬ朝明にをし鳥のこゆかく渡る妹が使か
第11巻2492番歌 思ひにしあまりにしかばにほ鳥のなづさひ来しを人見けむかも
第11巻2493番歌 高山の嶺行くししの友を多み袖振らず来ぬ忘ると思ふな
第11巻2494番歌 大船に真楫しじ貫き漕ぐほともここだ恋ふるを年にあらばいかに
第11巻2495番歌 たらつねの母が養ふ蚕の繭隠り隠れる妹を見むよしもがも
第11巻2496番歌 肥人の額髪結へる染木綿の染みにし心我れ忘れめや [一云 忘らえめやも]
第11巻2497番歌 隼人の名に負ふ夜声のいちしろく我が名は告りつ妻と頼ませ
第11巻2498番歌 剣大刀諸刃の利きに足踏みて死なば死なむよ君によりては
第11巻2499番歌 我妹子に恋ひしわたれば剣大刀名の惜しけくも思ひかねつも
第11巻2500番歌 朝月の日向黄楊櫛古りぬれど何しか君が見れど飽かざらむ
第11巻2501番歌 里遠み恋ひうらぶれぬまそ鏡床の辺去らず夢に見えこそ
第11巻2502番歌 まそ鏡手に取り持ちて朝な朝な見れども君は飽くこともなし
第11巻2503番歌 夕されば床の辺去らぬ黄楊枕何しか汝れが主待ちかたき
第11巻2504番歌 解き衣の恋ひ乱れつつ浮き真砂生きても我れはありわたるかも
第11巻2505番歌 梓弓引きてゆるさずあらませばかかる恋にはあはざらましを
第11巻2506番歌 言霊の八十の街に夕占問ふ占まさに告る妹は相寄らむ
第11巻2507番歌 玉桙の道行き占に占なへば妹に逢はむと我れに告りつも
第11巻2508番歌 すめろぎの神の御門を畏みとさもらふ時に逢へる君かも
第11巻2509番歌 まそ鏡見とも言はめや玉かぎる岩垣淵の隠りたる妻
第11巻2510番歌 赤駒が足掻速けば雲居にも隠り行かむぞ袖まけ我妹
第11巻2511番歌 こもりくの豊泊瀬道は常滑のかしこき道ぞ恋ふらくはゆめ
第11巻2512番歌 味酒のみもろの山に立つ月の見が欲し君が馬の音ぞする
第11巻2513番歌 鳴る神の少し響みてさし曇り雨も降らぬか君を留めむ
第11巻2514番歌 鳴る神の少し響みて降らずとも我は留まらむ妹し留めば
第11巻2515番歌 敷栲の枕響みて夜も寝ず思ふ人には後も逢ふものを
第11巻2516番歌 敷栲の枕は人に言とへやその枕には苔生しにたり
第12巻2841番歌 我が背子が朝明の姿よく見ずて今日の間を恋ひ暮らすかも
第12巻2842番歌 我が心ともしみ思ふ新夜の一夜もおちず夢に見えこそ
第12巻2843番歌 愛しと我が思ふ妹を人皆の行くごと見めや手にまかずして
第12巻2844番歌 このころの寐の寝らえぬは敷栲の手枕まきて寝まく欲りこそ
第12巻2845番歌 忘るやと物語りして心遣り過ぐせど過ぎずなほ恋ひにけり
第12巻2846番歌 夜も寝ず安くもあらず白栲の衣は脱かじ直に逢ふまでに
第12巻2847番歌 後も逢はむ我にな恋ひそと妹は言へど恋ふる間に年は経につつ
第12巻2848番歌 直に会はずあるはうべなり夢にだに何しか人の言の繁けむ [或本歌曰 うつつにはうべも逢はなく夢にさへ]
第12巻2849番歌 ぬばたまのその夢にだに見え継ぐや袖干る日なく我れは恋ふるを
第12巻2850番歌 うつつには直には逢はず夢にだに逢ふと見えこそ我が恋ふらくに
第12巻2851番歌 人の見る上は結びて人の見ぬ下紐開けて恋ふる日ぞ多き
第12巻2852番歌 人言の繁き時には我妹子し衣にありせば下に着ましを
第12巻2853番歌 真玉つくをちをし兼ねて思へこそ一重の衣ひとり着て寝れ
第12巻2854番歌 白栲の我が紐の緒の絶えぬ間に恋結びせむ逢はむ日までに
第12巻2855番歌 新治の今作る道さやかにも聞きてけるかも妹が上のことを
第12巻2856番歌 山背の石田の社に心おそく手向けしたれや妹に逢ひかたき
第12巻2857番歌 菅の根のねもころごろに照る日にも干めや我が袖妹に逢はずして
第12巻2858番歌 妹に恋ひ寐ねぬ朝明に吹く風は妹にし触れば我れさへに触れ
第12巻2859番歌 明日香川高川避かし越ゑ来しをまこと今夜は明けずも行かぬか
第12巻2860番歌 八釣川水底絶えず行く水の継ぎてぞ恋ふるこの年ころを [或本歌曰 水脈も絶えせず]
第12巻2861番歌 礒の上に生ふる小松の名を惜しみ人に知らえず恋ひわたるかも
第12巻2862番歌 山川の水陰に生ふる山菅のやまずも妹は思ほゆるかも
第12巻2863番歌 浅葉野に立ち神さぶる菅の根のねもころ誰がゆゑ我が恋ひなくに [或本歌曰 誰が葉野に立ちしなひたる]
第12巻2947番歌 思ひにしあまりにしかばすべをなみ我れは言ひてき忌むべきものを
第12巻3063番歌 浅茅原小野に標結ふ空言も逢はむと聞こせ恋のなぐさに
第12巻3127番歌 度会の大川の辺の若久木我が久ならば妹恋ひむかも
第12巻3128番歌 我妹子を夢に見え来と大和道の渡り瀬ごとに手向けぞ我がする
第12巻3129番歌 桜花咲きかも散ると見るまでに誰れかもここに見えて散り行く
第12巻3130番歌 豊国の企救の浜松ねもころに何しか妹に相言ひそめけむ
第13巻3253番歌 葦原の 瑞穂の国は 神ながら 言挙げせぬ国 しかれども 言挙げぞ我がする 言幸く ま幸くませと 障みなく 幸くいまさば 荒礒波 ありても見むと 百重波 千重波しきに 言挙げす我れは <[言挙げす我れは]>
第13巻3309番歌 物思はず 道行く行くも 青山を 振り放け見れば つつじ花 にほえ娘子 桜花 栄え娘子 汝れをぞも 我れに寄すといふ 我れをぞも 汝れに寄すといふ 汝はいかに思ふや 思へこそ 年の八年を 切り髪の よち子を過ぎ 橘の ほつ枝をすぐり この川の 下にも長く 汝が心待て
第14巻3417番歌 上つ毛野伊奈良の沼の大藺草外に見しよは今こそまされ [柿本朝臣人麻呂歌集出也]
第14巻3441番歌 ま遠くの雲居に見ゆる妹が家にいつか至らむ歩め我が駒
第14巻3481番歌 あり衣のさゑさゑしづみ家の妹に物言はず来にて思ひ苦しも

柿本人麻呂歌集とは?

柿本人麻呂歌集は人麻呂と他の人達の歌をまとめた歌集を指す。成立は人麻呂自身によるものか、後に誰かが編纂して歌の手引書のような教本にした言われもあり、はっきりしたことがわかっていない。(本サイトでは題詞と左注から柿本人麻呂歌集と記載された物のみを抜粋しました。)

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