山部赤人が書いた万葉集

山部赤人が書いた万葉集についてまとめました。

スポンサーリンク

掲載数 全 49 首

歌番号本歌
第3巻317番歌天地の 別れし時ゆ 神さびて 高く貴き 駿河なる 富士の高嶺を 天の原 振り放け見れば 渡る日の 影も隠らひ 照る月の 光も見えず 白雲も い行きはばかり 時じくぞ 雪は降りける 語り継ぎ 言ひ継ぎ行かむ 富士の高嶺は
第3巻318番歌田子の浦ゆうち出でて見れば真白にぞ富士の高嶺に雪は降りける
第3巻322番歌すめろきの 神の命の 敷きませる 国のことごと 湯はしも さはにあれども 島山の 宣しき国と こごしかも 伊予の高嶺の 射狭庭の 岡に立たして 歌思ひ 辞思はしし み湯の上の 木群を見れば 臣の木も 生ひ継ぎにけり 鳴く鳥の 声も変らず 遠き代に 神さびゆかむ 幸しところ
第3巻323番歌ももしきの大宮人の熟田津に船乗りしけむ年の知らなく
第3巻324番歌みもろの 神なび山に 五百枝さし しじに生ひたる 栂の木の いや継ぎ継ぎに 玉葛 絶ゆることなく ありつつも やまず通はむ 明日香の 古き都は 山高み 川とほしろし 春の日は 山し見がほし 秋の夜は 川しさやけし 朝雲に 鶴は乱れ 夕霧に かはづは騒く 見るごとに 音のみし泣かゆ いにしへ思へば
第3巻325番歌明日香河川淀さらず立つ霧の思ひ過ぐべき恋にあらなくに
第3巻357番歌縄の浦ゆそがひに見ゆる沖つ島漕ぎ廻る舟は釣りしすらしも
第3巻358番歌武庫の浦を漕ぎ廻る小舟粟島をそがひに見つつ羨しき小舟
第3巻359番歌阿倍の島鵜の住む磯に寄する波間なくこのころ大和し思ほゆ
第3巻360番歌潮干なば玉藻刈りつめ家の妹が浜づと乞はば何を示さむ
第3巻361番歌秋風の寒き朝明を佐農の岡越ゆらむ君に衣貸さましを
第3巻362番歌みさご居る磯廻に生ふるなのりその名は告らしてよ親は知るとも
第3巻363番歌みさご居る荒磯に生ふるなのりそのよし名は告らせ親は知るとも
第3巻372番歌春日を 春日の山の 高座の 御笠の山に 朝さらず 雲居たなびき 貌鳥の 間なくしば鳴く 雲居なす 心いさよひ その鳥の 片恋のみに 昼はも 日のことごと 夜はも 夜のことごと 立ちて居て 思ひぞ我がする 逢はぬ子故に
第3巻373番歌高座の御笠の山に鳴く鳥の止めば継がるる恋もするかも
第3巻378番歌いにしへの古き堤は年深み池の渚に水草生ひにけり
第3巻384番歌我がやどに韓藍蒔き生ほし枯れぬれど懲りずてまたも蒔かむとぞ思ふ
第3巻431番歌いにしへに ありけむ人の 倭文幡の 帯解き交へて 伏屋立て 妻問ひしけむ 勝鹿の 真間の手児名が 奥つ城を こことは聞けど 真木の葉や 茂くあるらむ 松が根や 遠く久しき 言のみも 名のみも我れは 忘らゆましじ
第3巻432番歌我れも見つ人にも告げむ勝鹿の真間の手児名が奥つ城ところ
第3巻433番歌葛飾の真間の入江にうち靡く玉藻刈りけむ手児名し思ほゆ
第6巻917番歌やすみしし 我ご大君の 常宮と 仕へ奉れる 雑賀野ゆ そがひに見ゆる 沖つ島 清き渚に 風吹けば 白波騒き 潮干れば 玉藻刈りつつ 神代より しかぞ貴き 玉津島山
第6巻918番歌沖つ島荒礒の玉藻潮干満ちい隠りゆかば思ほえむかも
第6巻919番歌若の浦に潮満ち来れば潟をなみ葦辺をさして鶴鳴き渡る
第6巻923番歌やすみしし 我ご大君の 高知らす 吉野の宮は たたなづく 青垣隠り 川なみの 清き河内ぞ 春へは 花咲きををり 秋されば 霧立ちわたる その山の いやしくしくに この川の 絶ゆることなく ももしきの 大宮人は 常に通はむ
第6巻924番歌み吉野の象山の際の木末にはここだも騒く鳥の声かも
第6巻925番歌ぬばたまの夜の更けゆけば久木生ふる清き川原に千鳥しば鳴く
第6巻926番歌やすみしし 我ご大君は み吉野の 秋津の小野の 野の上には 跡見据ゑ置きて み山には 射目立て渡し 朝狩に 獣踏み起し 夕狩に 鳥踏み立て 馬並めて 御狩ぞ立たす 春の茂野に
第6巻927番歌あしひきの山にも野にも御狩人さつ矢手挾み騒きてあり見ゆ
第6巻933番歌天地の 遠きがごとく 日月の 長きがごとく おしてる 難波の宮に 我ご大君 国知らすらし 御食つ国 日の御調と 淡路の 野島の海人の 海の底 沖つ海石に 鰒玉 さはに潜き出 舟並めて 仕へ奉るし 貴し見れば
第6巻934番歌朝なぎに楫の音聞こゆ御食つ国野島の海人の舟にしあるらし
第6巻938番歌やすみしし 我が大君の 神ながら 高知らせる 印南野の 大海の原の 荒栲の 藤井の浦に 鮪釣ると 海人舟騒き 塩焼くと 人ぞさはにある 浦をよみ うべも釣りはす 浜をよみ うべも塩焼く あり通ひ 見さくもしるし 清き白浜
第6巻939番歌沖つ波辺波静けみ漁りすと藤江の浦に舟ぞ騒ける
第6巻940番歌印南野の浅茅押しなべさ寝る夜の日長くしあれば家し偲はゆ
第6巻941番歌明石潟潮干の道を明日よりは下笑ましけむ家近づけば
第6巻942番歌あぢさはふ 妹が目離れて 敷栲の 枕もまかず 桜皮巻き 作れる船に 真楫貫き 我が漕ぎ来れば 淡路の 野島も過ぎ 印南嬬 辛荷の島の 島の際ゆ 我家を見れば 青山の そことも見えず 白雲も 千重になり来ぬ 漕ぎ廻むる 浦のことごと 行き隠る 島の崎々 隈も置かず 思ひぞ我が来る 旅の日長み
第6巻943番歌玉藻刈る唐荷の島に島廻する鵜にしもあれや家思はずあらむ
第6巻944番歌島隠り我が漕ぎ来れば羨しかも大和へ上るま熊野の船
第6巻945番歌風吹けば波か立たむとさもらひに都太の細江に浦隠り居り
第6巻946番歌御食向ふ 淡路の島に 直向ふ 敏馬の浦の 沖辺には 深海松採り 浦廻には なのりそ刈る 深海松の 見まく欲しけど なのりその おのが名惜しみ 間使も 遣らずて我れは 生けりともなし
第6巻947番歌須磨の海女の塩焼き衣の慣れなばか一日も君を忘れて思はむ
第6巻1001番歌大夫は御狩に立たし娘子らは赤裳裾引く清き浜びを
第6巻1005番歌やすみしし 我が大君の 見したまふ 吉野の宮は 山高み 雲ぞたなびく 川早み 瀬の音ぞ清き 神さびて 見れば貴く よろしなへ 見ればさやけし この山の 尽きばのみこそ この川の 絶えばのみこそ ももしきの 大宮所 やむ時もあらめ
第6巻1006番歌神代より吉野の宮にあり通ひ高知らせるは山川をよみ
第8巻1424番歌春の野にすみれ摘みにと来し我れぞ野をなつかしみ一夜寝にける
第8巻1425番歌あしひきの山桜花日並べてかく咲きたらばいたく恋ひめやも
第8巻1426番歌我が背子に見せむと思ひし梅の花それとも見えず雪の降れれば
第8巻1427番歌明日よりは春菜摘まむと標めし野に昨日も今日も雪は降りつつ
第8巻1431番歌百済野の萩の古枝に春待つと居りし鴬鳴きにけむかも
第8巻1471番歌恋しけば形見にせむと我がやどに植ゑし藤波今咲きにけり